クルマエビ属以外のエビたち


アカエビ
Metapenaeopsis barbata
(De Haan,1844)
クルマエビ科


三河一色漁港

英名:Whiskered Velvet Shrimp

 体長82mm。体の全表に短毛がある。額角上縁に6〜7歯と胃上歯、下縁無歯。尾節の側縁に3対の可動棘、末端に1対の不動棘がある。甲後側縁の発音器は18〜25。触角上棘、肝上棘がある。第1脚の坐節、第3顎脚〜第2脚の基節に各1棘がある。相模湾以南の太平洋岸の内湾、内海の砂泥底に生息、三河湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海に多産する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 体長13cmほど。甲は厚く、表面には不規則なくぼみが多く、粗い毛で被われる。7〜8月に産卵し、稚エビは11月まで成長し、越冬後の翌年夏に産卵して死ぬ。したがって、寿命は丸一年であるが、生殖期の初期に産卵されたもののなかには、年内に成熟して産卵、死滅する短期世代の個体もいる。房総半島からオーストラリア東岸まで分布し、水深5〜30mの砂泥底に生息。小型で甲がかたいので高級品ではないが、大量に漁獲されるため、むきえびとして利用され、伊勢湾、瀬戸内海、八代海などが有名な産地。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」)


エンデバー
 Metapenaeus endeavouri
Schmitt
クルマエビ科

英名:Endeavour Prawn

 体長15cmほどで、体重は17gほど。全体に細かい毛で覆われ、手触りはざらざらしている。額角はほぼまっすぐで、わずかに上向き。上縁には10〜11歯があるが、下縁にはない。オーストラリアの南部を除く海域に多産するが、フィリピン海域からもとれる。海域によっては水深20〜45mでシバエビとともに漁獲されるといわれるが、シバエビと違って汽水域に入ってくることはない。(小学館「食材図典」より)

 学名は、オーストラリア東岸を調査した調査船「エンデバー号」にちなむ。オーストラリアから多量に輸入されるために「オーストラリアエビ」と呼ばれることもある。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

関連サイト

Endeavour Prawn(英語):オーストラリア政府のホームページ「Primary Industries & Energy Network (PIENet)」のなかの「Marketing Names for Fish and Seafood in Australia」の一部。


クロザコエビ
Argis lar
(Owen,1839)
エビジャコ科

英名:Kuro Shrimp

 寒海系のエビで、日本海、オホーツク海、ベーリング海、アラスカ沿岸の水深150〜400mに生息する。頭胸部はやや左右に平たい。日本海では水深250m内外に多産し、水深300mを超えると近縁のトゲクロザコエビ(クロザコエビモドキ)が漁獲される。本種は肉がしまっており、剥き身は太っているが、トゲクロザコエビでは肉がやわらかい。また、本種は漁獲後もしばらく元気で、鮮度を保ちやすい。トゲクロザコエビは北米大西洋岸まで広く分布している。(小学館「食材図典」より)

 体長120mm。額刺は短く斜上方に突出し鈍端に終わる。甲の背隆起に2歯がある。眼上刺・触角上刺は額刺とともに眼柄を被う。鰓前刺・肝上刺は大きく先が鋭い。第1脚は太く第3顎脚と同長。第2脚は第1脚よりも長くて細く、カサミをもつ。腹部は第1〜5節に背隆起があり、第5節の後縁ににぶい突起がある。第6節には2条の隆起があり鈍端におわる。水深250〜270mの泥砂、泥底に生息。七尾湾〜北海道、韓国東岸、日本海北部、オホーツク海、ベーリング海、北米太平洋北岸に分布。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 


サクラエビ 
Sergia lucens
( Hansen, 1922 )
サクラエビ科



静岡県焼津魚センターで購入

英名:Sakura Shrimp

 体長 40 mm内外。浮遊性発光エビで、発光器総数約160個、第2触角片に3個がある。第2・第3脚にハサミがある。第4・第5脚は短い。雄の第1腹肢の内肢は交接器となる。額角は短い三角形、上縁に1刺、下縁はふくれる。卵は浮遊卵、径0.25〜0.27 mm、1,700〜2,300個を 20〜50 mの深さに産む。ノウプリウス2期、前ゾエア3期、ゾエア2期、後期幼生を経過する。昼間200mに生息し、夜間表層に浮上する。浮遊有機物を摂食。寿命15カ月。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 多数の色素胞のために桜色に見える美しいエビで、体に合計154個の発光器をもっている。体長は5cm ほど。水深400〜600mを群れをなして浮遊生活をしている。著しく長い第2触角の基部から5cmくらい先から羽状毛になっており、浮遊生活でバランスを保つのに役だつ。産卵期は6〜8月。夜間に浅海に浮上したものを漁獲する。東京湾、相模湾、駿河湾、台湾東方沖に分布する。とくに駿河湾での漁獲は有名で、素干しエビや煮干しエビとするほか、生食もされる。(小学館「食材図典」より)

 サクラエビは一生を泳いで暮らします。体の3倍もある長いヒゲは体を浮きやすくする大切な器官です。脚をヒレのようにすばやく動かして泳ぎます。外敵に見つかりにくい夜、エサのプランクトンを求めて水深300メートルの深海から海面近くに浮上するのです。
 サクラエビは夏、水深30メートルほどの浅瀬で産卵します。卵は一面に拡がり、一尾の雌が一度に生む数は約2,000個。卵は一日半で孵化します。出てきた幼生は稚エビになる前の大きさは0.3mmほどのノープリウス幼生です。幼生は深海へは潜らず、餌のプランクトンが豊富な浅瀬で成長します。脱皮を繰り返し、成長するに従って、昼の間は徐々に深い場所に潜るようになります。そして一ヵ月後、長いヒゲもできて、稚エビになるころには、水深100メートルほどの場所で暮らし始めるのです。
 サクラエビは深海魚達の大切な餌でもあります。サクラエビが浅瀬のプランクトンから得た栄養は、その体を通じて深海の生き物に運ばれているのです。このためサクラエビは生きた「マリンスノー」とも呼ばれています。(NHK放送、生き物地球紀行、「静岡・駿河湾の四季、熱帯魚と深海魚が出会う海」より)

 駿河湾での水揚量が圧倒的で、年間7,000トン(約200億匹)を誇る(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 桜エビは、海の中にいるときは無色透明に近いが、光に弱いため、水揚げされるとすぐに桜色になることから、この名がある。桜エビ漁の歴史は明治17年にまでさかのぼる。鯵漁に出た漁師が浮きを流されてしまい、海底近くまで沈んだ網を引き上げたところ、桜エビが大量に獲れたのが始まりだという。現在、桜エビ漁を行っているのは静岡・由井町、蒲原町、大井川町の3漁協。漁期は春と秋の年2回。鮮度が命といわれる桜エビ。夜、水揚げされたものは、翌朝競りにかけられ、すぐに出荷される。それを河原や海岸、畑一面に広げて天日干しにする。全国的にはこの素干し桜エビが有名だが、地元ならではの食べ方といえば生。近年、急速冷凍の技術が発達し、東京の料理屋などでも見かけるようになったが、もとは地元の漁師たちの食べ方だった。(雑誌「サライ」1998年1月1日号p.35より)

 駿河湾で水揚げされるサクラエビの7割は干しエビとして全国に出荷される。干しエビを作るときに使う「フルイ」は左右に振ってエビをばらまくのに使うが、そのとき体長の3倍もある長いヒゲ(触角)がちぎれて残り、サクラエビを食べやすくしている。天日干しは春の陽ざしに8時間さらして作られる。(NHK総合TV放送、「食卓の王様、サクラエビ」より) 

関連サイト

サスジョウ柚木(ゆのき)商店さんの「桜海老豆知識」:サクラエビのことならこちらが楽しく勉強になります。通信販売もあります。


サルエビ
Trachypenaeus curvirostris
Stimpson,1860
クルマエビ科


浜名湖産(鷲津)

通称:サルエビ、エビジャコ、アカエビ
英名:Hardback Shrimp

 体長60〜100mm。体表面は細毛におおわれる。額角は雄ではまっすぐで短く、雌では先端が上方に曲がり、第一触角柄の先端に届く。額角上縁に8歯と胃上歯、下縁無歯。触角上刺、肝上刺がある。尾節に縦溝、3対の側刺がある。生時は淡黄褐色だが死後間もなく赤褐色に変わる。瀬戸内海、四国、九州沿岸に多く、太平洋沿岸では三陸沿岸、日本海沿岸では陸奥湾、北海道西岸まで生息し、この類としては珍しく北方にも分布している。外国では韓国、中国、台湾、マレーシア、インドネシア、エギプト、イスラエル沿岸に分布する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 北海道南部から西太平洋、インド洋に広く分布し、近年はスエズ運河を経て地中海にまで分布を広げている。むきえびとして流通し、空揚げで賞味される。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 瀬戸内海では、トラエビとともに小型底曳き網漁業の中心的な漁獲物である。(橘高二郎他編「エビ・カニ類の増養殖」より)

 釣り餌としての需要が多いため、各地で調査が行われている。それによると、内湾では水深20〜30mに、外海に面した場所では50m以浅にすむ。産卵期は西南日本では5〜10月、仙台湾では7〜9月である。産卵期が長いため、早い時期に産卵するのは体長8〜10cmという大型個体、後期は6.5〜8cmの小型個体という傾向がある。したがって、長期世代と短期世代があり、大型の寿命は満2年と考えられる。(東水大第9回公開講座編集委員会編、「日本のエビ・世界のエビ」より)


シバエビ 
Metapenaeus joyneri
(Miers,1880)
クルマエビ科



東京築地市場にて

通称:シバエビ、シロエビ、アカヒゲ
英名:Shiba Shrimp

 体長15cmに達するが、一般に10〜12Cmである。東京都港区の芝周辺で昔よくとれたことからシバエビの名がついた。東京湾から南シナ海まで各地の内湾に多産するが、クルマエビやタイショウエビなどに比べれば商品価値が低く、むしろ中級の天ぷら材料やすり身としても使われる。典型的なクルマエビ類とは、額角の下縁に歯がないこと、また、ごく短い毛が生えた浅いへこみが頭胸部、腹部全体に不規則に拡がっているため、手触りがざらざらしていることで区別できる。(小学館「食材図典」より)

 額角上縁に7〜9歯と胃上歯、下縁無歯。尾節は側刺を欠く。東京湾以南、台湾、黄海の内湾、内海の水深10〜30mの砂泥底に生息する。産卵期は6月下旬〜9月。交尾栓をつけた雌個体が7〜8月に多くみられる。稚エビは7月中旬から干潟に出現し、成長とともに深所に移動する。寿命は満1年。周防灘における盛漁期は11〜3月。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 産卵期は6月中旬から9月下旬で、稚エビは汽水域にも見られる。10月には2〜3cmに成長し、その後湾外へ出る。寿命は1年。一般に沿岸のクルマエビ類は越冬場への移動が始まると群れを作るため、その時期をねらって漁獲するが、湾外の深みに入ると群れが消えてしまう。ところがシバエビは越冬場でも群れをなす傾向があり、冬でも漁獲される。極東に限って分布し、韓国の年漁獲量は2,000トンにのぼる。(東水大第9回公開講座編集委員会編、「日本のエビ・世界のエビ」より)

 かつては東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海などの内海で獲れた大衆魚だったが、現在では三河湾が北限。岡山から山口県宇部、福岡にかけて水揚げがあるが、漁獲高は決して多くない。近年では台湾などからの輸入も増え、国産天然の芝エビは、今や貴重な高級食材になってしまった。芝エビは夏に産卵して、11月から2月にかけてが旬にあたる。寿命は1年と短い。現在福岡県での水揚量が比較的多いが、地元ではあまり食されず、そのほとんどが東京に運ばれている。というのも、昔から、芝エビは江戸の寿司屋の玉子焼やそば屋のかき揚げの具に欠かせない食材だったから。江戸前寿司の甘い玉子焼のふんわり感と独特の風味は、芝エビのすり身ならではのものだ。また今でこそ天ぷらそばは、大型エビの棒揚げが一般的だが、江戸時代は芝エビのつまみ揚げやかき揚げだった。(雑誌「サライ」1998年1月1日号p.26より)

関連サイト 

東京築地市場のホームページにある「旬の魚」の一つ「シバエビ」
佐賀県のホームページ、「さがのさかな写真鑑」の中の一つ「シバエビ」


シラエビ 
Pasiphaea japonica
Omori,1976
オキエビ科

通称:シロエビ、ベッコウエビ
英名:Japanese Glass Shrimp

 体長70mm。甲は側扁し背隆起がなく、額角を欠く。甲背正中の前端に1鋭歯がある。腹部第6節の背隆起の末端に鋭刺あり。尾節の末縁に4対の刺がある。第一・第二脚に鉗がある。
 日本近海にのみ知られ、富山湾、駿河湾には多産し、相模湾、遠州灘にも分布する。昼は水深150〜300mに群泳し、夜間に100m以浅に浮上する。素干にして食用、また着色したものをサクラエビの代用種として販売される。富山湾の漁場が古来最も有名である。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 1953年以来、年に200〜500トンが漁獲されている。ごく近縁種の、White glass shrimp P. sivado やPink glass shrimp P. multidentata は東北大西洋から地中海に分布している。水産的価値は小さいが、スペインやイタリアでは一部操業されている。(東水大第9回公開講座編集委員会編、「日本のエビ・世界のエビ」より)

 このエビを対象に商業的な漁獲が行われているのは富山湾に限られるため、富山を代表する珍味というわけだ。白エビ漁は古く江戸時代から営まれていたようだ。当時は生食ではなく、煮干しにして素麺のだしを取ったり、乾燥桜エビのように仕立てて酒の肴や天ぷらに用いたようだ。(雑誌「サライ」1998年1月1日号p.38より)

 富山湾は藍瓶(あいがめ)の海という。遠浅と呼ばれる大陸棚に囲まれたこの国の沿岸では珍しく、陸地から100メートルも沖を目指せば、ストンと深い海になる。深い藍色をたたえた、かめ状の地形である。陸(おか)で桜が散るころに、「白い乙女」(地元の漁師が呼ぶ)が藍色の海に舞い踊る。4月1日、小型船の底引き漁が解禁されたシロエビ(シラエビ)漁の季節である。「こんなもの、つい最近まで魚釣りのえさじゃった」、海辺に住む人たちは不思議そうな顔で言う。ぜいたくな話しである。でもそれも無理はない。シロエビは今でこそ北陸の春を代表する味覚の一つに“昇格”したが、その正体が学問的に明らかにされたのは、ごく最近のことだった。
 体長は7センチ前後。シロエビとはいうものの、透明な体にほんのりと朱色がかかる。駿河湾名産のサクラエビと間違えやすいが、まったく別のオキエビ科という種類である。ただし、駿河湾にも生息し、食紅で着色されてサクラエビの代用になったこともある。
 かつての“代用品”も今や高級品である。冷凍技術が発達し、大都市の市場へも富山湾のシロエビが一年中、少しずつだがやって来る。名古屋市場の今の卸売価格は1キロ2,500円、夏場に入って安くなっても1,500円前後。ほとんどが料理店へ直行し、スーパーに並ぶ機会はそれほどない。でも、もし運良くみつけたら、ぜひトライしていただきたい。どうして釣りのえさだったのかと、腹立たしくなるほどうまい。皮をむいたまっ白な刺身を現地では「蜃気楼」と呼んでいる。それをご飯にのせてもいいが、お薦めは素揚げである。低温でパリッと二度揚げしてほしい、夏場のビールのおつまみにもってこい。このほか、ちょっともったいない気もするが、そうめんつゆのだしに使うといいと言う。(中部水産・神谷友成著「シロエビ」中日新聞1999年4月10日「お魚物語、港から市場から」より)

関連サイト

新湊商工会議所のホームページの特産品の紹介の一品目「シロエビ」:繊細なエビというイメージの画像がみられます。


シラタエビ
Palaemon (Exopalaemon) orientis
Holthuis, 1950
テナガエビ科


中国寧海産

中国名:小白蝦(xiao-pai-sya)

 体長60〜70mm。額角は細長く甲長1.6〜1.7倍の長さで、前方2/3は斜上方に向い上縁基部はつよく側扁してとさか状の隆起をつくり6〜7歯がある。下縁に3〜6歯がある。尾節はくさび形で先端とがり、背側縁に2対、末端部両側に2対の棘がある。第2脚はやや細く、腕節は掌部と同長かまたはやや短くて太い。函館〜九州、韓国、台湾、中国の浅海、汽水域に分布する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より

 額角は長く上向きで、基部がもり上がり7〜10刺あり、下縁に5〜8刺ある。浅海に生息する。体長は65mm。函館以南、太平洋沿岸、瀬戸内海、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。(内海冨士男監修、学習研究社刊「学研生物図鑑、水生動物」より)


ジンケンエビ
Plesionika martia (A.Milne Edwards, 1881)
タラバエビ科


舞阪漁港
 額角は細長く、基部は斜下方に向い,先端部は斜上方にまっすぐ延びて,上縁基部に5〜7歯、下縁に小歯が多数列生する。眼には小眼点があり、触角鞭はいずれも長い。眼上棘があり,前側角は鈍角で先は鋭い。尾節は第6腹節と同長、背側棘は4対,末縁に2対の棘がある。第3顎脚と第1脚はほぼ同長。第2脚は左右同長、第1脚よりやや短く、腕節は多数に分節する。後方3対脚ははなはだ細長く甲長の4倍ある。相模湾〜鹿児島、水深300〜350mに生息。大西洋・インド洋・太平洋に広く分布する。オキノシラエビとも呼ばれる。むき身を上質エビの代用に利用することからジンケンエビの名
がある(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より

スベスベエビ
Parapenaeopsis tenella
(Bate,1888)
クルマエビ科


浜名湖産(鷲津)

英名:Smooth Shell Shrimp

 体長50〜70mm。甲は平滑。額角は基部が上方に傾くが、その前方は水平、上縁に7〜8歯、胃上歯なく、下縁無歯。尾節は縦溝浅く、側刺がない。全脚に外肢がある。東京湾以南の太平洋岸、山形県(日本海沿岸)、伊勢湾、瀬戸内海、有明海に多く、トラエビとともに強内湾性種として知られる。外国産地は韓国、マレーシア、オーストラリア。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」) 


ツノナガチヒロエビ
Aristeomorpha foliacea (Risso, 1827)
チヒロエビ科



沼津魚市場にて

英名:Giant Red Shrimp 、Deep Sea Red Shrimp

 額角は甲長よりわずかに短く,先端2/3は斜上方に曲がり,上縁に9歯があり,後方5・6歯は大形,下縁無歯。肝上棘がある。第3〜第6腹節の背側に中央隆起があり,その後端は体節ごとに小棟に終わる。体表に細毛があり平滑でない。第1触角の上鞭は短くて柄の1/2の長さ。前3対の脚に鉗があり,後2対の脚は細いが,雄の第4脚は雌よりも太い。深海性種、相模湾・遠州灘・熊野灘・薩摩半島南西海域,水深200〜400mに生息。食用として市場で販売される。コスモポリタン種で,地中海沿岸諸国・メキシコ湾北部沿岸・北米南部大西洋沿岸・ベネズエラ(カリブ海)が多産地として知られている。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 体長22cmになる深海性のエビで、西太平洋、インド洋、大西洋に広く分布する。生息水深は200〜1300mで、一般に700mまでの深さでトロール漁業の対象とされている。日本近海でも房総半島から九州西岸までの各地において水深200〜400mで漁獲される。額角は長く、頭胸甲よりわずかに短いだけで、先方の3分の2がやや上を向く。上縁の歯は7〜11本。体のいたるところに発光器があり、しばらく赤斑として残る。肉質はやわらかいが、おいしい。(小学館「食材図典」より)


トサエビ
Metapenaeus intermedius
(Kishinouye)
クルマエビ科


中国寧海産(2000.10.21)

 額角上縁に8〜10刺有る。甲に不規則なでこぼこが有り、そのへこんだ部分に粗毛を生じている。シバエビに似るが、尾節に3対の側刺があり、第1脚の坐節に1刺をもつ。
 三重県五ケ所湾、和歌山県田辺湾、土佐湾、熊本県佐敷から知られている。(内海冨士男監修、学習研究社刊「学研生物図鑑、水生動物」より)
 分布は上記に加えて、香港、タイ、(酒向昇「えび 知識とノウハウ」)そして中国。


トヤマエビ 
Pandalus hypsinotus
Brandt,1851
タラバエビ科



東京築地市場にて

通称:ボタンエビ、トラエビ
英名:Corn Stripe Shrimp, Humpback Shrimp

 日本海からオホーツク海、ベーリング海まで北太平洋に広く分布するエビで、水深100〜350mに生息する。額角は頭胸甲長の約1.5倍で、上縁に15〜21本、下縁に6〜8本の刺がある。甲の背隆起が強い。体長17cm内外となる。産卵期は5〜6月で、翌年の3〜4月に幼生が孵化する。タラバエビ科のほかの種類と同じように、雄性先熟で、満3年で雄から雌に性転換するため、体長13cm以上の大型個体はすべて雌である。富山湾での漁獲が多いためにトヤマエビの名があるが、北海道ではボタンエビとよぶ。(小学館「食材図典」より)

 体長12.5cm内外の中型エビは満3年ほどで雄から雌への性転換中で、それ以上の大型個体はすべて雌である。雌は約1年の間抱卵する。産卵期は4〜6月。北海道沿岸では「ボタンエビ」の名で販売されている。ボタンエビと違って、腹部にはっきりと横縞模様があるので区別できる。養殖技術も進んでおり、年間10万尾以上の生産が見込まれている。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)


ヒゲナガエピ
Haliporoides sibogae (DeMan,1911)
クダヒゲエビ科



沼津魚市場にて

英名:Jack-knife Shrimp、Mud Shrimp

 体長150mm。体全面に細毛があり平滑でない。第1触角は内外2鞭ともに甲長より長い。第2触角鞭は体長の3倍の長さがある。額角は短く上縁に6〜9歯,胃上歯,下縁に1〜3歯がある。触角上棘、鰓前棘、肝上棘がある。触角上棘の後方同一線上に2棘があり,そのうち後方の1棘は頸溝の直後にあり、後方棘の斜前方になお1棘がある。第3顎脚〜第5脚に退化した外肢がある。脚は後方ほど長く,第5脚は甲長の4.5倍ある。脚鰓は第2顎脚にのみ発達する。駿河湾・遠州灘・熊野灘・薩摩半島南西海域、水深200〜600m、薩摩半島南西海域では325〜420mの砂〜細砂底に多産。インドネシア・オーストラリア東南沿岸,水深270〜500m。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 体長20cmに達する深海性のエビで、一般に水深200〜600mに生息する。甲はじょうぶで、全面が短毛で覆われてザラザラしている。額角はごく短く、上縁が盛り上がっている。第2触角は体長の3倍はあり、和名の由来となっている。駿河湾以南、インドネシア海域まで分布する。日本近海では紀伊水道から九州西岸にかけて多く、春から夏にかけて年問500t内外が漁獲されている。(小学館「食材図典」より)

 額角は頭胸甲の半分ほどの長さしかなく、背面に強く湾曲しているのがふつうである。水深200〜600mの砂泥底にすみ、触角を背面から後方にのばしている。駿河湾からインドネシア海域、オーストラリアまで分布する。深海性であることから、肉質はあまりよくなく、可食部分も多くない。しかし、各海域に比較的多産するため、深海トロール漁の重要種となっている。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)


ヒゴロモエビ
Pandalopsis coccinata Urita,1941
タラバエビ科

通称:ブドウエビ、ムラサキエビ

 水深230mの泥底に生息。千葉県銚子〜北海道、サハリンに分布。北海道東部ではホッカイエビとともに重要産業種。体長100〜150mm。額角は前半部が上に向き甲長の1.5倍、上縁先端に1〜2歯、上縁後半部から甲上正中線上に11〜15の可動歯、下縁に8〜10歯がある。第1脚の長節は葉状にひろがる。大型少数卵を産み、未発眼卵径3.6×2.7mm、歩行性大型幼生1期が知られている。第3顎脚から第2脚の外肢が退化し、腹肢が未分化で、遊泳機能は認められない。ホッカイエビより進んだ形で孵化する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 このエビは銚子あたりから北海道にかけての太平洋側で獲れるが、最も仙台で珍重されるようだ。寒期が旬で、以前はトロール網漁で大量に獲れたが、現在は非常に少なく高級魚となってしまった。「昔はわりと普通にありましたが、獲れなくなったのは、ここ10年くらいですかね。仙台の寿司屋では最も値段の高い寿司ネタのひとつです。心地好い甘みがあり、握りや刺身もいいですが、天ぷらが抜群です。」『鮒鮨』の伊藤博氏は、甘みを砂糖で表現するならグラニュー糖だと説明した。氏の観察では、獲れる場所で色が微妙に違うとか。(雑誌「サライ」1998年1月1日号p.23より)


ベニガラエビ
Penaeopsis eduardoi Perez-Farfante,1977
クルマエビ科

舞阪漁港
 額角上縁に8〜13歯(11〜13歯が多い)、胃上歯,下縁無歯。鰓前棘、肝上棘がある。第1触角の下鞭は,雄では甲長ほど長く根元が半円状に曲がるが、雌では短くて曲がらない。尾節の側縁に3対の棟がある。全脚に退化した外肢がある。副肢と側鰓は第4・第5脚に、関節鰓は第5脚になく、脚鰓は第2顎脚にのみあって他脚にはない。深海底生種。遠州灘・熊野灘・薩摩西海域、水深100〜400mに生息し、300〜350mの砂泥底に多い。フィリピン・マレーシア・インド・インドネシア・フィジー・トンガ沿岸に分布する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

ボタンエビ 
Pandalus nipponensis Yokoya,1933
タラバエビ科



静岡県沼津魚市場にて

通称:ボタンエビ
英名:Botan Shrimp

 北海道南部から土佐湾にかけて、本州の太平洋岸に沿って分布し、日本海沿岸には分布しない。水深300から500mに生息し、生息深度は北へゆくほど浅くなる。北海道各地でボタンエビと呼ぶのは、多くはトヤマエビのことである。体長は20cmを超える。額角は頭胸甲長の1.5倍で、上縁に17〜20本の可動棘、下縁に10〜11本の不動棘がある。産卵期は2〜5月で、卵数は720〜1140粒。ほかのタラバエビ類と同様、雄性先熟である。肉は甘みがあっておいしい。アマエビの名で売られることがある。(小学館「食材図典」、三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 第2脚は左側が長く、腕節は左側が30ほど、右側が12に分節する。生きているときはやや濃い橙色で、頭胸甲の背隆起の刺と額角中央部付近が赤い。その体色から、「牡丹エビ」の名が付いたと思われる。腹部にある不規則な赤褐色の斑紋が特徴。機船底曳網で漁獲されるが産額は多くない。肉は甘みがあって美味。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 「ボタンエビは年間を通して獲れます。ただ、夏は傷むのが早く、冬は海画が荒れ漁が少ない。沈めたカゴを夜とりにいくという漁ですが、早朝揚がったエビはその日の午後には私の店に着く。卸売市場では次の日が競りです。よく使うのは古平や余市産。噴火湾産は小型です……」(札幌市、狸小路市場の活けの大型ボタンエビにこだわる鮮魚店「下倉孝商店」の下倉氏の弁;雑誌「サライ」1998年1月1日号p.22より)

関連サイト

鳥羽水族館のホームページの「今週の動物」の項、File No.62 「ボタンエビ」:美しい画像Fileもあります。
青森県弘前の卸売市場の「弘前丸魚」さんのホームページの「3月場所 ボタンエビ」:画像がみられます。


ホッカイエビ 
Pandalus kessleri Czerniavski,1878
タラバエビ科

通称:ホッカイシマエビ、シマエビ
英名:Hokkai Shrimp

 北海道からサハリン(樺太)、千島列島にかけて分布する食用エビで、体長13cmに達する。浅海のアマモの茂った場所に多く、緑褐色の体色と淡黄白色の縦縞がカムフラージュ効果をあげている。額角の上縁には13〜18本の可動刺が、下縁には10〜15本の不動刺がある。北海道野付湾の打瀬網漁は有名である。タラバエビ類に共通の特徴として、雄性先熟で、体長5.5以下はすべて雄で、後に雌に性転換する。性転換中の個体は体長5.5〜11.5cmにみられる。抱卵数は体長12cmの雌で350〜550粒。新鮮なものは刺身に、また塩ゆでなどにもする。(小学館「食材図典」より)

 タラバエビ科の多くが深海産であるのに対して、水深1〜5mほどの砂泥底に生えているアマモ、スガモの間に生息する。暗緑褐色に黄褐色の縦縞がある体色が、藻場でのカムフラージュ効果をあげている。雑食性で、藻類などのほか、小型の甲殻類やゴカイ類を好んで食べる。養殖も行われている。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 北海シマエビはその名の通り、体に沿って幾筋もの縞がある。捕獲直後はアマモの保護色なのか、深緑とオレンジ色が混在する美しい配色。じつは、野付湾のエビ漁は方法が少々変わっている。船のスクリューでエビの繁殖を育むアマモを傷つけないよう、古式ゆかしい打瀬船漁で行うのだ。漁期は北海シマエビの保護をのため、通常は年2回。6月中旬から7月末までと、10月中旬から11月にかけてだが、調査の結果次第では年1回ということもあるとか。早朝漁に出た船は、漁協での競りに合わせて2時近くになるち一斉に戻ってくる。船は全部で31隻。明治の頃は200隻もあり、これらが湾に点在する様は美しかったそうだ。漁協で競りが終わると、尾だい沼で北海シマエビを扱う業者は急いで帰途につく。エビは生きているうちに茹でないと、おいしくないからだ。「精の弱いエビなんですよ。すぐ弱るので、このエビの躍りは、漁の時期に、尾だい沼でしか食べられません。」とは、この場所で料理店『白帆』を営む平野氏。躍りはぷりぷりした食感が、刺身は甘エビのような旨みが、茹でたては凝縮したおいしさが魅力。(雑誌「サライ」1998年1月1日号pp.36-37より)

関連サイト

OKHOTSK ORGANIZATIONのホームページの物産情報の一品目「北海しまエビ」:ゆでたあとの赤くなったエビの画像があります。


ホッコクアカエビ 
Pandalus eous
タラバエビ科



名古屋柳橋市場にて

通称:アマエビ、アカエビ、ナンバンエビ、トンガラシ
英名:Northern Shrimp, Pink Shrimp

 北太平洋、北大西洋に広く分布する環北極種で、各地で多量に漁獲される。とくにベーリング海からアラスカ湾のエビ漁獲量の80〜90%を占める。日本海ではトヤマエビに次いで多い。水深150〜300mの泥底にすむ。産卵期は3月中旬〜5月中旬で、卵数は800〜4200粒。卵の色は青い。2〜3年で雄として成熟し、5年半くらいで雌に性転換するために大型個体はすべて雌である。肉はやわらかく、甘みが強い。また、水で抽出されやすいタンパク質が多量にあるため「とろみ」がある。体長13cmになる。刺身やすし種としてなじみが深い。剥き身を塩辛にしたものもある。(小学館「食材図典」より)

 額角は甲長の1.5倍より長く、上縁に12〜16歯、うち3〜4歯は甲上にあり、下縁に6〜9歯、先端に1歯がある。腹部第3節は背面の一部が側へんしかつ隆起して小突起になる。第2脚は左側が著しく長い。水深200〜500mの大陸斜面に生息し、底曳き網・桁網・かご網で採集。産卵期は日本海側3〜4月(富山・新潟県)、4〜6月(北海道)、太平洋側6〜7月(北海道)。寿命4年。卵径1.2から0.9mm。遊泳幼生7期(ゾエア)。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 第3腹節の背面中央に小突起があるので、類縁種からは簡単に区別される。(橘高二郎他編「エビ・カニ類の増養殖」より)

 水深150〜500mで底曳網、桁網(けたあみ)、篭網などで漁獲される。日本海ではトヤマエビに次いで漁獲量が多い。北ヨーロッパでも盛んに獲られているが、近年の研究では北大西洋産の個体群は別種ホンホッコクアカエビ(Pandalus borealis)とされた。ただし、簡単に区別できないほどよく似ており、輸入冷凍品では同じアマエビとされている。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 甘エビの水揚げ日本一は新潟県である。1月から2月にかけて、日本海の甘エビは10か月近く抱かえていた卵を放つため、200メートル前後の浅場に移動する。この時期が旬だ。(雑誌「サライ」1998年1月1日号p.21より)

 甘エビは近年大いに注目を浴びているエビといえるだろう。もともとは北海道や金沢など一部の地域の特産物としてのイメージが強かったが、現在は関東を中心に一般的に食べられるようになった。しかし実際にスーパーで売られているものの約八割は外国産。しかもその大半がグリーンランド、ノルウェーなど北欧産でしめられている。つまり、ここ10年あまりで急速に普及してきたものは、国内産ではなく、これら外国産なのだ。(柴田書店発行「日本料理の四季27号」より)

 主産地の北海道では、かご漁で獲る。えさを入れたかごを沈めて、中に入った甘エビを獲る。量的には、さほどまとまるものではない。甘エビは結構、デリケートな性質で、温度の変化に強くない。温度が上がると、赤い色素のカロチノイドが褐変し、甘みのもとのタンパク質が凝固して、とろみを失うこともある。家庭用の冷蔵庫では、そうした変化を止められない。市場の大きな低温倉庫で、氷点下40-50℃に保つ。だから、本当に鮮度が高い上質の甘エビは料亭などへ直行し、一般の食卓にはほぼ冷凍物しか並ばない。3月という例外を除いては---。3月は甘エビの産卵期に当たる。普段は200-300mの深海にすむ甘エビが、産卵期には海岸近くの藻場を目指して浮上する。それを狙って、山陰で底曳き漁船が始動する。こうして、くだんの「市場通」氏は春先に限り、倉庫の外にも山積みの甘エビを目にすることになる。(中部水産・神谷友成著「甘エビ」中日新聞1999年3月13日「お魚物語、港から市場から」より)

関連サイト

新湊商工会議所のホームページの特産品の紹介の一品目「甘エビ」:食べ方も紹介されています。


ホッコクエビ
Metapenaeopsis lamellata (De Haan, 1844)
クルマエビ科

浜名湖鷲津

 甲は堅く全面に粗毛がある。額角は顕著に隆起し,上縁に7〜10歯,胃上歯,下縁無歯。鰓前棘、触角上棘、肝上棘がある。腹部には背隆起があり,第3節の隆起は著しく、第3〜第5節の背隆起の後端に切れこみがあり、次節の隆起が入りこみやすくしている。尾節には3対の可動側棘と末端部に1対の不動棘がある。北海道西岸以南九州の各海域の内海・内湾,300m以浅に生息する。分布が宗谷海峡に及ぶため和名がつけられているが、本来暖海性である。黄海・シナ海に分布し・アカエビなどともに漁獲されるが量は少ない。キントキエビの地方名がある。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 浜名湖では、年間数尾の漁獲があるだけのめずらしいエビ。


ミノエビ
Heterocarpus sibogae De Man, 1917
タラバエビ科

舞阪漁港

通称:ミノエビ、カブトエビ

 殻がかたく全面に粗毛がある。額角は甲長にほぼ等長,先端がやや上に向く。上縁に16〜18歯、うち4〜5歯は甲上に、下縁に1O〜11歯がある。触角上棘・鰓前棘から発する2条の縦走隆起の上下に各1条、合計4条の縦走隆起が甲側面にある。腹部の第1〜第4節の背隆起は鋭く、ことに第3・第4節の後縁に大棘がある。尾節の背側縁に5対、末縁に2対の棘がある。第2脚は不相称で、左右いずれか一方が長くて細い。他方短脚は太い。腕節は長脚では19〜20、短脚では7〜8分節からなる。水深300〜500mに生息。千葉県〜鹿児島県沖、ジャワ海・バンダ海に分布する。抱卵期10月(土佐湾)。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)


モエビ
Metapenaeus moyebi (Kishinouye,1896)
クルマエビ科

英語:Green Tail Prawn
中国語:玻璃蝦(Bolixia)

 体長10〜13cm。甲は平滑で粗毛のあるくぼみが散在する。額角はまっすぐで上縁に6〜8歯あり、下縁は無歯。甲に胃上歯、触角上刺、肝上刺があるが、前側角に刺がない。東京湾、三河湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海に多く、水深20m内外の泥底、またはアマモ帯の砂泥底に生息する。産卵期は7月下旬〜9月下旬。台湾、フィリピン、マレーシア、インド、パキスタンの沿岸に多く産し、クルマエビ属に次いで商品価値は高い。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 特別の模様や斑紋はなく、全身が一様な淡青緑色ないし淡黄褐色である。産卵期は夏で、翌年の夏に成熟し、産卵後は死ぬ。東京湾以南、各地の内湾の水深20m内外に生息し、他のエビ類とともに、打瀬網、待ち網、流し網、蝦こぎ網など、さまざまな漁具で漁獲される。漁期は6〜9月。かつては東京湾でも多かったが、最近では少なくなった。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 その名が示すようにアマモが茂る砂泥底を主なすみ場とする。産卵期は盛夏の1か月くらいで、10月ころに頭胸甲長1cmほどの稚エビが干潟に出現する。東南アジアでも漁獲され、養殖が行われている。(東水大第9回公開講座編集委員会編、「日本のエビ・世界のエビ」より)


モロトゲアカエビ
Pandalopsis japonica Balss,1914
タラバエビ科



名古屋柳橋市場にて

 体長130mm。額角は先端部がわずかに上に向く。上縁に20〜27の可動棘、下縁に10〜15棘がある。尾節は第6節の1.5倍の長さで、背側縁に8対、末縁に3対の棘がある。触角上棘・鰓前棘がある。第1脚長節は葉状にひろがる。水深180〜530mの泥・泥砂・砂底に生息。福井県〜北海道、サハリン・韓国東岸に分布。日本海では秋から春にホッコクアカエビ・トヤマエビとともに混獲されるが、本種の漁獲量は少ない。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 水深180〜370mの砂泥底に棲み、アマエビと一緒に網にかかる。寒海系のエビだけに北海道や山陰以北の日本海に生息する。また樺太から沿海州にかけて分布する。体長は15センチ程度で淡赤色の体に4〜5条の赤斑縦線が走る。そこからシマエビとかアカシマエビと呼ばれる。肉は旨く刺身やすし種にいい。(阿部宗明・末広恭雄監修、「日本さかなづくし-3集」より)


ヨシエビ
Metapenaeus ensis (De Haan,1844)
クルマエビ科


浜名湖産(鷲津)

通称:スエビ、シラサエビ、
英語:Greasyback Prawn
中国:泥蝦(nii-sya)
台湾:沙蝦、中蝦

 体長10〜15cm。額角上縁に8〜9歯あり、下縁は無歯。甲に胃上歯、触角上刺、肝上刺がある。尾節は側刺がない。腹部第4〜6節に背隆起がある。体表は細毛におおわれ、不規則な隆起がある。汽水にも生息し、産卵期は6月中旬〜9月上旬。東京湾以南の太平洋岸、富山湾以南の日本海沿岸に分布する。商品価値はクルマエビ属に次ぐ。韓国、台湾、中国、フィリピン、マレーシア、タイ、ボルネオ、オーストラリアに産し、養殖エビも盛んに輸出される。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 クルマエビ科の重要種。雌は体長18cm、雄は15cmほど。胸脚は赤褐色で、2本の白色横帯があるが、体は淡褐色ないし黄褐色で、黒褐色の細かい斑点が一面にある。体表には浅いへこみがあり、かたい毛が生えているため、ざらざらしている。シバエビとは体色が異なるが、形態は非常に似ており、雌雄の生殖器を比較しないと簡単に区別できない。11月から翌年3月までの漁期に手操網(たぐりあみ)や打瀬網で漁獲する。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」より)

 やや小型だが、水深20〜60mに多産する重要種で、東南アジア各国では養殖も行われている。シバエビとよく似ているが、本種では第一歩脚の根元の節に刺があることで区別できる。(小学館「食材図典」より)

 水深10〜100mの砂泥底に生息する。台湾では、主に南西部沿岸で漁獲され、北東部沿岸では量は多くないが10〜16cmの大型のものが漁獲される。(遊祥平他著「原色台湾対蝦図鑑」)


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