最近のニュースに思う
インドネシアのニュースサイトを見て、現地で生活していた頃の体験を基に思い付くことを書いてみました。
 
 
 2017.06.02 メガワティ元大統領の朝鮮半島統一関与     ジョコウィ大統領の支持母体であるインドネシア闘争民主党の党首であり、現在も政治勢力を持つメガワティ元大統領が韓国の新大統領と会い、南北朝鮮の統一に尽力したいと述べたそうである。
 
彼女の父親は独立の父と呼ばれるスカルノ初代大統領であり、スカルノ氏は政権末期には中国共産党との関係を深くして、1965年9月30日のインドネシア共産党によるクーデターを引き起こした責任を問われて、1968年にスハルト大統領に政権を奪われたことは有名な史実である。
 
スカルノ氏は金日成と親交があったらしいが、その父親の意志を継ぐかのように、中国共産党が一番喜ぶ北朝鮮主導の形での朝鮮半島統一に協力を申し出ると言うのには今更ながら驚いてしまう。
 
北朝鮮主導で朝鮮半島が統一されると、中国共産党による日本列島支配はぐんと現実味を帯びて来る。そのことに手を貸そうとしている姿勢には非常に怒りを覚える。
 
孫子の兵法に遠交近攻という戦略がある。遠くの国と親交を深め、近くの国を攻めるということであるが、今の中国共産党にとっての遠くの国とはインドネシアであり、近くの国とは日本なのである。
 
無二の親日国と言われて来たインドネシアのキングメーカーとも言えるメガワティ氏がまるで中国共産党の手先のような行動をとるとは返す返すも残念で仕方がない。
 
 2017.05.25 アホック氏の獄中からの手紙     今年2月に行われたジャカルタ州知事選挙に現役の知事として続投すべく立候補し、選挙遊説中にイスラムを冒涜する発言をしたとして訴えられ、選挙に負けた後の裁判では異例の検察の要求を上回る禁固2年という実刑判決を受けたバスキ・チャハヤ・プールナマ氏、通称アホックは拘留されている先から支持者に対して控訴はせずに判決を受け入れる旨の手紙を公表しました。
 
宗教と政治の垣根が次第に取り払われていくような不安を感じています。また、この件とは直接関係ありませんが、国益を損ねるような捏造記事を世界に発信しても何の罪も問われない日本はどうなるのだろうかと心配です。
 
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2017年5月21日、デポック拘置所にて
 
親愛なるボランティアの皆さん、そして(私)アホックの支持者、それぞれの場所において民主的な行動を起こして下さった皆さんへ。
 
私は自信が経験した出来事について多くのことを考えてみました。私を常に支えるために祈ってくれた皆さんに感謝したいと思います。花、食料、葉書、手紙、書籍の贈り物、そして蝋燭を灯しての集会。
 
皆さんがこのような事実を受け入れることは易しいことではないと知っています。ましてや私自身は。しかし私は全てのことを許して受け入れることを学びました。それが私たちの民族と国家にとって良かれとするのであれば。
 
ジャカルタの住民は渋滞や経済損失を蒙ってはいないだろうか。デモは交通を妨げる結果になってはいけないし、私が今経験してることについてお互いにデモをしてはいけない。私はボランティアがデモをすることでやがて多くのグループが出来て、我々の闘いを嫌う反対側のグループと衝突することが心配です。
 
パンチャシラによるインドネシア共和国の統一、1945年基本法そして多様性の中の統一に基づく憲法のために規律あるデモや蝋燭を灯してくれたことに感謝します。
 
神は主権を有しそれぞれの民族の歴史を統べていることを信じていると示しましょう。我々は唯一絶対の神を信仰する者であり、お互いを愛する人間であり、お互いの人間にとっての真実と公正を守護するものであることを示しましょう。
 
神は休むことがない。
 
常にあなたの希望を主に委ねなさい。マズムール131第3節
 
私の信仰においてはこのように言います:神は私の人生のために尽くしてくれるであろう。マズムール138第8a節
 
アホック/バスキ・チャハヤ・プールナマ
 

Rumah Tahanan Depok, Minggu 21 mei 2017
 
Kepada para relawan dan pendukung Ahok yang saya cintai, semua mereka yang telah menjalankan proses demokrasi di manapun berada.
 
Saya telah banyak berpikir tentang kejadian yang saya alami. Saya mau berterima kasih kepada saudara-saudara yang terus mendukung saya dalam doa. Kiriman bunga, makanan, kartu ucapan, surat, buku-buku bahkan berkumpul dengan menyalakan lilin.
 
Saya tahu tidak mudah bagi saudara menerima kenyataan seperti ini. Apalagi saya. Tetapi saya telah belajar mengampuni dan menerima semua ini. Jika untuk kebaikan kita dalam berbangsa dan bernegara.
 
Alangkah ruginya warga DKI dari sisi kemacetan dan kerugian ekonomi. Akibat adanya unjuk rasa yang mengganggu lalu lintas, tidaklah tepat saling unjuk rasa dan demo dalam proses yang saya alami saat ini. Saya khawatir banyak pihak akan menunggangi jika para relawan unjuk rasa, apalagi benturan dengan pihak lawan yang tidak suka dengan perjuangan kita.
 
Terima kasih telah melakukan unjuk rasa yang taat aturan dan menyalakan lilin perjuangan konstitusi ditegakkan di NKRI dengan Pancasila, UUD 1945 dan Bhinneka Tunggal Ika.
 
Mari kita tunjukkan bahwa kita percaya, Tuhan tetap berdaulat dan memegang kendali sejarah setiap bangsa. Kita tunjukkan bahwa kita adalah orang yang beriman kepada Tuhan YME, pasti mengasihi sesama manusia, pasti menegakkan kebenaran dan keadilan bagi sesama manusia.
 
Gusti Ora Sare..
 
Put your hope in the Lord now and always. Mazmur 131 ayat 3.
 
Kalau dalam iman saya, saya katakan: The Lord will work out his plans for my life, Mazmur 138 ayat 8a
 
Ahok BTP.
 
 2017.04.21 ジャカルタ特別州の知事選挙     ジャカルタ特別州の知事選挙の結果は現役のアホック氏ペアが48%、新人の元文化教育大臣アニス氏ペアが52%の得票率となり、今年の10月から知事はアニス氏に代わることになった。アホック氏敗北の大きな要因は、遊説先であるプラウスリブでのイスラム侮辱発言問題が挙げられるが、結局のところ検察は侮辱発言の証拠は特定出来なかったと、選挙直後に結論付けた。選挙運動期間中はこの問題がもっぱら取り上げられて、表面的には宗教対立の選挙であるかのようにも見られた。しかし、実際には三層からなる勢力争いの代理戦争のようにも思えた。第一層はジャカルタ知事という利権を支配したいグループの争いであり、第二層は2年後の次期大統領選挙をにらんだグループの争いで、第三層はアジアの覇権を争う中国共産党とアメリカの争いである。日本政府がこの代理戦争に手を染めることは考え難いが、親中派の大物国会議員が日イ友好の名の下に、中国共産党との橋渡しをしているのではないか、それだけが心配である。
 
 2016.05.13 インドネシアは不景気と言うけれど  最近のインドネシア発のニュースを読んだり、や現地の経営者に会ったりすると『景気が悪い』と言葉ばかりが出て来る。確かに中国向けの資源輸出が大幅に落ち込んだせいで、自動車などの販売台数は低迷している。そして、ルピア安による輸入資材のコストアップと、大幅な賃上げが続いたことにより過去5年間で2倍になった最低賃金は企業利益を圧迫している。
 しかし、悪いとは言いながらも経済成長は、昨今の日本では考えられない5%前後を維持している。労働人口の半分以上は30歳以下であり、労働力に困ることは考えられない。賃金が上がることはコストの面からはデメリットであるが、間違いなく国内需要を押し上げる要因でもある。インドネシアの今の状態は日本が高度成長を遂げた昭和40年台と非常に良く似ているから手本は既にある。
 GDPの一つの要因である公共投資をどんどん行えば良いのである。高速道路や高速鉄道の整備による物流の効率向上、一人当りの生産性を高めるための設備投資に対する優遇税制など、先ずはインドネシア政府が積極的に公共投資にお金を出して民間の投資を焚き付けることが必要である。日本はそれで高度成長を実現したのだから真似をすれば良いのだ。少なくとも中国からの投資に頼るべきではない。
 インドネシアの経営者の皆さんには是非、マクロ経済の視点からもっと先を見据えて、上を向いて歩いて欲しい。いつまでも『景気が悪いと』うつむいていて欲しくない。
 
 2015.12.07 いつまで続くのかインドネシアの汚職 インドネシアの国会議長が、アメリカの資源開発会社との合弁でパプアで金・銀・銅を採掘している会社の事業許可更新に際し、条件としてジョコウィ大統領名義の株式を要求したとのことで更迭されるようだ。大統領も絶対に許さないと激怒しているらしい。
 
 この人は先のアメリカ訪問の際に、共和党の大統領候補であるトランプ氏の選挙集会に参加し、トランプ氏からインドネシアの大物と紹介されていた。得意の絶頂からの滑落になるのだろうか。
 
 もしかしたら、野党出身のこの人はジョコウィ大統領のスキャンダルを画策し、失脚を企んだのではないのだろうか。でも、この国の汚職問題はいつの間にか立ち消えになるから真相は判らないままだろう。
 
 2015.10.14 急速な親中化が懸念されるジョコウィ政権 9月末に発表された、新幹線を排除して中国の高速鉄道を選択するとのインドネシア政府の決定は、インドネシアと日本の歴史を知る多くの日本人に衝撃と怒りと落胆を与えたものと思います。
 
 日本は大東亜戦争以前からインドネシアとは深い関係にあり、特に戦後は経済成長のために多大な支援を続けて来ました。これは事実です。だから日本に義理を感じろと言うのではなく、これらの歴史的な関係に基づき、これからも補完関係を構築出来る二国間の協力を強化すべきと思うのです。
 
 財政的に問題があるのであればそのように言うべきであり、運営上の面で収支の不安があるのであればそのように相談してくれれば良いではないか、と言いたいのです。
 
 どうして日本人の気持ちを騙すような形で突然中国の提案に乗り換えるのか。それが国際政治の常識だとでも言うのだろうか。確かに国際政治とは本質的に汚いものであり、騙される方が悪いとも言われます。
 
 しかし、インドネシアと日本との関係も所詮はそんなレベルのものだったのか。それとも日本人の一方的な思い込みだったと言うのだろうか。
 
 インドネシア独立の父と言われたスカルノ初代大統領を父に持つメガワティ女史は、ジョコウィをジャカルタ知事に担ぎ出し、さらには大統領にまで押し上げた闘争民主党の党首であり、大統領に対して大きな影響力を持つと言われます。
 
 スカルノ大統領は独立後に次第に社会主義に傾倒し、中国とソ連との関係強化に進み、1965年9月30日の共産党クーデターを引き起こしてしまう。そのために失脚し、その後の30年にわたるスハルト長期独裁政権を誕生させてしまいました。
 
 スハルト政権期間中は中国との国交は断絶され、インドネシア国内の華僑は彼らの文化を表に出すことを厳しく制限されて来ました。
 
 しかしそのスハルト政権も1998年のアジア金融危機への対応の失敗で崩壊し、インドネシアは次第に民主国家へと変遷して来ました。
 
 特に初めて国民の直接選挙で選ばれ、2004年から2014年まで続いたユドヨノ政権は民主化の一環として、中国との関係改善や華僑の人権回復に尽力して来ました。
 
 しかしその結果起きていることは中国共産党による急速なインドネシア接近戦略です。メディア通じた中国文化の浸透に始まり、日本の支援で進めて来たいくつかのインフラプロジェクトを様々な理由で白紙に戻し、見直しと称して結局は中国支援に変更という事例が出始めています。
 
 中国の最終目的は明らかです。日本、台湾などの命綱である中東からの油を運ぶシーレーンを抱えているインドネシアを政治的に囲い込み、アメリカの同盟国である日本を窮地に追い込むことです。
 
 インドネシアには絶対にそのようなことに手を染めないで欲しいと願っています。
 
 2015.07.29 インドネシアよ、しっかりして下さい!! 今年に入ってから、インドネシアの知人は顔を合わせると景気が悪いと愚痴をこぼします。確かに自動車やオートバイは昨年に比べると顕著に販売台数を下げています。景気が悪くなった原因は色々とあるでしょう。しかし、大きな要因としては公共事業投資の増減、企業投資の増減、貿易収支の増減、民間消費の増減の他には無いと思います。では、インドネシアの景気が悪くなった一番の要因は何でしょうか?石炭を始めとする中国向けの資源輸出に頼り過ぎたせいではないでしょうか?なにやら中国にすり寄っているような政府高官もいるようですが、共産主義と資本主義の共存の大実験が破綻の様相を見せ始めている、これからの中国を頼りにするのは、非常に危ないと思います。ではどうやって景気回復を行えば良いのでしょうか?インドネシアに今一番求められているのは、海外からの投資を他のアセアン諸国に取られないように投資環境をもっと大胆に簡略化することと、国内の天然資源を工業材料に加工するサプライチェーンを構築し材料コストの競争力強化を、政府主導で早急に進めることでしょう。もちろん、特定の既得権者からは猛反対を受けるでしょう。しかし、それを断行しない限り、インドネシアはアセアンの名ばかりの盟主で、賢いベトナムやミャンマーに、あっと言う間に追い越されてしまうでしょう。
 
 2015.05.12 今年はインドネシア共産党クーデター50周年でもある 今年は世界中が第二次世界大戦終結70周年を色々な立場で記念する年になっています。しかし、インドネシアの人達にとっては、インドネシア共産党クーデター50周年でもあることを忘れてはならないと思います。1965年9月30日未明、インドネシア共産党は政権を剥奪する目的でクーデターを実行しましたが、スハルト少将が率いる陸軍により制圧され、クーデターは失敗に終わりました。その後、スカルノ大統領はその責任を取らされる形で政権をスハルト氏に譲り、スハルト大統領はその後30年間の長期独裁政権を構築することになります。スハルト政権に対する評価は賛否色々な意見がありますが、もしクーデターが成功していたら、その後のインドシナ三国において繰り広げられた内戦は、インドネシアにおいても展開されていた可能性があります。そのような経緯からスハルト時代は共産主義や中華文化はインドネシアにおいてご法度にされて来ました。しかし、2004年以降のユドヨノ政権は、民主化路線の一環としてこれらの御法度を解除し、中国との結び付きを拡大して来ました。そのお蔭で、現在は表面的には華人系インドネシア人社会に対する圧力や偏見はほとんど無くなったようにも感じられます。そればかりか、インドネシアのインターネットには、インドネシア共産党の復活を期待するような意見も堂々と掲載されています。インドネシア共産党を擁護したスカルノ大統領の長女が党首を務める、インドネシア闘争民主党がその傾向にあると言うような記事を見ると、まさかそんなことは・・・と疑いたくなります。事実として中国共産党の影響が確実に深く広く浸透し始めている現在のインドネシアにおいて、インドネシアの人達がG30Sと呼ぶ50年前の事件を思い出し、共産主義に対する警戒心を呼び起こすことを願っています。
 
 2015.04.28 新ジャカルタ港の計画変更で懸念される中国の影響 インドネシア最大のコンテナ港であるジャカルタのタンジュンプリオク港の貨物量は既に取扱能力を遙かに超えているため、西ジャワ州のチラマヤ漁港に日本政府の協力を得て、新しいコンテナー港を建設することを2011年に決定し、建設準備を進めて来ました。しかしながら、新政権の副大統領であるユスフ・カラ氏は、最近の上空からの現地視察の結果、国営石油会社のパイプラインが近くを通っていることから、ロケーションとして適切ではないとして、計画の見直しする意向を表明しました。関係者に言わせると、石油パイプの対策は最初から織り込み済みで、この期に及んでそれを問題視することは全く理解出来ないとのことです。なぜ突然そのようなことを表明したのか。丁度、ジャカルタとバンドンで開催されているアジアアフリカ会議での、中国の習近平主席の得意然とした姿が思い浮かびました。ユドヨノ政権により民主化が進められ、スハルト政権下で厳しく制限されて来た中国との関係も改善され、人口の3%でありながらインドネシア経済の90%を支配している華人と中国との繋がりは急速に強化されています。中国政府が国際政策の基本としているのは、孫子の兵法の一つである『遠交近攻』です。近くの日本を攻めて、遠くのインドネシアと交わる。これが西太平洋の支配に向けた戦略であることは間違いないでしょう。もしも新しい港の計画が白紙に戻され、その後に中国政府が参入して来るようなことがあれば、インドネシア政府の中枢は既に危ういと考えた方が良いでしょう。
 
 2015.03.11 戦後70年とアジア・アフリカ会議 日本で大東亜戦争終了70年周年の今年、インドネシアでは4月下旬にアジア・アフリカ会議が開催されます。最初のアジア・アフリカ会議は1955年にインドネシアのバンドンで開催されたことからバンドン会議としても有名なイベントでした。バンドン会議には当時のインドネシアのスカルノ大統領を始め、中国の周恩来首相、ベトナムのホーチミン主席、インドのネール首相、エジプトのナセル大統領など、非同盟諸国の立役者たちが揃って参加したことでも歴史的なイベントと言われています。会議の冒頭、スカルノ大統領から、ヨーロッパ諸国の植民地支配から解放してくれた日本に対する謝意が表明され、参加者から賛同を得たとも伝えられています。そこに中国の代表も居たことは、最近の反日攻勢からは想像出来ないことかもしれません。戦後70年の今年、特に中国と韓国からは日本に対する反省と謝罪が強く求められています。日本国内においても意見が分かれており、今年の終戦記念日に発表される首相談話がどのような内容になるのか、いずれにしても海外諸国ならびに国内の保守と革新の双方から激しい攻撃を受けるのではないかと、とても心配になります。これから日本人に求められるのは、特に明治以降の日本だけでなく、世界の歴史の客観的な事実を学び、その中で日本が犯した罪、日本が施した恩恵を正しく認識することだと考えています。日清、日露と日本が隣国との戦争に突き進んだ理由は決して大義名分と言えるものではなかったでしょう。第一次世界大戦、日中戦争から大東亜戦争に突き進んだ理由は当然のことながら欧米の思惑も絡んで来たことでしょう。日本がアジア諸国を侵略したのはその理由如何に関わらず歴史的事実です。しかし、その結果として、インドネシアなどの植民地からの独立を助けたのもまた歴史的事実です。中国や韓国のような、政治目的で反日・抗日を叫ぶ声に感情的に反応するのを控え、逆にアセアン諸国のように日本に対する賞賛や感謝の声に慢心することがないように、事実に基づいてこれらの悪意や善意に対峙する必要があると思います。
 
 2015.02.07 これからのインドネシア進出日本企業に求められるのは地場産業育成の気迫 2014年10月にインドネシアの新大統領に就任したジョコウィ氏の下、新政府は矢継ぎ早に新たな方政策を打ち出して来ています。これらは就任前から予測されていたことで、驚くべきものではありませんが、簡単に言うと、ナショナリズムの高揚を目指したものであると思います。ジョコウィ氏は大統領とジャカルタ州知事になる前は、中部ジャワの古都ソロ市の市長として、地元の工業高校がインドネシア国民車を作ることに(かなりの部品を中国が無償で提供したとの話もあり、その本当の現地生産比率と製造コストには疑問がありますが)大変力を入れていたことは有名な話です。また、私も某楽器会社のインドネシア工場からの輸出に喜びを感じていたことを考えると、ジョコウィ大統領自身、父親から譲られた家具製造会社のオーナーであり、欧州への輸出に力を入れていたことを考えると、とても共感する次第です。しかし、これから日本の中小の製造企業が、従来の感覚でインドネシアに進出しようとすると、新政府の方針が打ち出すナショナリズム的な政策に戸惑いを感じるのではないかと懸念しています。今世紀に入ってからは、インドネシアに進出する製造会社は100%独資が認められるため、ほとんどの企業は低賃金の労働力と、取引先に対するサービス向上を目的に、工場を一つ増やすような感覚で進出して来たのではないかと推測されます。しかし、ジョコウィ政権下ではその他に、様々な形での、地場産業の育成という条件が付けられるように思われます。これを障害と見る企業が多いと思いますが、インドネシアがスハルト政権時代に経済成長を遂げた時代は、100%独資は禁止されていたので、現在インドネシアで成功している、古株の日系企業は、合弁により現地パートナー企業の成長にも貢献してきたことを忘れてはいけないと思います。日本の経済成長を押し上げて来たのは、大企業よりも大多数を占める中小企業のひた向きな技術の追及であると確信しています。これからは、それらの技術を世界有数の親日国であるインドネシアにも伝授することで、日本の価値を維持高めることが必要であると感じています。スラム国とイスラ
 
 2015.02.3 インドネシアとダーイッシュ イスラム国とイスラム教徒を区別するために、イスラム国をダーイッシュと呼びます。インドネシアは世界最大のイスラム教徒を抱える国であることから、インドネシアと何らかの関係を持つ多くの日本の人達は、ダーイッシュによる鈴木健二さん殺害の事件に際して、インドネシアは大丈夫だろうかと不安を抱えているものと思います。
 そこで、40年間インドネシアと関わって来た筆者の考え方を伝えることで、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。先ず最初に間違えてはいけないこととして、インドネシア共和国はイスラム教国ではないと言うことです。2億5千万の国民の9割がイスラム教徒と言われていますが、憲法の上にあるインドネシア建国五原則でも信仰の自由が謳われています。確かに周囲のほとんどの人達がイスラム教徒であり、保守的な地域ではアルコール飲料が規制されているのも確かです。また、イスラム教徒の相手と結婚する場合はイスラム教の戒律に基づき、イスラム教徒に改宗することが義務付けられます。
 しかし、キリスト教徒やヒンズー教徒、そして仏教徒に対して、多数の力を背景にしてイスラムの教えや戒律を強制することはありません。世界のイスラム教徒は多数派と言われるスンニ派と、少数派と言われるシーア派に分かれてイスラム世界の主導権を争っています。スンニ派は預言者と呼ばれるカリフはムハンマドの子孫である必要は無いと主張しています。シーア派はムハンマドの子孫に限られると主張しています。双方の主張が妥協することは難しいでしょう。この主張の違いがアラブ地域の争いを複雑で根の深いものにしています。インドネシアのイスラム教徒のほとんどは比較的穏健と言われるスンニ派です。また、インドネシアにイスラム教徒の軍隊が侵攻して来るまでは、ヒンズー教や仏教、そして土着の宗教が浸透しており、その時代の名残がインドネシア独特の温和なイスラム文化を形成しているような気がします。
 しかし、悲しいことに10年前にはバリ島のリゾート地区で、イスラム過激派組織の自爆テロにより多くの犠牲者が出ました。この組織はジュマアイスラミヤと呼ばれ、東南アジアにおけるアルカイダの下部組織みたいなもので、その後もジャカルタの高級ホテルにおいて自爆テロを行いました。しかし、この10年間のインドネシア軍と警察による、徹底的な壊滅作戦が功を奏し、当時のようなテロ行為を実行出来る力はほとんど無いと言われています。実際のところ、生き残ったテロリストによる事件はたまに報道されますが、ほとんどは未然に防止されています。ダーイッシュに参加している、または参加を企てているインドネシア人が居るのも確かなようです。彼らがインドネシアに戻って来て、国内でテロ行為を行うことは否定出来ません。しかし、その可能性はインドネシアに限ったことではなく、世界中の国々で起こり得ることであり、イスラム教徒が多いからと言う理由で危険視するのは早計だと思います。この問題に対しては、日本人以上に、イスラム教徒が多いインドネシアの人達の方が真摯に対応しているものと信じています。
 
 2015.01.27 インドネシア投資手続きワンストップサービスの感想 2015年初頭、ジョコウィ大統領の肝煎りとして進められて来た、投資手続きワンストップサービスが投資調整庁から発表されました。インドネシアの投資手続きはアセアンの中でも最悪と言われるほど複雑で、そのために多くの時間とお金がかかるのが一般的な評価でした。これまでも時の投資調整庁長官は色々と改善を試みて来ましたが、正直なところ根本的な改善は実感出来ませんでした。今回は大統領直々の改善策と聞いて期待していたのですが、投資調整庁のホームページにある解説を読む限りにおいては期待外れです。確かに一部の手続は他の省庁から投資調整庁に移管されたようですが、それは氷山の一角であり、ほとんどの許認可は従来のまま各省庁に残ったままです。特に地方政府や土地管理局による許認可は、地方や担当者によって要求内容が異なり、やってみないと判らない部分が多々あります。また、必要日数も他の許認可に較べて異常に長く、立上準備のネックになることが多いのです。しかし、今回の改善ではその部分は全く触れていません。今回の改善はスタートであり、是非これから順次簡素化されることを期待しています。
 
 2015.01.24 インドネシア汚職撲滅委員会は是か非か 2003年に独立機関として設立されたインドネシアの汚職撲滅委員会(KPK)と警察の軋轢が激しくなりつつあります。KPKが新任の警察長官について汚職の疑いで就任に異を唱えたのに対して、警察はKPKの副委員長を汚職の容疑で逮捕しました。この種の軋轢は今回が初めてではなく、以前にも何回か発生し、その都度大統領の仲介などでうやむやのままになっていました。今回の問題は、KPKに異議を唱えられた人物が、新大統領を支持した闘争民主党の党首であるメガワティ氏の元護衛長であったことで、キングメーカーである氏が激怒したことにもあります。本当は自分が大統領に返り咲きしたかったのを我慢して大統領にしてあげたジョコウィ氏も元護衛長を本気で擁護しなかった、と怒っているのかもしれません。外には大統領選挙を闘ったプラボウォ氏が隙あらばと矛を構えており、内ではメガワティ氏が西太后然として娘と共に力を示そうと構えている状況をどのように乗り切るのか、ジョコウィ大統領の前途は予想以上に険しいと思われます。世論の変わらない支持が問われる時代になるでしょう。それにしても、本来は警察と検察が行うべき仕事を、屋上屋を重ねるような汚職撲滅委員会に任せなくてはならない異常な政治体制はいつまで続くのだろうか。警察にはそこのところを真剣に考えて欲しいと思います。
 
 2014.10.28 半世紀前も日本人はインドネシアの変化に無関心だった 1965年9月30日未明、インドネシア共産党はスカルノ大統領の健康状態が悪化する前に権力を把握するためにクーデターを図りました。その結果、反共の主力であった7名の将軍(内一名は身代わりとなった護衛兵)が殺害され、ジャカルタ南郊の鰐の穴と言われる井戸に投げ入れられるという惨事が起きました。直後に鎮圧に乗り出したスハルト少将の活躍でクーデターは失敗し、その後は共産主義の厳禁、中国との国交断絶、そして社会主義を標榜したスカルノ政権から、軍事主導による経済開発を主導する30年におよぶスハルト長期政権へとインドネシアは大きく進路を変えました。しかし、世界に名だたる親日国のこの史実を知る日本人は驚くほど少ないのです。その大きな理由は、同じ1965年に中国で毛沢東主席が始めた文化大革命です。今も変わりませんが、日本のマスコミは中国の動きを讃え、挙って報道する毎日で、インドネシアの政変は一般の日本人にはほとんど知られないまま今日まで来ました。そして約半世紀後の2014年。インドネシアは庶民派の大統領の誕生で、これまでの既得権階層に支配され、汚職に塗れた政治体質から脱皮する方向に進路を変えようとしています。しかし、日本のマスコミは今回も中国の動きに気を取られ、インドネシアの変化を多くの日本人に伝えようとはしていません。前回は経済成長の支援を日本に求めたことから結果として日本は今日まで最大の存在感をインドネシアにおいて享受出来ていました。しかし、今回はどうでしょうか?インドネシアはとても親日的であるというこれまでの関係に胡坐をかいていてはいけないと思います。一人の日本人として何が出来るのか、自分も変わらなくてはいけないと痛感しています。
 
 2014.09.30 混迷が始まったインドネシアの政局 初めての庶民出身の大統領選挙結果が憲法裁判所で認められてほっとしたのも束の間、敗訴したプラボウォ陣営が地方政府の首長選挙を有権者の直接選挙から地方議会の間接選挙に戻す法律を通してしまいました。現在の地方議会の勢力は、国会も含めてプラボウォ陣営が多数を占めているため、ジョコウィ大統領の政策が色々な面で制約を受けることが予測されます。この議案が国会で採決される前、間もなく退任するユドヨノ大統領は反対することを表明し、彼の所属する民主党が反対派に組することで議案は却下されるものと安心していました。
しかし、ユドヨノ大統領が国連総会に出席している間に採決された際、民主党議員のほとんどが退席したため、賛成派多数で採決されてしまいました。噂によると、プラボウォ陣営から国会議長の席を約束された民主党の幹事長が寝返り、退席の指示を出したとも言われています。ユドヨノ大統領はアメリカでこの事態を知り、激怒したが、これすらも予め計画されていたことで、政治的な演技だとも言われています。
プラボウォ陣営を担ぐ既得権派とジョコウィ陣営を担ぐ庶民派の闘いは始まったばかりで、10月20日からの第1期5年の間は混乱が予想されますが、インドネシアの人達の良心を信じて見守って行きたいと思います。
 
 2014.09.16 インドネシアは資源マフィアを排除すれば競争力は一気に高まる インドネシアに進出した日本の製造業がまず直面するのは工業材料が無いということでした。鉄も油も資源があるのにどうして工業材料が無いのか?と材料調達に関与した人達は皆不思議に思うようです。国内で生産されていないから、中国や韓国、そして台湾などから輸入しているものを買うことになり、コスト競争力が低下してしまうのが現実です。技術が無いのか?資金が無いのか?人材がいないのか?等々その理由を考えてみると、その気になれば例えば日本に協力を求めれば、とっくの昔に自国内で様々な工業材料を生産出来ていたに違いないと思います。では何故にそうしなかったのか。最近良く耳にすることは資源マフィアの存在です。資源を輸出する際の利権、そして工業材料として輸入する際の利権は膨大な額になるでしょう。それらを抑えて来た既得権グループは政治も抑えており、これらの利権を守ることを国益に優先させて来たと言われています。これら既得権グループに僅差で勝利したジョコウィ次期大統領は、これらのマフィアを撲滅すると宣言しています。もし本当に実現したらインドネシアのコスト競争力は一気に高まるのではないかと期待されます。しかし、そうはさせまいとする抵抗も凄まじいものになると予測されます。ジョコウィ大統領の身の上も心配です。
 
 2014.09.15 インドネシアの既得権層は諦めが悪い 7月に行われた次期大統領選挙は既得権層と庶民の戦いで、庶民の結束力が庶民派と言われるジョコウィ氏を勝利に導いたと言っても良いでしょう。しかしプラボウォ氏を担いで敗北した既得権層は諦めずに憲法裁判所に選挙の無効を訴えました。しかし、それも根拠希薄として却下されました。それでも諦めずに次に繰り出したのが、地方政府の首長選挙を直接選挙から議会による指名に変えることの議案提出です。庶民出身のジョコウィ大統領から既得権を取り上げられるのをなんとか回避しようとの必死の抵抗と見られます。大統領選挙では勝利したと言っても、投票数の48%はこれら既得権層側に抑えられたことを考えると、向こう5年あるいは10年間のジョコウィ政権は、更なる民主化に対する様々な抵抗に遭うことは間違いないと思われます。日本政府も陰日向に是非応援して欲しいと思います。
 
 2014.07.30 絶妙なタイミングのインドネシア大統領選挙と断食明け大祭 7月9日に投票が行われたインドネシアの次期大統領選挙の結果は多くのメディアが伝えているように、初めての庶民出身のジョコ・ウィドド氏が勝利したと、選挙管理委員会が正式に発表しました。これに対してスハルト時代の貴族である元陸軍将軍のプラボウォ氏は憲法裁判所に選挙の不正を訴えると息巻いています。しかし、プラボウォ陣営は必ずしも選挙戦の時のようにまとまっていないようで、プラボウォ氏が一人で抵抗しているような様相すら見受けられます。10月の新大統領就任に向けて、憲法裁判所も8月中には判定を下すことになっているようですが、通常の感覚では無駄な抵抗と思えます。その一番の理由は7月28日から始まった、断食明け大祭の全国的な帰省休暇です。良く言われるように、お盆と正月を合わせたようなお祝いで、長いところでこの前後2週間くらいは国民は選挙のことなど忘れたように帰省に全エネルギーを使うのです。そんな訳でプラボウォ氏の叫びは帰省の混雑でかき消されてしまったように思えるのです。
 
 2014.07.20 お金で全て解決の悪しき文化 昨年、ジャカルタからボゴールに通じる高速道路を、時速160Km以上の猛スピードで走っていたスポーツカーが、ハンドル操作を誤って反対車線に飛び出し、対向車に乗っていた7名が死亡するという事故がありました。運転していたのは13歳の少年で、有名なロックシンガーの父親からプレゼントされた車を無免許で運転した挙句の惨事でした。本人も大怪我をしたのですが既に退院しており、最近その裁判が行われ、判決は無罪放免でした。その理由は父親が既に被害者に対して十分な補償金を支払ったからだそうです。13歳の息子にスポーツカーを買い与え、事故の後も何事もなかったかのような態度でテレビに出演し、大統領選挙では応援演説までしているその姿を観て、本人の人格だけではなく、それを許している社会に対して全く理解出来ないものを感じました。インドネシアという国と付き合って40年になりますが、また解らないことが増えてしまいました。
 
 2014.07.06 日本とは桁違いなインドネシアの政治家の資産 インドネシア次期大統領候補の資産が公開されました。それによると、元陸軍将軍のプラボウォ氏は総資産が約160億円、前ジャカルタ州知事のジョコウィ氏は総資産が約3億円とされています。ちなみに日本の政治家の2013年資産ランキングトップは鳩山邦夫氏の約20億円、3位が麻生太郎氏の約4億円、10位が小沢一郎氏の約2億円となっています。インドネシアは国家予算、GDPならびに一人当たりの名目GDPは日本の約1/10です。しかし、この数値を見ると普段言われている貧富の格差や富の集中が今更ながら実感出来て、やるせない思いになってしまいます。庶民派と言われるジョコウィ氏もさることながら、スハルト専制時代に勢力を誇ったプラボウォ氏はさすがに凄いなと思います。しかし、氏の資産はこの3年間で11倍になったと報じられていますので、スハルト体制崩壊の後に暫く姿を隠していた後に復活してから、急激に資産を増やしたことになります。あ、これは決してネガティブキャンペーンではありませんので、念のため。
 
 2014.06.14 古事記で語られるジャワ文化との類似性 生家は旧皇族・竹田家で、明治天皇の玄孫に当たる、作家で憲法学者の竹田恒泰氏が、言論テレビというインターネットのライブ番組で、古事記に登場する太古の昔の日本の神々は、物事を決める時に話し合いを行い、和を重視したと語っていました。その話を聞いて、昔、ある学者が日本人のDNAに基づいて民族のルーツを研究したところ、最初はマレー方面からの人種が住み着いてたが、その後に蒙古方面からの人種によって追い出され、北ではアイヌ民族、南では琉球民族として存続したらしい、との一説を思い出しました。何故かと言うと、マレー民族に近いジャワの文化の大きな特徴に、ムシャワラ・ムファカット、即ち、話し合いによる総意の形成を大事にするということがあるからです。このことは、労働法などにも取り入れられており、労働争議が発生した場合は、まずはこのムシャワラ・ムファカットで解決するようにと謳っています。ここからは、全く私の勝手な推測ですが、古事記に書かれているこの話し合いの文化は、実は南の方からの民族が伝えたのではないか、そして、日本人とインドネシア人の相性が良いのは、実はここに源流があるのではないかと考えてしまいました。
 
 2014.06.06 加熱するインドネシア大統領選挙 7月9日に投票が迫っている大統領選挙運動は日々、熱くなっているようです。インターネットやテレビニュースはほとんどが選挙関連で占められています。体系的な解説をするほどの政治的な知見は持っていませんが、ニュースを観ていて印象を受けたことはいくつかあります。まず、保守派で国粋者の雰囲気を漂わしているプラボウォ氏ですが、元陸軍特殊部隊の将軍らしく、支援者の大会では、軍服風の派手な服装で馬に跨り行進していました。ちょっと時代錯誤ではないのかと、失笑してしまいました。また、タッグを組む副大統領候補のハッタ氏の存在がほとんど感じられないのも不自然で、ワンマンなのだろうなとの印象を持ってしまいます。対するジョコウィ氏ですが、ジャカルタ州知事の時と同じように、地方の市場の中に入り込み庶民の声に耳を傾けているらしい。しかし、副大統領候補は財閥のオーナーでもあることから、中型のプライベートジェットを所有しており、選挙活動はそれを利用して地方行脚に出かけているとのこと。知事の時はエコノミークラスに、他の乗客と一緒に並んで乗る姿をメディアに紹介されていたのに、ちょっとイメージが違うなあと感じています。
 
 2014.06.03 インドネシアにおける製造業の立上期間 ここ3年間に公表された日本の製造業の、インドネシアにおける立上期間は、最短で6ヶ月、最長で35ヶ月、平均で14ヶ月となっています。これは会社が設立されてから操業を開始するまでの期間ですので、その前の投資申請から基本事業許可取得までの約1ヶ月は含まれていません。ですから、平均すると投資申請から操業開始まで15ヶ月かかっていることになります。これは投資家にとって非常に重い負担を強いることになっているため、インドネシア政府は是非改善のための施策を打って欲しいものです。しかし、原因は許認可手続きの煩雑さだけでは無いと思われます。建材不足による工場建設工事の遅れ、裾野産業の未発達に起因する部材調達の遅れ、港の大混雑による輸入機械の通関遅れ等々、予想外の様々なトラブルが発生しているものと推測されます。政府発表の理想的な手続き日数だけを基準に、無理な立上スケジュールを組まないこともインドネシア進出のリスクマネジメントであると痛感しています。
 
 2014.05.28 今年に入ってトーンダウンした労組のデモ ジャカルタ・ジャパンクラブの情報によると、今年に入ってからの労働組合によるデモは昨年に比べて大分トーンダウンしているようです。2013年は毎月平均62件のデモが計画され、主催者の発表による参加者数は平均800人でした。それに対して2014年の5月までの毎月平均のデモは40件で、参加者数は平均で500人です。原因としては、労働組合の上部組織で内輪揉めがあり統制を欠いているとか、あまりにも激しい要求と活動から、一般市民の支持を取れなくなっているなどが言われています。もしかすると、今年は5年に1回の総選挙と大統領選挙があるため、国としての混乱を避けるため、何か大きな力が働いているのかもしれません。4月末にジャカルタを訪問した時にも、国会議事堂前で4万人規模のデモが計画されているとのニュースで、日本に帰るために空港へ向かうルートを変えようと思ったのですが、試しにその前を通ったところ実際は40人くらいの小規模なもので肩透かしを喰らった感じでした。次期大統領が誰になるのかまだ判りませんが、実務派のジョコウィ氏、または国粋派のプラボウォ氏のどちらになっても、労働組合の動きは抑えられるような予感がします。
 
 2014.05.22 コスト計算だけでは生きて行けない China+1が言われて中国一極からアセアン諸国に拠点を展開する話が進みだした途端に、アセアンの投資先としての優等生であるベトナムでは中国との南沙諸島問題の急展開、タイでは軍によるクーデターが発生しました。アセアンの盟主を自任するインドネシアも次期大統領選挙を控えて、国内産業保護の色合いが見え始めており、外国資本は手放しで楽観出来る訳ではありません。しかし、日本の中小企業のアセアン進出がこれらの事象で簡単に思い留まるとは思えません。ただ、これまではコストが安いかどうかだけを考えて進出の是非を決断することは危険を伴う時代に入ると予感されます。社長さん達にはコストの他に政治の動きも予測して、それが自社の進出にとってどんな影響を持つのかも見通せるくらいの事前知識が要求される時代になったと感じています。これを大変な時代と捉えるか、それともそんなことは当たり前と捉えるのか、そこで勝負が決まるような気がします。
 
 2014.05.21 関ヶ原の戦いの様相を呈して来たインドネシア大統領選挙 インドネシアの次期大統領・副大統領選挙は、ジョコウィ現ジャカルタ州知事+ユスフカラ前副大統領 対 プラボウォ元陸軍司令官+ハッタラジャサ前経済調整大臣の一騎打ちになることが決まりました。これから7月9日の投票日に向けて選挙戦に入ると思いますが、どちらの陣営に入るかで、各党は混乱を来していると伝えられています。党の方針に背き反対陣営に走る物、突然連立先を変える党等々、まるで関ヶ原の戦いで西軍と東軍のどちらに付くかで右往左往した諸藩の歴史ドラマを見ているようです。日本でもそのような政治家とか政党も見られますが、大臣の椅子を約束されないからと、簡単に立ち位置を変えてしまうのもどうかと思います。しかし、一番の問題は両陣営からの政策がほとんど聞こえて来ないことです。メディアもそのことをあまり問題視していないので余計に不安になります。まさか、候補者の人気と人脈を基に投票まで突き進むのではないかと、ついつい思ってしまいます。
 
 2014.05.17 技能研修性の滞在期間延長を悪用しないで欲しい 安倍政権は、特に東京オリンピックの施設建設工事に携わる労働者を確保するためにインドネシアなどからの技能研修性の滞在期間を3年から5年に延長する政策を考えている。新興国の人材を日本の企業に研修させて、技能だけでなく日本語も習得させる仕組みは、基本的に日本にとっても新興国にとってもメリットのあるものと思います。しかし、その仕組みを回している実態を知ると決して手放しで喜べるものでもありません。インドネシアについて調べてみたのですが、研修生を送り出すための、インドネシア政府から認証を得た教育機関は全国で100を超えていますが、その多くは研修生に対して5万円から50万円を負担させています。また、受入側の日本国内にも50に近い多くの受入機関が存在し、その中には実態としてどう見ても格安人件費の人材派遣を目的にしているところもあります。短期的には研修生、派遣機関、受入機関、そして利用企業の誰にも損が無い様に見えますが、研修を終えて帰国してもその成果を活かしているのは30%と言われています。長い目で見てこのままで良いとは思えません。綺麗ごとと言われるかもしれませんが、建前では人材育成を言いながら、本音では安い労働力を確保したいだけ、ということだけはしてはいけないと思います。気が付いたらインドネシアは親日から反日に変わっていた、ということにも成り得る問題だと懸念しています。
 
 2014.05.16 ベトナムの中国工場襲撃は他山の石ではない ベトナムの中国企業だけでなく、日本企業も暴徒による襲撃の被害を受けました。暴徒は漢字の看板から中国企業と判断したと言われています。インドネシアの工業団地にも日本語(漢字)の社名をそのまま看板にしている会社を見かけるようになりました。1974年の反日暴動や1998年の反華僑暴動を体験した人達はかなりの違和感と不安感を抱いているのではないでしょうか。スハルト体制が崩壊して民主化が進められ、インドネシア人と華人の間の民族の融合は進んでいるものの、オランダ植民地時代に溯る300年に及ぶインドネシア人の反華僑意識がそんなに簡単に短時間で消え去るとは思えません。万が一の場合、華僑系あるいは中国企業と間違えられないように、看板はアルファベットにしておく方が無難ではないかと老婆心ながら心配しています。
 
 2014.05.15 国の進路を変えるインドネシア次期大統領選挙 4月9日の総選挙に続き、7月9日の大統領選挙に向けて、インドネシアのメディアは次期大統領と副大統領が誰になるのかでそれぞれの支持を展開しています。注目されているのは現ジャカルタ州知事で闘争民主党が担いでいるジョコウィ氏、スハルト時代に長期与党であったゴルカル党の党首バーグリー氏、同じくスハルト時代に国軍特別師団の将軍で、現在はグリンドラ党の党首ウイボウォ氏でです。ジョコウィ氏が中部ジャワの家具工場の息子で、地元のソロ市長としての実行力と市民の絶大な人気を買われて闘争民主党の支持でジャカルタ州知事になったのと対照的に、バーグリー氏とウイボウォ氏はスハルト時代にその権力を背景に莫大な財産を蓄えた人達です。私の知り合いのインドネシア人に元大臣がいますが、彼は政治から足を洗い、現在は国際ビジネスに集中しています。理由を聞いたところ、インドネシアでは選挙にあまりにもお金がかかるからとのことでした。前回の総選挙でも、長女が地元の県議会選挙に出るため財産を使い果たしてしまい、本業の資金繰りに苦しんでいる知人がいます。落選したことで選挙資金の借金が返せなくて自殺した人もいるとか、400万円で腎臓を売却する人もいるとニュースでは伝えています。逆に言うと、もし当選すると莫大な利益が期待できるのでしょう。10年前の大統領選挙は初めての国民による直接選挙であり、真実の民主化の試金石でしたが、今回の大統領選挙はあまりにも酷い事態になってしまった金と政治の関係を断ち切る試金石になるかもしれません。現地の日本企業は昔から政治には無関心なところが多いのですが、今回の選挙結果如何で外国企業に対する投環境も大きく変わるかもしれないので是非注視して欲しいところです。
 
 2014.04.13 インドネシア国民の民意に対する期待 4月9日に投票が行われたインドネシアの総選挙では、ジャカルタ州知事を次期大統領候補に担いだ野党の闘争民主党が国会議席数の19%を、スハルト時代の30年間を専制与党として君臨したゴルカル党が14%を、そしてスハルト元大統領の娘婿で、1998年の暴動の原因となるデモ学生射殺を指示したと言われる当時の陸軍特殊部隊の司令官を大統領候補に担いでいる大インドネシア運動党が12%を獲得した。
議席数の20%以上を確保しないと、大統領と副大統領の候補を単独政党から出すことは出来ないので、7月9日に予定されている国民の直接投票による大統領選挙に向けて、これら三党を軸に既に連立構築の動きが始まっている。
トップの闘争民主党が担ぐジョコウィジャカルタ州知事は中部ジャワの市長を皮切りに政治の舞台に現れた、家具やの家に生まれた普通の人である。それに対してゴルカル党と大インドネシア運動党が担ぐ候補はどちらもスハルト専制時代に、それぞれの立場と強権を背景に莫大な財産を築いた特権階級の人達である。
スハルト体制崩壊後は、ハビビ大統領、ワヒッド大統領、メガワティ大統領がドタバタしながらも民主化に向けた地ならしを行い、その後に初めて国民の直接選挙で選ばれたユドヨノ大統領は2期10間の間に自他共に認める民主国家の基盤を確立した。
しかし、ユドヨノ大統領も国軍出身の特権階級の一人である。インドネシアが本当に民主国家としての評価を勝ち得るのは、闘争民主党が担ぐ庶民出身のジョコウィ氏が大統領に選ばれ、彼を国民が支え続けることであると思う。
ソロ市長として市民の信頼を獲得し、その勢いでジャカルタ州知事に駆け上がったジョコウィ氏も、さすがにインドネシアの大統領としてその真価を発揮するには予想もしない壁が待ち構えていると思う。しかし、国民の信頼と忍耐でこのインドネシア維新を乗り切ってくれることを心から祈っている。
 
 2014.03.21 スハルト時代には戻らないで欲しい 駐在時代の後半にはインドネシア人社員の幹部と毎週のように会社の将来について議論を交わした。そして毎回のように最後はインドネシアの国の将来についての議論になった。いつも議論になったのは、国のいくつかの規模はアメリカと同じなのに、どうしてインドネシアは先進国になれないのか、ということだった。そして結論は国民の教育に充てられる予算が少な過ぎるということであった。そして当時のスハルト体制についての評価であった。彼らはスハルト大統領の経済発展に対する貢献は素直に認めていた。しかし、その権力体制に与る特権階級の汚職による富の独占には絶望していた。結果的にスハルト体制は30年の長期政権の後、1998年に崩壊した。しかし、もしも初代大統領のスカルノ体制が継続していたらインドネシアは共産国家になっていたかもしれない。その場合、今のインドネシアはあり得ただろうか。そのスカルノ大統領とスハルト大統領の両氏は、今は名誉を回復され、独立の父、開発の父として国民からは親しまれている。この辺りはインドネシア国民の寛容性に尊敬の念を抱く。スハルト体制の後は民主化の道を歩み、今年は総選挙と大統領選挙が行われ、次の5年または10年の国の指導者を選ぶことになっている。しかし、民主化の過程で発生した政府高官による酷い汚職により、スハルト強権時代を望む風潮も出始めている。インドネシアの人達にはなんとしてもこの変革の時代を乗り越えて、アセアンだけでなく、世界の先進大国としての道を進んで欲しい。
 
 2014.03.17 次期大統領選挙 現職のジャカルタ州知事である人気者ジョコウィ氏が、国民の期待を背負って7月9日の大統領選挙に立候補することに決まった。おそらく国民の直接選挙で大量得票を持って当選するだろう。その前の4月9日の総選挙でも、彼を擁立した闘争民主党は単独で大統領候補を出すための議席数20%、または得票率25%を確保することだろう。世界中の大手メディアはこぞってトップニュースで報じていた(日本ではさほど大々的ではなかったが・・・)。当選すれば、スカルノ、スハルト、ハビビ、ワヒッド、メガワティ、ユドヨノに続く第7代大統領となる。国民投票による大統領としてはユドヨノに次いで二番目となる。最長で二期10年の期間にわたることも考えられる。中部ジャワの家具工場の息子として生まれ、地元のソロ市長からジャカルタ州知事に昇り、知事の任期一年半で大統領になれば、世界の政治史にも名を残すこになるだろう。風貌はなぜかアメリカのオバマ大統領に似ている。就任前の絶大な期待と評判も良く似ている。しかし、今のオバマのようにはなって欲しくない。
 
 
 2014.02.02 スマトラ島の火山噴火による犠牲者 北スマトラ州のメダン市南西に位置するシナブン山は半年前から噴火活動を続けており、周囲3Km以内は立ち入り禁止になっているのも関わらず無謀な野次馬たちが立ち入り、昨日は15名が大規模な噴煙に襲われて死亡した。既に犠牲者が出ているにも関わらず立ち入る野次馬が絶えないのも問題だが、それを厳しく取り締まらない管轄官庁にも問題はある。噴火の問題に限らず、交通事故についても懲りない人達ばかりである。現地のタクシーやバスに乗っていると寿命が縮まる思いの連続である。ハンドルを握っていない時は本当に温厚で気の弱そうな人でも、人が変わったように大胆な追い越しを平然と行う。工場の生産現場においても労働災害を防止するために危険予知活動を導入したが、本当に自分達の安全のためであることを理解していたのか、振り返ってみるとあまり自信がない。不思議なのが、他人の事故を見て、自分のこととして気を付けようとする雰囲気があまりなかったことである。反面、自身や身内が事故や被害に遭うと信じられないくらい激しく嘆く人が多い。この国民性の違いは今でも謎の一つである。
 
 2014.01.29 浜松市の中小企業海外進出支援に対する大いなる疑問 浜松市は地元の中小企業が東南アジアに進出する際に、仮設事務所の賃貸費用の一部を負担することで進出の支援をすると発表し、地元のテレビや新聞では大々的に報道されています。しかし、その費用負担額は、例えば工業団地内であればせいぜい月数万円で、半年間借りても50万円以下で、さらにその一部であれば、投資金額に対する割合では誤差範囲内です。インドネシアに思い入れが強いとの評判が高い鈴木市長の、アリバイ作りとしての話題性はあるとしても、本当にこれで地元の中小企業の支援になるのか大きな疑問を感じます。手離れの良い、年度単位の支援で矛を納めたい市の職員の気持ちは分かりますが、中小企業が本当に困っているのは人材の払底であることを知らないのでしょうか。誰の入れ知恵かは分かりませんが、浜松市役所の関係者の皆さん、もう少し地に足の着いた施策を考えましょうよ。
 
 2014.01.10 ジャカルタのハリム空港が民間空港として再開 1983年にスカルノハッタ空港が出来てから本来の軍用空港となっていたハリム空港が今日から民間空港として再開した。キャパシティーを大幅に超えているスカルノハッタ空港の負荷を軽減することが目的であるらしい。国内便やシンガポールなどの近距離国際便が発着するようだ。この空港はジャカルタ市内からのアクセスは便利であるが、スカルノハッタ空港とのコネクションは成田空港と羽田空港のようにかなり不便と思われる。しかし、懐かしい思い出のある空港でもある。35年前に初めてインドネシアに降り立ったのが昨日のような気がする。急病で瀕死の駐在員を夜中の12時にチャーター便で日本に見送ったのは20年前だった。市内から空港まではまだ高速道路もなく、道路左右からの街路樹の枝が伸びて、トンネルのようになっていたのを鮮明に覚えている。まだ渋滞は無かった。
 
 2014.01.09 増える違法アルコールによる死亡事件 東部ジャワで70度もある違法なアルコール飲料を飲んで死亡する事件が多発している。お酒を飲まないイスラム教徒が国民のほとんどを占めるインドネシアでは皮肉であるが悲惨な事件である。私は酒飲みの多い秋田に生まれたため、かなり若い頃から酒を飲んでいた。急性アルコール中毒で亡くなった友達もいた。しかし、そのお蔭で酒の怖さや自分の限度も苦しみながら体得出来た。お酒の怖さを知らずに若者がこのような死に方をするのは本当に悲しい。
 
 2014.01.09 2013年のジャカルタでのデモ総数から ジャカルタジャパンクラブのデータによると、2013年中にジャカルタで発生したデモ件数は約1,200件になり、そのうち半数は賃上げや雇用条件を求める労働組合によるデモであった。これはそれぞれ約20%を占める汚職問題と政治問題のデモを大きく引き離している。労働組合のデモのうち先鋭的と言われるインドネシア金属労協が主導したことが明確なものは120件で、全体の10%を占めている。この数字からインドネシアの大多数の庶民が求めているものが何であるのか良く分かる。そして、今朝の日本経済新聞にもジェトロの調査データとして、アジア諸国の中でも二桁の賃上げがあった国として、インドネシア、ベトナム、ミャンマーが取り上げられていた。アジア諸国への生産拠点の移転に際して、安い人件費だけを条件に求めるのは年々難しくなりつつある。開発から販売までの総コストを化学的に緻密に計算した上で判断しないといけない時代になって来た。
 
 2014.01.06 2014年のインドネシアに対する思い インドネシア建国の五原則としてパンチャシラ(五つの柱)は、1.唯一神への信仰、2.公正で文化的な人道主義、3.インドネシアの統一、4.合議制と代議制における英知に導かれた民主主義、5.全インドネシア国民に対する社会的公正である。1968年から約30年続いたスハルト大統領の強権政治の下では、3.インドネシアの統一が最優先され、他はかなり強制または制限された時代であったように思う。スハルト体制が崩壊した後の6年間の政治的混乱を脱して、初めて国民のよる直接選挙で選ばれたユドヨノ大統領は2期10年を、前政権による強制と制限から解放することを政策目標にしていたように思われる。その結果、インドネシアは言論の自由を保障され、人種差別の無い実質的な民主主義国家に生まれ変わり、経済の面でも一人当たりGDPがUS$3,000を超えるなどの目覚ましい成長を遂げた。しかし、政府高官による止まるところを知らない汚職と、貧富の格差拡大だけでなく、非常に厄介な問題として、多数派の宗教組織(イスラム・スンニ派)による少数派(イスラム・シーア派、キリスト教)に対する迫害が顕在化して来ている。この問題は下手をすると、インドネシア建国の五原則パンチャシラの全ての柱を壊してしまうことにもなり兼ねない。インドネシア共和国は誕生してからまだ僅か68年しか経っていない。民主主義国家になってまだ10年である。今年5月の総選挙と7月の大統領選挙で選ばれる次期政権には、是非じっくりと焦らずに国作りを進めて欲しい。そして日本国民としても出来るだけ応援したいと思っている。
 
 2013.12.27 インドネシアから見た安倍総理の靖国神社参拝 26日の突然の安倍総理大臣の靖国神社参拝を巡って、日本国内のマスコミと中国および韓国政府はヒステリックになっているが、結局インドネシアではほとんどニュースにならなかったようだ。5千キロ北方の国々は今更なんでそんなことに拘るのか、と感じているのかもしれない。特に国内問題として今でもチベット民族やウィグル民族を虐待している中国が、そして核心的利益と称して太平洋の島々を占拠しようとしている中国が、どんな顔をして他国のことを軍国主義と非難出来るのか理解出来ないかもしれない。インドネシアでは傲慢な言動を繰り広げている韓国人の本国の言うことに同調するとはとても思えない。中国の主張に同調している欧米の態度をどう見ているのかとても興味がある。どうせ植民地時代と同様に、金儲けのために中国に媚を売っているだけだろうと感じているのかもしれない。
 
 2013.12.26 フゲン将軍の後継者はまだ存在する ジャカルタの街中を走るバジャイと呼ばれる三輪タクシーの中に仕事のデータが入った携帯を忘れた男性が、地区の警察署に捜索願いを出した時のニュースです。クリスマスミサの警備の手配でごった返す警察署に行った時は、これはだめだと諦めかけたのですが、担当の警官に話したところ直ちに対処してくれて、幸運にもバジャイの運転手のスラム街にある家を探し出し、携帯は無事に男性の手元に戻ったとのことです。男性は協力してくれた警官に、お礼の気持ちとして、足代を提供しようとしたらしいのですが、その警官は1ルピアも受け取らなかったらしく、この男性は感激しして、『フゲン将軍の後継者はまだ存在する』と記者に語ったそうです。フゲン将軍とは、元警察軍長官で四星の大将でしたが、陸軍の同僚で独立戦争の戦友でもある、スハルト大統領の汚職体質を非難し、下野してからもペンによる反体制組織の幹部を務めた人です。一時は自宅監禁状態に置かれ、飛行機に乗ることも禁止されたりしたのですが、いつ投獄されても良いように、常に身辺を整理していたと聞いていました。ほとんどの退役高級軍人がその政治的立場を利用し、利権に基づく暴利を得ている中で、フゲン将軍はそれらを全く利用せず、恩給として軍から払い下げてもらった古い家と車だけの、赤貧の老後を送りました。縁があって子息がヤマハ(楽器)のインドネシア事業のパートナーになったことから、時々お会いすることがありましたが、太平洋戦争当時にインドネシアを統治していた日本軍のある将校の薫陶を受けた、心優しい武士の雰囲気を持つ人でした。汚職のニュースが溢れる昨今のインドネシアでの爽やかなニュースと、フゲン将軍は今でも庶民から尊敬を集めている事実を知り、心が温まりました。
 
 2013.12.06 大都市の交通渋滞を解決するには ジャカルタを始めとする交通渋滞は悪化の一途を辿っているようにしか思えない。ローコスト・グリーンカーの普及で益々車の数は増えると予想されるが、道路の整備がそれに追い付くとはとても思えない。モノレールなどの公共交通機関の整備も着手されているが、東京の地下鉄のようにネットワーク化された場合は別として、車に乗る人達がこれに移行するのかどうか少し疑問である。確かにジャワ島の面積は日本の本州よりも小さく、そこに全人口の約6割の1.5億人が住んでいることを考えると、車だけでなく、色々な面で過密になるのは致し方ないのかと感じてしまう。しかし、意外な事実として道路の総延長に占める自動車の総数では、インドネシアはまだまだ日本や韓国には及ばないのだ。また、ジャワ島は面積こそ小さいが、日本列島のようにそのほとんどを山脈が占めている訳ではなく、平地または台地のの所々に富士山の小型版のような火山が点在しているだけなので、有効面積は日本に比べて遙かに大きいはずである。問題は何もかもが大都市部に集中し過ぎているから大渋滞やゴミの不法廃棄による大洪水が起きてしまうのではないかと考える。ジャワ島以外の島に移住させるのは昔から上手く進んでいないようであるが、ジャワ島内でもう少し社会全体の分散を図ると色々な問題が解決出来るような気がするのはあまりにも楽観的だろうか。来年春に就任する次期大統領に期待することは多い。
 
 2013.11.24 中国の浸透が加速するインドネシア インドネシアへ出張する度に中国の存在感の増大を痛感する。経済だけではなく、政治、文化などあらゆる面で浸透しているのを肌で感じる。人口では3%に過ぎない華人が経済の90%を支配しているから、スハルト時代のような抑圧を取り払った現在のユドヨノ政権下では野火のように広がっているような印象を受ける。しかし、中国がインドネシアに接近する真の目的を理解している国民はどれだけいるのか疑問である。政治家達は流石に分かっていると思うが、国の利害の前に個人の利害を優先する人達が多いから心配である。そんな中で日本政府の対応を見ていると、インドネシアは親日国家という遺産に安心して、これまでのような関係を継続していれば良いと気楽に考えているようにしか見えない。しかし、気が付いたら親日国家から親中国家に変身していたことに驚くことになるかもしれない。インドネシアが本当に補完関係を持てるのは日本であって、決して中国ではないことを、何とかしてインドネシアの人達に気が付いて欲しいと願っている。
 
 2013.11.01 ジャカルタ知事ジョコウィ氏の本当の姿 2014年の最低賃金値上げを巡って労働組合と経営者団体、そして政府の三者による駆け引きが荒れている。労働組合はインドネシア金属労組が先頭に立ってゼネストを繰り広げている。ジャカルタ地区での彼らの要求は、今年から50%アップした約35千円であるのに対して、経営者側の回答は10%アップ弱でしかない。それに対してジョコウィ知事は、自分は両者が合意した結果に署名するだけだと言っている。それでいいのだろうか?インドネシアの労働争議は最終的には労働組合、経営者団体、そして政府の三者間で話し合いで解決することが求められている。自分だけ火中の栗を拾うことから逃げようとしているように感じられる。あの、のらりくらりとした話し方は、実は巧妙な政治的世渡りの一つなのかと、ちょっと疑問を抱いてしまった。なぜか、子供の頃にいつも中立的な言動を取っていて、誰からも慕われていた調子の良い友達を思い出した。
 
 2013.10.30 トイレで買収の現金を渡す 裁判官を選ぶ際に、トイレで現金を渡す現場が見つかったとして収賄の疑いがかけられた云々のニュースを見て、30年前のある体験を思い出した。日本への出張から帰る際に、工場で使う試作用の材料や工具類を段ボール20個に詰めて持ち込んだ。昔の暗いハリム空港の税関職員はその箱の数に目を丸くして、何人かが集まって相談し始めた。そのうちの一人が一緒にトイレに来いと言う。付いて行ったところ、本来の輸入税の半分にしてやるから、現金をここで払えと言う。現金は予め用意してあったので言われる額を支払った。その時思ったのは『まさに臭いお金だ』ということだった。しかし、最近のスカルノハッタ空港では、入管でも税関でも全く意地悪をされなくなったので喜んでいる。
 
 2013.10.17 孫子の兵法『遠交近攻』を地で行く中国共産党 今朝の新聞にも中国のインドネシア接近政策が取り上げられていた。先般バリで開催されたAPECの後には、外国の首脳としては初めて、習主席がインドネシア国会で演説したらしい。中国四千年の歴史で異民族である元王朝と清王朝に支配された体験を持つ漢民族には、日本人には絶対に解らない、その時の辛さがDNAに刻まれているものと思う。だから東西南北の国境に自治区と称する緩衝地帯を力で無理矢理作るのだろう。しかし、どう見ても東南海方面の守りは手薄に見える。そのためには台湾、韓国、日本を自治区にしたいのだろう。そうすることでアメリカに対する強固な緩衝地帯を築くことが出来る。北朝鮮だけではいかにも頼りない。それだけではなく、南海方面のベトナムやフィリピンもアメリカ寄りであり、これもなんとかしなくてはいけない。そこで目を付けたのがインドネシアである。つい最近までは1965年のインドネシア共産党クーデター失敗を受けて中国とは疎遠であったが、民主化を推し進めたユドヨノ大統領はその壁も取り去った。まさに、孫子の兵法その23、遠くと交わり近くを攻める、そのための国際環境が出来つつある。インドネシアでは孫子のマンガ本がインドネシア語で普及していたが、インドネシアの人達は気が付いているのか心配だ。
 
 2013.10.06 新進の飲食業を支配する中国系インドネシア人 土日のインドネシアからのテレビニュースは新進のレストランからの実況が多い。ジャカルタなど都市部では世界中の味を提供する様々なレストランが開店しており、日本の地方都市ではとても味わえないようなチョイスがある。斬新なレストランとして紹介されるところのほとんどが中国系インドネシアの経営で、シェフも中国系インドネシアである。中間層が急増しているインドネシアではちょっと高級なレストランがこれから大きなビジネスとして注目を浴びており、日本からも多くの投資案件がある。しかし、この分野におけるインドネシア人の商売は、相変わらずKaki Limaと呼ばれる屋台に留まっているように感じられる。そして政治を牛耳っているインドネシア人は、この度は憲法裁判所のトップが逮捕されたように、明けても暮れても汚職に忙しいようだ。いつまでこんな体たらくを続けるつもりなんだろうか。
 
 2013.09.26 労働デモが少ない本当の理由は? レバラン以降、労働問題の解決を叫ぶデモが以前に比べて少なくなったようです。来年の67%賃上げを要求する金属労協の主張に対して、政府や経営団体は20%を上限と言明しています。しかし、それに対する反応は割と静かです。一発逆転を狙う労働組合が静かに工作を進めているのか、それとも政府機関が何か懐柔施策を浸透させているのか、静かな背景には何かインドネシア独特の裏の世界の力が動いているような気配を感じます。来年4月の総選挙と6月の大統領選挙に向けて、日本人には分からない地殻変動が進んでいるような気がします。
 
 2013.09.25 「有望視する市場」はインドネシアが首位 9月24日の日経新聞に、「社長100人アンケート」で今後の生産方針を聞いたところ、海外生産を「拡大する」との回答が44.4%となり、前回の6月調査より約11ポイント増えた。2013年度の設備投資では東南アジア向けで増額が目立ち、「有望視する市場」はインドネシアが首位となった・・・との記事が掲載されていた。インドネシアの本来の実力からして遅すぎた評価である。これは評価される側に原因があると思う。汚職、地域間格差、貧富の格差など問題は山のようにあるが、アセアンの中ではそれなりに対処に成功している国もあるのだら、素直に彼らに学べば良いだけなのだ。オランダ植民地時代に植えつけられた、オランダと中国の搾取と汚職の習慣から脱皮しなくてはいけない。アセアンの盟主だとか、資源大国などと言ったプライドに安穏としていると、気が付いたらアセアンの最貧国になっていた、なんてことになりかねない。
 
 2013.09.21 カリマンタン島のゴールドラッシュがもたらす水銀被害 インドネシアの人たちは金の装飾品を所持するのが大好きで、どんな田舎町でも金製品のお店がある。しかし、BBC World Newsによると、カリマンタン島のゴールドラッシュ地域では砂金を抽出するために水銀を使用するため、砂金探しの人達の健康問題だけでなく、自然破壊も進んでいると言う。日本で起こった水俣病と同様の事態になりつつあると言う。不思議とインドネシア国内のニュースでは報道された記憶がない。ジャカルタなどの都市部の経済成長とは裏腹に、一般に知られていない暗部も深く広くなっているような気がする。
 
 2013.09.15 有名人の13歳の息子が起こした死亡事故 インドネシアの有名なミュージシャンの13歳になる息子が、父親に買ってもらった高級車で暴走して、高速道路で衝突事故を起こし、相手のマイクロバスに乗っていた7人が死亡する事故があった。このミュージシャンは三人の未成年の息子たちに自家用車を1台ずつ買い与えているが、運転の許可は与えていないと言う。『未成年の息子たちに車を買い与えた私のことを気違いと言う人がいるが、そんなことを言う人の方が気違いだ』とも話している。最近のインドネシアでは、金持ちの若者たちが自分の車で出した、最高スピード時のメーターの写真をネットに掲載して競うことが流行っていると言う。ミュージシャンは父親として遺族に対して経済的な責任を取ると、葬儀会場で語っていた。遺族もそれに感謝しているようだった。事故を起こした息子も病院で治療中であるが、政治家などの有名人に混じって、遺族も見舞いに来ているという。交通事故が起きると、その場で加害者を集団リンチで殺害することが普通に行われる反面、このように寛容な対応も可能な背景は何なのか、いまだに分らない。
 
 2013.09.13 ルワックコーヒーの違法製造 香りが素晴らしく、ジャカルタの喫茶店で一杯3,000円もするルワックコーヒー。外国人のお土産として重宝され、日本ではなかなか手に入らない貴重品である。本来は野生のジャコウネコが食べて排泄したコーヒー豆を加工したものらしいが、スマトラ島で捕獲が禁止されているはずの大量のジャコウネコを檻に閉じ込めて、まるでブロイラーのようにコーヒーの排泄物を大量生産している様が、BBCで放送されていた。このように、違法な手段で製造されたルワックコーヒーが大量に販売されていると紹介されていたが、昔からこの種の問題を生み出す真因は、金に糸目を付けず、希少品を手に入れたいと望む、豊かな先進国の人達の欲望であることを忘れてはいけない。
 
 2013.09.01 スハルト元大統領の名前は通り名にふさわしいか 1968年から32年間インドネシアに君臨したスハルト元大統領の名前を、独立記念広場の西側の大通り Jl Medan Merdeka Barat と取り換えて、 Jl Soeharto にしようとの動きがあるようだ。当然のことながら反対の意見が上がって来ている。反対の理由は、独裁政権時代の反政府活動家達の殺戮、一族による汚職などである。初代大統領であるスカルノとは各が違うとも言われる。確かに言われる通り、いろいろと負の歴史を作ったことは確かである。しかし、私のような外国人から見ると、現在のインドネシアの基盤を作ったのは、スカルノではなく、スハルトと言っても良いように思われる。仮にスカルノが健在であのまま権力を維持していた場合、歴史にIFはあり得ないが、インドネシアはとてつもない巨大な共産主義国家になっていたかもしれない。インドネシアの人たちはバランス感覚に優れているので、きっと正しい判断を下すものと期待している。
 
 2013.08.01 日本の会社が夜逃げ?! バタム島の工業団地にあった日本の電気部品メーカーが、現地社員の知らないうちに夜逃げをしたらしい。機械は同社のフィリピンと中国の工場の増産対応と称して、以前から少しずつ移転していたらしい。インドネシア人のジェネラルマネージャーも知らなかったとのことで、完全に日本人だけで遂行したものだろう。レバランを前にして、取り残された従業員達は給与やレバラン手当の不払いで途方に暮れていることだろう。真相は判らないが、日本企業は中国や韓国企業と違い、法律遵守を重視しているという、これまで築き上げて来た信頼を根こそぎ取り去るような行動だ。もしかしたら労働組合との軋轢があったのかもしれない。しかし、絶対にしてはいけないことだ。同社のフィリピンや中国の工場の従業員が知ったらどう思うだろうか。隠すことは無理だろう。インドネシア政府は日本政府と協力して、最近勢いを増している労働組合に対する説明責任として、徹底的に調査して処罰すべきだ。
 
 2013.07.18 最近の三次産業への投資に見る疑問 インドネシアへの投資案件は未だに輸送機器関連の部品製造企業が多い中で、飲食業などの三次産業の進出も増えつつあります。そしてこれらの投資家は、割と若い会社や若手の企業家であることが特徴になっています。この分野の進出相談に来る人の大半が30代であることも大きな特徴です。しかし、彼らに共通していることとして、インドネシアの発展に貢献しようという意識が全く無いことで、最近の中間層の急増による国内需要の波に乗って、一儲けしようということしか考えていなように思えることです。投資家、あるいは起業人としては当然のことだと言われるかもしれませんが、本当にそれで良いのかと、漠然とした疑問を抱いてしまいます。1965年以降、日本の製造業は人・物・金をつぎ込んで、インドネシア政府の要求に応えながら、インドネシアの産業基盤の強化に尽力して来ました。その成果である国内需要の急増と言う果実を刈り取ることに意欲を燃やす最近の投資傾向に、何か言いようのない理不尽を感じるのは私だけではないはずです。
 
 2013.07.14 スマトラの刑務所暴動に見える格差社会の歪 北スマトラ州都メダンの近くの刑務所で、服役中の囚人達が暴動を起こして多数が脱獄した事件の原因は、停電による断水らしい。ここの刑務所は収容人員の2倍以上が詰め込まれていて、生活環境に対する不満が溜まって爆発したようだ。インドネシア国内では収容能力の3倍の囚人を詰め込んでいる刑務所もあると言う。一方で、公共施設建設の汚職で収監されている元国会議員は、所長の応接室を私物化し、そこから配下の公共事業仲介会社に指示を飛ばして、暴利稼いでいるらしい。民主化と経済成長著しい国の裏側で、様々な格差が蔓延して、留まるところを知らないように思えてならない。
 
 2013.07.10 ミャンマーからの避難民を騙す許せない輩 小乗仏教の国ミャンマーで迫害を受けている少数派イスラム教徒のロヒンギャ族は難を逃れるため、マレーシアとインドネシアを経由してオーストラリアへの移住を希望している。その中の一家族がジャカルタで、オーストラリアへ連れて行って上げると語るインドネシア人に全財産の140万円を騙し取られた。命からがら逃げて来た避難民の、藁にもすがりたい思いを悪用した許せない犯罪だ。今はインドネシアの人権擁護団体の保護の下、国連を通じてオーストラリアへの移民申請をしているらしいが、いつ実現するかは全く目途が立っていないと言う。同じイスラム教徒として、そしてアセアンの盟主として、インドネシア共和国の名誉にかけて、この犯人は絶対に捕まえて欲しい。
 
 2013.07.06 インドネシアでお酒が飲めなくなる? インドネシアはイスラム教徒が全国民の約90%を占めているが、イスラム教を国教としないで政教分離を行っているところが、異教徒である外国人にとって大きな利点であると信じて来た。そのためか、田舎のコンビニでもビールは販売されており、外国人が多く宿泊するホテルでは、世界中のお酒を揃えたバーがあるのが普通である。また、南ジャカルタ市にある繁華街BlokMでは、日本人用の多くのカラオケキャバレーが営業している。しかし、違法なお酒に関わる犯罪や死亡事件も増えつつある。そして民主化の名の下に展開される色々な住民運動の一環として、アルコール飲料の全面禁止を求めるイスラム団体の動きが目立ち始めている。アルコール飲料はイスラムの教えに反し、社会問題引き起こす元凶だとして全面禁止を求める主張は、あまりにも短絡的で、インドネシア建国の5原則Pancasilaにある宗教の自由に反するのではないかと思う。経済の急成長に伴う貧富の格差に苛立った貧困層の怒りが、イスラム教の名の下に形を変えて、偏狭な社会に向かわないことを願っている。
 
 2013.07.04 陰の日本人と陽のインドネシア人 ガソリンと軽油の政府補助金を廃止したことで物価が上がるため、貧困層に対して一家族当たり毎月約3千円の現金での暫定的補助金支給が始まった。しかし、支給所では混乱が頻発しているようだ。支給対象に入らなかった人達の不満が爆発している。新型のバイクに乗って支給を受けに来る人がいる傍らで、ボロを纏った痩せ細った老人が支給対象から外れている光景を見ると、ちょっとおかしいのではないかと考えてしまう。実施したのはインドネシアの民主党であり、どこかの民主党も子供手当と称して似たようなことをしていたので、あまり他国のことは言えないが・・・。しかし、支給の対象に入っていないとして、その場で小さい子供のように、大の字になって手足をばたつかせて泣きわめいている主婦と、それを慰めている警官の姿を観ていると、ああ、インドネシアの人はなんて陽気なんだと羨ましくなってしまう。日本人は恥の文化となんとか言いながら、彼から見たら陰気な人間だろうなと感じてしまう。
 
 2013.05.31 緊急搬送サービスが容易になった 今日付けのじかるた新聞によると、ジャカルタにある日本人向けのクリニックが民間機やチャーター機による、緊急搬送サービスを手掛けることになったらしい。責任者の日本人医師も隔世の感があると語っている。思い出すのは1995年3月の、日本でサリン事件のあった前日に、駐在員の一人が急病にかかり、日本に緊急搬送しなくてはいけない事態が発生した時のことである。入院していたローカル病院の退院許可拒絶、民間航空機の搭乗拒絶、チャーター機の高額料金負担に対する本社の決裁、ジャカルタハリム空港の使用許可取得、成田空港での着陸許可取得など、一日中走り回って、やっと夜中の12時に離陸したチャーター機を見送った時のことは、今でも脳裏に焼き付いている。当時の駐在員は時々『生きて日本に帰ろうね』と冗談を言い合ったものだが、次第に駐在環境が改善されるのは嬉しいことだ。
 
 2013.05.27 過去3ヵ月間のジャカルタ地域のデモ ジャカルタ・ジャパンクラブの情報によると、過去3ヵ月間にジャカルタおよびその周辺で起きたデモは415件で、土日を除く1日当たりの平均件数は7件となっている。415件のうち労働問題解決要求は221件で、汚職取締要求の62件や人権問題解決の15件を大きく引き離している。労働問題解決要求デモの中では、インドネシア金属労組主催と特定されたものは33件で、組合別の件数では突出している。33件のうち、参加者が1,000人を越えたデモも7件あり、規模の面でも他を引き離している。インドネシア進出件数では最多の、自動車関連の下請け企業のほとんとは、このインドネシア金属労組の傘下に取り込まれる可能性が高い。しかし、決して怖れているだけではいけない。日本も昭和の高度成長期には、労働組合の葛藤を乗り越えて来ているのだ。
 
 2013.05.17 インドネシア投資申請簡略化のための分厚い手引書 一年前に投資調整庁長官に就任した元学者のモハマド・ハティブ・バスリ氏は、許認可手続の簡略化とスピードアップを公約に掲げていた。その成果と思われるものが最近公表された。投資申請の簡略化に関する法規と解説書がそれである。しかし、法規の文書が132ページあるのは仕方ないとしても、解説書が303ページもあるのはどうかと思う。いままで属人的に解釈され、処理されてた手続を整理整頓して文書化したのかもしれないが、読む前に少し腰が引けてしまった。瞬間的に、日本の国税庁が『誰でも簡単にワンタッチ・・・』みたいな感じて普及している、e-Taxの307ページにおよぶ操作マニュアルを思い出してしまった。一生懸命にとりまとめた投資調整庁の方々には申し訳ないが、せめて30ページくらいで解説出来るまで簡略化して欲しかった。
 
 2013.05.14 ジャカルタの暴動事件から15年 首都ジャカルタで反政府の大規模デモが発生し、大学生4名が軍の特殊部隊と思われるスナイパーに射殺され、それが引き金となって市内で暴動事件が発生してから15年になる。その日は丁度、日本からジャカルタに出張する飛行機に乗っており、経由地のバリ島の空港で、テレビニュースが伝える目的地ジャカルタの暴動の様子に驚いた。とりあえずジャカルタまで来たものの、航空会社の人からは空港から出ることを止められ、仕方なく、まさにとんぼ返りでその飛行機に乗って日本に戻って来た。インドネシアのことをある程度は理解しているつもりでも、理解出来ないのは、当時、その狙撃事件に関わったと言われる特殊部隊の幹部達が、現在はある政党の幹部に名前を連ねていることである。ましてや、その一人が次期大統領候補と言うのには、頭の上に疑問符が無数に浮かんでしまう。スハルト独裁政権の時代、その権力を背景に好き放題したであろう人達の、その後の消息はあまり聞かれない。しかし、たまに話題になる場合は、ほとんどが自由の身で、相変わらず金権を握っているのが実態である。良い意味でも、悪い意味でも、本当に懐の深い国であると思う。
 
 2013.05.07 次期大統領に期待する遵法社会 首都ジャカルタの西隣にあるタンゲラン市で、地方から連れて来た若者達を強制労働させていた事件が発覚した。衣食住付きで、6ヵ月間働けば300万ルピア(約3万円)を支払うと約束して、実際は窓も無い狭い部屋に押し込めて、食事は朝と昼の二回だけしか上げず、朝6時から夜中の12時まで毎日18時間働かせていたとのことだ。しかも、財布や携帯などの持物は全て取り上げて外部と連絡が取れないようにし、働きが悪いと暴力を加えていた。なんとか逃げ出した数人が地域の警察に駆け込んだが、そのような事実は無いと一蹴されたとのことで、地元警察も絡んでいるのではないかと言われている。経済成長著しい大都市ジャカルタの近くでこのような酷いことが未だに起きている。直接関係は無いが、サッカーの試合や野外音楽イベントでは頻繁に暴力事態が起きている。学校や町内間の、些細な理由による集団暴力事件も後を絶たない。任期が一年半の現ユドヨノ大統領は、2期10年間で経済発展と民主化に大きな功績を残したと評価されるだろう。次期大統領には是非共、遵法社会の構築に力を注いで欲しい。毎日のニュースが暴力事件、火災、交通事故、汚職だけで埋められないことを願って止まない。
 
 2013.05.07 ジャカルタ東部に高コストの日本を作るな 日本の製造業が多く進出しているジャカルタ東部の工業団地に工場を作りたいが、土地代、建設費用、人件費が高過ぎて躊躇している、という話を聞くことが多い。確かにここ数年の高騰ぶりは異常としか言いようがない。しかし、それ作っている原因の一つが、日本企業による、その地域への一極集中的な進出であることを忘れてはいけない。日本の大手自動車メーカーがそこに拠点を移しており、ジャカルタ周辺の大渋滞を避けてJITに対応するためには、その地域に進出せざるを得ない、と言う理由も判らないではない。しかし、自動車関連以外の製造業もそこに工場を建設しようとするのは、一体どうしたことだろうか。理由の一つとして、色々な機関が実施している現地視察旅行に原因があるように思われる。旅程を見ると、参加メンバーの業種に関係なく、ほとんどの場合が、判で押したようにジャカルタ東部の工業団地を視察先にしているのだ。実際、参加した人達に感想を聞いてみると、インドネシアにはジャカルタ東部しか工業団地が無いと思った、と述べる人がいることには驚いてしまう。JIT対応するにしても、工場を近くに建設しなくても、富山の薬売りみたいに、お客の近くに在庫を置いておいて、使った分だけを後から請求する、VMI(Vender Managed Inventory)と言う方法もある。本当にそういうことを事前に十分研究した上で進出計画を決めたのだろうか。某大手のコンサルティング会社は、ジャカルタはコストが高くなり過ぎたから、次は東ジャワのスラバヤだと宣伝している。しかし、自社のビジネスにとって、どのような進出の仕方が一番良いかどうか、それは自分の六感を働かせて、自分で決めなくてはいけないと思う。
 
 2013.05.01 メーデーで展開される大規模デモ 今年もメーデーにおいて、ジャカルタ都内、空港、工業団地などで、おそらく数万人規模のデモが展開されている。最低賃金値上げの実施、派遣制度の廃止などを要求する労働組合の勢いは、来年の総選挙と大統領選挙に合わせて益々活発になるだろう。以前のスハルト体制のように力で抑えない限り、水が高いところから低いところに流れるように、経済成長に伴って賃金の値上げが要求されるのは、自然現象みたいなもので、仕方のないこだと思う。たとえ力で抑え付けたとしても、大洪水で堤防が崩れるようにいつかは破滅を迎えるものと思う。大事なことは、そのような流れに対して賃金の変化だけで生産拠点としての優劣の評価を下さないことである。コストだけでなく、あらゆる分野における158項目について評価すべきであるというのが私の主張である。しかし、色々なメディアが伝える『インドネシアに詳しい人達の懸念の声』は、ほとんどが賃金の上昇しか見ていない。相変わらず狭義のものづくりでしかビジネスを考えない習慣に、日本の産業の危うさを痛感する。
 
 2013.04.11 国営企業の派遣社員違法雇用 しばらく少なくなっていた労働者のデモが、メーデーを目前にしてまた賑やかになって来た。そんな中、代表的な国営企業である石油会社、電力会社、電話通信会社の責任者が国会に呼ばれて追求を受けていた。本来は2年間に限られている派遣社員を5年以上にわたって使い続け、しかも本人には元々の支払額の1/3しか渡っていないのを放置していたとのことである。福島原発の復旧工事でも似たような話を聞いたことがあるが、いずここも金に絡んだ醜い世界は無くならない。来年4月の総選挙とその後の大統領選挙に向けて、色々なところで火に油が注がれるだろう。
 
 2013.04.04 インドネシア進出希望の日系企業は1,100社 既に50行近くの日本国内金融機関と提携関係を結び、さらにはインドネシア投資調整庁とも提携関係を結んだ、インドネシア国営銀行(Bank Negara Indonesia)の発表によると、現在、インドネシア進出を希望している日系企業は1,100社に達すると言う。おそらく第三次産業が多いのだろうが、もしこれが本当ならば、現地の日系企業数は現在の2倍近くまで増えることになる。それだけインドネシア国内市場の成長に可能性があるということなのだろうが、その結果として益々輸入が増えることは避けられないだろう。既に貿易収支の赤字が問題視されており、輸入制限なども不評を浴びながら出始めている。しかし、輸入制限は今の経済成長にブレーキをかける危険性も高いので、普通であれば輸出奨励策や輸出圧力を出して来るだろう。既に進出している日系の製造業も、輸出圧力に対する対応策を今から考えておく必要がある。
 
 2013.04.03 麻薬と違法アルコール飲料の蔓延 麻薬の蔓延は以前から重大な社会問題として報道されていたが、いよいよ公務員の尿検査が始まった。そこまで深刻なのかと唖然となる。片方で、違法なアルコール飲料で命を絶つ事件が後を絶たない。日本人は何かあったら皆で酒を飲んで、その時の憂さを晴らすと言うことが出来る。しかし、インドネシアでは普通のイスラムの人達はそうは出来ない。その反動で違法ドラックやアルコール飲料に走ってしまうのだろうか。自分も何か嫌なことや嬉しいがあるにつれて酒を飲む習慣があるので、ついそんな風に考えてしまう。余計な同情と言われても仕方ないが・・・。
 
 2013.03.17 警察官の肥満対策 インドネシアの警察官は日本の警察官に較べると確かにお腹が突き出た肥満体形の人が多い。警察組織もそれを問題視しているようで、スポーツ大会とかの肥満対策イベントを開催しているが、そんなものは焼け石に水であることは皆が承知の上だろう。ジャカルタに駐在しているころは自分で運転してすることも多かった。雨の降る夜に家族で食事をして帰宅する途上、うっかり侵入禁止の道に入ってしまった。どこからとも判らずに現れた警官に車を止められた。当時は軽い違反に対する罰金は10,000ルピア(当時のレートで約2,000円)であった。しかし、その警官は20,000ルピアを支払えと言う。その理由を尋ねたところ、10,000ルピアは警察への支払い、10,000ルピアは自分の分だと言う。払わないと免許証を返してくれそうにないので支払った。10,000ルピアで家族を連れて美味しいものを食べれるね、と聞いたところ、嬉しそうに『そうだよ』と答えてくれた。降りしきる雨の中、カッパは着込んでいるものの、大変だなあと思い、何故かその警官に親しみを憶えた。あの時はまだ私と同じような年代だった警官も、今は私と同じようにお腹が突き出しているのかもしれない。
 
 2013.03.16 猛威を振るう汚職撲滅運動 スポーツ施設建設に絡む汚職や警察内の機器調達に絡む汚職で、特に与党の幹部が摘発される事態で政界が沸騰している。訴えられた政治家達は、本当の黒幕を知っている、として自己弁護と牽制を繰り出している。醜いとしか言えない姿だ。2000年以降の10年間のインドネシアのGDP成長と、昭和40年代の日本のGDP成長のグラフを重ね合わせるとぴったりと一致する。最近のインドネシアの国内市場の急激な拡大は、まさに日本の高度成長を彷彿させるものであることは間違いない。しかし、根本的に違うことがある。当時の日本は国民全員が経済底上げの恩恵に預かったのに対し、今のインドネシアは恩恵に預かる少数の人達とそうでない多数の人達の格差が益々広がっているこである。最大の恩恵に預かっているのは華人達と、汚職の機会に恵まれた政府高官なのだろう。昔、現地法人の幹部社員達とインドネシアの将来についてよく話し合った。国の潜在力はアメリカと肩を並べるレベルであると皆が確信していた。しかし、現実の違いの原因は何だろうかと議論した時代を思い出す。
 
 2013.03.16 猛威を振るうデング熱 首都ジャカルタの東隣に位置するブカシ市で、デング熱が流行しており、今年に入ってから335人が発病して、うち4人が死亡したらしい。そして大部分が女性と子供というのを聞いて、20年くらい前に、妻と当時5歳だった二女が発病した時のことを思い出した。3日くらい高熱を出して、飲食物を一切受け付けなくなり、自分で起き上がれなくなった。地元のクリニックに連れて行って診察したところ、デング熱と判り、急いで総合病院の入院手続をとった。病院ではワクチンとかで治療することもなく、1週間くらい、ひたすら点滴を続けただけだった。確かに1週間で熱も無くなり、自分で歩けるようになった。デング熱に詳しいという医者によると、伝染させるのは昼間に飛んでいる蚊だから、特に昼寝をする時に注意しなくてはいけないらしい。女性と子供に多いと言うのも、なんとなく判るような気がする。
 
 2013.03.14 フゲン将軍が草葉の陰で怒っている ヤマハの現地パートナーは元警察軍の長官までになった、独立の英雄の一人でもあった。しかし、盟友であったスハルト政権の汚職体質に反抗して反政府グループに身を投じて、軍のの監視下で窮屈な後半生を送った。その私生活は他の退役将軍達とは雲泥の差と言える赤貧もので、軍から払い下げられた官舎と僅かな年金で、乗っている車もポンコツであった。最近ニュースを賑わしている警察の技官のトップは、運転免許の試験に使うシミュレーター購入に絡む汚職で、10軒前後の豪邸と多くの高級車を持っていることが明らかになった。日本の昔の武士を彷彿させる生き方をしていたフゲン将軍が健在であったらなら、何と言うだろうか。
 
 2013.03.07 華為(HUAWEI)インドネシア現地法人のデモ 格安のスマホを発売して注目を浴びている中国の通信機器メーカー、華為(HUAWEI)インドネシア現地法人の労働組合が連日のようにデモを行っている。目的は組合つぶしに対する抗議、解雇拒否、違法外国人就労者に対する抗議であるとされている。先日、公益財団法人の国際労働財団とインドネシア労働組合連盟が労使関係や社会保障制度について議論するセミナーがジャカルタで開かれ、近年先鋭化する労働運動を率いることで知られるサイド・イクバル金属労協会長は、労働者の生活安定のためには、日本の労働運動に学ぶ点が多いことを強調したとのことである。インドネシアの多くの日本企業はこれまでも、いわゆる日本式労使協調で問題無く操業を続けて来たのに、中国企業が本土なみの労使関係を持ち込むことで、不要な火の粉を浴びることが懸念される。
 
 2013.03.06 ジャカルタの大洪水は人災 ジャカルタッカの真ん中を南北に流れているチリウン川が大洪水の原因であるとして報道されている。地図で見ると良く判るが、まるでアラビア文字みたいにくねった形には驚いてしまう。これでは南のボゴール周辺の高地で降った雨が流れて来たら洪水を起こすのは当たり前である。さらに川沿いの住民が好き放題にゴミを捨てるのだから、何をかいわんやである。だから抜本的な解決方法としては、日本の各地で実施して来たように、川を真っ直ぐにすることだと思う。住民の移転問題は当然あるだろうが、高層マンションやショッピングモールを建設する時の、力に任せた実績があるではないか。
 
 2013.03.02 メッカ巡礼者のトラブルに子供時代を思い出した メッカ巡礼をアレンジするエージェントの不手際で出発出来ない人達が収容された施設で、何日間も食事も用意されなかったとして問題になっている。そのニュースで初老のご婦人達が巡礼のための白い布を頭から被り、この苦境を救って欲しいとアラーに祈っている姿を観て、子供の頃の祖母の姿を思い出した。生まれ育った秋田の家があったのは貧しい地域で有名であったが、父の失業とか、叔父の入院とかが続き経済的にとても苦しい毎日だったのを子供心にも鮮明に憶えている。しかし、日蓮宗の熱心な信者であった祖母は、その苦境の中で朝晩法華太鼓を叩いて祈っていた。ニュースを観ていて何故か、その時代の光景を思い出した。
 
 2013.02.28 バトルロワイヤルの様相になって来た汚職問題 実質的に解任された形の元民主党の党首が、まだ調査は続いているが最近はあまり話題に上がらなくなった、CENTURY銀行の救済に絡む汚職の実態を暴露すると発表した。単なる腹いせ目的の空騒ぎなのか、それとも本当に真相を知っているのか、そのうち明白になるだろうが、CENTURY銀行の汚職問題では当時の財務大臣にも疑惑がかかり、ほとぼりが冷めるまで国外に逃れる形で、現在はアメリカで世界銀行の理事を務めている。インドネシアではKorupsi(汚職)、Kolusi(慣れ合い)、Nepotism(身内びいき)の頭文字を取ったKKNの撲滅が国を上げての課題になっている。それにしても一体どこまで広がり、どれくらい根が深いのだろうかと溜息が出てしまう。300年間インドネシアを植民地支配したオランダの東インド会社は汚職にまみれた組織であったらしい。その手足になって働いた華僑の故郷も汚職の染みついた歴史を持つ国である。それともジャワ文化そのものが汚職に寛容だったのか、もう少し勉強しなくてはいけない。
 
 2013.02.26 益々盛り上がる汚職摘発運動 2014年の総選挙と大統領選挙に向けて、汚職摘発運動が益々勢いを増している。汚職撲滅委員会だけでなく、一般国民による摘発も勢いを増している。ある投資案件でこれから関わり合いを持つかもしれない、西ジャワ州チアンジュール県の、知事の豪邸前でも、汚職に関わったとして辞任を求めるデモ隊が騒いでいた。思わず、おいおいと口走ってしまった。因みに2010年度の国別腐敗認識指数(CPI)では、178ヶ国中で最もクリーンな国はデンマーク、シンガポール、ニュージーランドで、ワーストスリーはソマリア、ミャンマー、アフガニスタンルであった。日本はクリーン度17位、インドネシアは110位であった。課題は多い。
 
 2013.02.26 やっと辞めたスキャンダル知事 西部ジャワ州のガルット県の知事が、側室に結婚適齢期以下の少女を迎え、わずか四日後に離縁してしまった。その後数カ月にわたって世論の批判を浴びていたが、大統領からの解任状を受け取って、昨日やっと辞めた。しかしこの人は地元の支持者の前で、自分は生まれ故郷であるガルットの発展のために必ず復帰すると息巻いていた。その背後にある氏の豪邸を目にすると、地元の発展ではなく、私腹の発展のためだろうと勘ぐってしまう。こんな人をみていると本当に脱力してしまう。
 
 2013.02.24 混迷を深める民主党の現状 スポーツ施設の建設に絡む一連の汚職事件で、現大統領の所属する民主党の党首も汚職撲滅委員会から容疑者に指名され、党首を辞職してしまった。2014年の総選挙と大統領選挙を前にしてこの種の事件はこれから益々多くなると予測される。オランダ植民地時代と、その後のスカルノ大統領による社会主義政治、そしてスハルト政権下での一党独裁が終焉したことで、中世の王朝時代の政権争い劇が甦って来たような印象を受ける。現在のインドネシアが国際社会に与える影響は、インドネシアの人達が考える以上に大きいことを知って欲しい。東アジアにおける地政学上の役割、世界最大のイスラム人口、今後の世界経済をリードするアセアン最大の資源国など、重くて大きな役割を負っているのである。日本にとってもアメリカとは別の意味で、最重要同盟国である。どうかそのことを意識して欲しい。
 
 2013.02.19 ジャカルタのジョコウィ知事、洪水対策で陣頭指揮 期待のジョコウィ知事は洪水の原因である河川のゴミの排除や、貯水池の浚渫作業の現場に出向いて陣頭指揮を取っている。その姿を見ていると、今までの知事はいったい何をして来たのだろうかと疑問に感じてしまう。新たなショッピングモールやマンションなどのオープニングセレモニーで、テープカットをするのが忙しくて洪水対策どころではなかったのではないかと穿った見方をしたくなる。そのジョコウィ知事が忙しい合間に、土日にかけて支持している西部ジャワの知事選挙候補者の応援に駆け付ける際、政治活動のための休暇申請は12日前に提出すべきところ、1日前であったとして、内務大臣は規定違反の処分を考えていると話していた。どこにも枝葉末節に騒ぐ馬鹿な政治家いるものだ。
 
 2013.02.15 2014年の大統領選挙を前にした動きか 2014年に2期10年の任期を終えるユドヨノ大統領と民主党に対する様々な攻撃と思える動きが展開されている。大統領の長男である国会議員が登庁手続した直後に無断で国会を欠席して党の仕事をしていたとして、野党から追求されて議員辞任に追い込まれた。その直後に大統領は反撃に出た。スハルト時代は独裁政党で、今は最大野党の総裁がオーナーの資源開発会社が7年前に起こした広大な熱泥噴出事故で、家屋や田畑を無くした被害者に対する補償の7割が未処理のままであると、今にして突然国会で追及したのだ。スハルト大統領の長女と結婚して(その後離婚したが)、当時はポストスハルトと噂され、スハルト体制崩壊の後は暫く国外に逃れていた、元将軍も第三極野党からの次期大統領の有力候補である。政治も自由奔放となったインドネシアの次期大統領選挙に向けて、インドネシア風政治闘争の本当の姿がまがまがしく出て来そうでとても心配である。
 
 2013.02.09 中国歴の春節を前にした派手な騒ぎが気になる 2013年の春節は2月10日から始まるが、それを前にしてインドネシアのテレビニュースは、色々なイベントを派手に紹介している。メディアのスポンサーはほとんどが華人企業であるだろうから、昔のスハルト強権時代のように、中国文化を規制されなくなった今では、本来の中国人の民族性に合わせて派手に騒ぎたい気持ちが判らないでもない。しかし、圧倒的多数を占めるイスラム教徒インドネシア人の、オランダ支配時代から受け継いできた華人に対する感情が、短期間でそんなに簡単に変わるとは思えない。インドネシアは一部の宗教を除き、信仰は自由であるから、キリスト教徒、ヒンズー教徒そして仏教徒なども、自分達の宗教に祭日にはお祝いをしている。しかし、イスラムの断食明け大祭のように国を挙げて騒ぐほどではない。インドネシアにおいては、春節をお金の力で国を挙げて騒ぐのは控えた方が無難であると感じている。
 
 2013.02.07 ジャカルタ知事の気になる発言 2012年10月にインドネシアの首都ジャカルタ知事に就任したジョコウィ氏は、ジャカルタの慢性的な洪水対策に中国とデンマークの支援を期待するとの声明ほ発表した。大渋滞を解決するための公共交通機関の整備のための、日本からの借款と技術援助に対しても、なぜ日本からなのかと問題提起している姿を見ていると、過去数年間の日本の政治のだらしなさに疑問を抱いているのかと危惧してしまう。稀に見る庶民感覚と具体的な実行策の実践で、時期大統領にとの国民の期待を集めるほどの人物の対応に、日本人として寂しさを感じてしまう。
 
 2013.02.02 2013年1月の自然災害は119件 インドネシア災害対策庁の発表によると、2013年1月に全国で発生した自然災害は119件で、それらよる犠牲者数は126人になると言う。さらに避難者数は113,747人、全倒壊家屋は940件とのことである。中でも被害の大きかったのは洪水で、全国で36件の大洪水が起きている。洪水だけで61人が犠牲になっている。特にジャカルタでは1月後半の洪水で41人が犠牲になっている。私も出張時にその洪水に巻き込まれて酷い目に遭った。前に書いたが、これらの原因の半分は人災だと確信している。川にゴミを捨てない、勝手に排水溝を塞がない、やたら地下水を汲み上げないことだ。まずはゴミを大量に出して、水を大量に消費する、お金持ち達が率先して社会ルールを守ることから始めないと、ジャカルタ知事とか大統領がいくら現地視察というポーズをとっても、今の経済成長では益々悪化するのではないかと非常に心配である。
 
 2013.01.13 真の法治国家としての道は遠いのか 数十億ルピアの汚職で裁判を受けていた元ミスインドネシアの国会議員に対する一審の判決は、検察の懲役12年と財産没収に対し、4年半の懲役と、1/10の財産没収であった。一年前にはサンダルを盗んだことで4年の懲役を言い渡された少年に対する世論の反発がニュースになった。数十億ルピアの汚職とサンダルの盗難が同じ判決を受けることに、ほとんどのインドネシア国民は異議を唱えるだろう。それにしても、こんな酷い判決を下す判事はどんな人で、どんなしがらみを持っているのだろうか。ただ、このような情報が何の規制もなく国内外に公表されるのは、日本の隣の国に較べて遥かに民主化が実現している証拠でもある。少しずつでも法治国家としての形を確立することを願って止まない。
 
 2013.01.04 新年早々の不思議なニュース 今年は2014年の大統領選挙に向けた様々な動きがあるだろうと言うのが昨年末からの巷の予想であった。元旦早々に時期大統領候補である、現経済問題調整大臣で、現大統領の息子に娘を嫁がせたラジャサハッタ氏の息子が、ジャカルタ郊外の高速道路で前を走っているワゴン車に高速で追突して二人を死亡させてしまう事故を起こした。しかし、その息子の車の後ろを走っていた運転手の証言と、警察の発表は大きく食い違っている。証言者によると、事故現場に追突された見られるワゴン車は無かったと言う。そして、大臣の息子は被害者の救出に必死であったと言う。証言者はテレビのニュース番組に登場して、当時のことをあまりに上手く説明するので、キャスターは『あなたは金で頼まれたのではないでしょうね?』とまで質問する有様。真相は判らないが、折角世界から認められつつあるインドネシアの民主化が本物であることを証明する、時期大統領選挙がおかしなスキャンダルで汚されることのないよう願っている。
 
 2012.12.28 ジャカルタの2012年中の犯罪件数 ジャカルタ都市警察の発表によると2012年の犯罪件数は2011年と比べて軒並み増加しているらしい。強盗が935件から1,094件、凶悪殺人事件が67件から69件、暴行脅迫事件が580件から707件、麻薬事件が4,817件から4,836件、少年の暴力事件が30件から41件、放火事件が67件から69件、軽犯罪も含めた全体では20,855件から25,518件となっている。統計数字の発表が早いのにも驚いたが、件数ベースで20%以上も増えているのは深刻である。これも洪水や渋滞と同じで、経済の急成長という光に対する影なのだろう。インドネシアという国の今後のバロメーターとして、ジャカルタの姿を注意して見守りたい。
 
 2012.12.28 ジャカルタの慢性的な洪水の真因 現地の都市計画専門家によると、ジャカルタの近年の慢性的な洪水の原因は、@地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下、A急増している高層ビルからの排水の急増、B河川へのゴミの不法投棄によるダム状態などであるとされている。都民の期待を一身に受けて日々奮闘しているジョコウィ新知事は、都内の下水道に自身で潜り込み、これでは容量が小さいので早急に巨大化すると述べている。今まで有効な対応策を取って来なかった、歴代の知事達の責任は大きいと思う。しかし、ジョコウィ知事の考え方は、行け行けどんどんのジャカルタの経済発展は野放しのままに、その負のつけにだけ対処しようというものである。すぐに行き詰まるようで心配である。同じような歴史を通って来た東京や大阪などの先行事例もじっくり研究すべきではないだろうか。
 
 2012.12.11 ユドヨノ大統領が汚職役人を擁護か? ジャカルタで開催されいる汚職撲滅世界大会での講演で、ユドヨノ大統領は『本人には罪の意識が無く、過失で汚職に関わってしまい訴えられた公務員は国が護らなくてはいけない』と、首をかしげたくなるようなちょっと変なことを言った。同席していた汚職撲滅委員会のトップはすかさず『いかなる人間であろうと法律に違反した者が簡単に放免されることはあり得ない』と牽制した。そりぁそうだろう。汚職をしておいて『私は罪の意識がありませんでした、あくまでも過失です』で許されるのなら、しない方が損だということになってしまう。残りの任期が2年を切って、出身母体の民主党から汚職疑惑の高官が続出していることに平常心を失ってしまったのだろうか。
 
 2012.12.10 ジャカルタで始まるナンバープレート別通行規制 遅くても来年の3月から、奇数と偶数の車のナンバープレート別に、奇数日と偶数日に分けて、朝の通勤時間帯の通行規制を段階的に始めるらしい。シンガポールでは30年以上前に曜日別に実施して効果を上げていたらしいので、もっと早くからやれば良かったのにと思う。20年くらい前に3 in 1(3人以上乗っていないと通行出来ない規制)が施行された時は、規制区間の入り口に有料の相乗り屋が多数登場して、いかにもインドネシアらしいなあと感心したものだが、今度はどんな商売が流行り出すのか(ジャカルタ市民に怒られるかもしれないが)、日本人には想像も付かない、あっと驚くようなものが出るのではと多少楽しみでもある。
 
 2012.12.08 中部ジャワの県知事が18歳以下の新妻を4日で離縁 ジャワ島の中でも貧しいことで知られるガルット県の知事が、18歳以下の女性を第二夫人に迎えたが、身体に問題があるとして4日後に離縁したことからニュースのネタにになっている。県知事を辞任すべきとの世論もあるが、新妻とその一族に謝罪したことで騒ぎが収まると思いきや、裁判沙汰にしないという約束で、裏で30億ルピア(約3千万円)の慰謝料を支払ったとの噂で、またまた騒ぎになっている。本当ならば、貧しい地域の知事とは言いながら、あるところにはあるのだなと驚いた。しかし、こんな事件がオープンにされるのは民主化の賜物なのかとも思った。
 
 2012.12.07 「安価な労働力は終わり」 ユドヨノ大統領が言明 一部の地域で大幅上昇となった2013年最低賃金に絡み、ユドヨノ大統領は11月30日に、「安価な労働力の時代は終わった」と言明した。これの意味するところはとてつもなく深くて広いと思う。と言うのも、このことを実現するには多くの矛盾を解決しなくてはならないからだ。すぐに思いつくのは、周囲のアセアン諸国とのコスト競争力が低下して、外国投資が減少するのではないかと言うことだ。インドネシアは他の諸国と異なり、国内需要と外国投資が経済発展を支えているからだ。次には、確かにジャカルタ周辺の経済発展は目を見張るものがあるが、地方との格差は益々広がっており、それらの地域を切り捨ててしまうのかという疑問である。大統領の発言の背景には、賃金の急上昇はインドネシアに限らず、タイやベトナムでも同様に起きていることや、都市部の所得向上で国内需要が益々強固になるといった読みがあるのだろう。日本のある投資家がインドネシアの工業大臣に、ジャカルタから50Kmくらい東にある工業団地群の一画に3,000ヘクタール(5Km×6Km)の土地を探して欲しいと要請したとのことだ。今後15年は日本からの投資が続くと言うのがその理由らしいが、大統領はそんな大きな流れを見据えているのかもしれない。
 
 2012.11.27 最低賃金に見る地域間格差 インドネシアの首都ジャカルタ周辺の2013年度の最低賃金は前年比増50%近くで、軒並み月200万ルピア(17千円くらい)を超えようとしている。しかし、300Kmくらい離れた中部ジャワではやっと月100万ルピアを超えたレベル。地方間格差が益々広がり、ジャカルタ一極集中に拍車がかかる。マーケットシェア90%を占める日本の自動車メーカーが、ジャカルタ東方の工業団地群に集中しているから仕方ないが、渋滞も含めて大きな社会問題になっているので、インドネシア政府と協力して、人・物・金を拠出して抜本的な対策を打つ姿勢を見せないと、どこかで1974年の時のように日本車が焼き討ちに遭った、反日運動の炎が燃え上がるような一抹の不安を感じる。
 
 2012.11.21 毎日80人が交通事故で死亡している 最近の政府発表によると交通事故死亡者数は1日当たり80人らしい。年間に換算すると3万人弱となる。日本は最近は減少して年間約4千人である。人口は日本の2倍強であるが、車の年間販売台数はまだ1/4程度である。オートバイの最近の販売台数は年間700万台に達している。それにしても一桁多いと言うのはやはり尋常ではない。毎日のように大事故のニュースが伝えられるので多いとは思っていたが、具体的な数字で比較すると少し怖くなる。その割に事故現場に出逢うことが少ないのはどうしてだろうか。相変わらず良く判らない国だ。
 
 2012.11.08 インドネシアからの撤退を考えている企業とは 最近の労働組合によるデモやストライキに嫌気が差して、インドネシアからの撤退を考えている企業は10社に上ると、インドネシア経営者協会(APINDO)は訴えている。このなかには日本企業も二社含まれているようである。しかし名前が明かされた会社は、以前から派遣労働者を不法に使っているとか、賃金や手当の支払いで不正があったとして、労働組合から訴えられていたところが多いようである。11月初めにジャカルタで開催されたインドネシア投資サミットにおいて、副大統領は最近の労働問題に対して、政府はインドネシアの労働者の福利を最優先すると言明した。不正な方法で労働者を搾取してまで利益を得ようとしする企業は、インドネシアとしては歓迎しないとのことだろう。正しいことだと思う。
 
 2012.10.31 後を絶たない地方の集団暴力事件 スラウェシ島やスマトラ島の村落で、些細なことから村落同士の集団闘争が起きている。本来は争いを好まない人達であるはずなのに、なぜこうも頻繁に起きるのだろうか。凶器を振りかざして走り回っている男たちの様子を見ると、彼らのほとんどは安定した仕事を持っていないように見受けられる。地方に行くと一日中道端にたむろしている若者を目にする。これは別に今に始まったことではなく、昔からの風景である。しかし、スハルト政権が崩壊して、21世紀に入って大きく変ったことは、民主化により多少騒いでも警察や軍により闇から闇に葬られることはなくなったことである。そしてその反面、普及が進んだテレビ放送のお陰で、ジャカルタなど都市部の豊かで華やかな様子がどんどん紹介されている。これらが相乗効果となって長い間の鬱憤が一挙に破裂しているような気がする。彼らにも安定した仕事の機会を提供することが根本的な解決策であると思う。そのためにはインドネシア政府は思い切った政策で、地方への投資を呼び寄せるべきである。取って付けたような現在の優遇策ではほとんど魅力が無い。
 
 2012.10.25 エスカレートする労働組合の要求 今年は年初から労働組合による大規模なデモやストライキが発生しているが、来年の最低賃金見直しを控え、ジャカルタ地区の労働組合は現在の月約13,000円を8割引き上げて23,000円にすることを要求するとしている。また、試算のベースとなる生活必需品目数も現在の46品目から86品目に拡大することも要求している。まさかこの要求がそのまま通ることはないと思うが、このままではジャカルタは中国やアセアンの都市の中で、コストが最高レベルになってしまう。おそらく政府は生活必需品目に補助金を投入して物価上昇を抑えるものと思われるが、本質的な解決策とは言えない。国としての経済成長と国民の生活維持の双方をどうバランスさせるのか、ユドヨノ大統領の残り2年間の最後の大仕事になる。1998年の経済危機と政治不安を乗り越えて成長軌道に乗っている勢いに急ブレーキがかからないことを祈っている。
 
 2012.10.01 中国政府による巨大投資計画 インドネシア政府は今年の初めに中国政府との間で、インドネシア経済発展促進および拡大基本計画のための15のプロジェクトに対する約1兆円規模の投資援助に合意し、その実現に向けて準備を進めているとのことである。過去の日本からの年間直接投資額は大体1千億円から2千億円の間を推移して来ているので、10年分の投資を一挙に実現しようと言うものである。中国は日本の10倍の国民を抱えているが、インドネシアに対する投資も10倍なのかと驚いてしまう。周辺各国とは領土問題などで軋轢を起こしつつも、その向こう側にあり、シーレーンの重要位置にあるインドネシアとは着々と協力体制を強化している。なにか春秋戦国時代の歴史小説を彷彿とさせる。
 
 2012.09.26 集団ヒステリになり易い人達 昨日の高校生による集団喧嘩で犠牲者が出たばかりなのに、今日またジャカルタの別の高校で同じような騒ぎでの犠牲者が出た。サッカーの試合でもサポートター同士だけでなく選手同士の喧嘩は頻繁に起きている。交通事故現場でも関係者同士の喧嘩は日常茶飯事である。町内会の間でも何か問題があると簡単に集団闘争に発展してしまう。普段はにこにこしておとなしい人達が集団ヒステリで急変する姿は良く目にした。社内でスポーツ大会などを開催する際には事前に防止策を良く練ることが必要であった。
 
 2012.09.25 高校生同士の集団喧嘩で死亡者多数 日本人に人気のある南ジャカルタ市の繁華街ブロックMの北側にある公立高校6と公立高校70は隣り合った敷地にあり、昔から集団で喧嘩をしていた。公道に飛び出した生徒達はお互いに投石を繰り返し、角材を手にして叩きあったりしていた。私も現場に居合わせて車に石が当たって酷い目にあったことがある。この騒ぎで先日は刃物で胸を刺された男子生徒が死亡した。今年に入ってからのこの種の騒ぎでの死亡者は既に20名を超えると言う。同校の父兄はどこの高校でもあることだから転校しても仕方ないと諦めていた。痛ましいことだ。
 
 2012.09.20 首都ジャカルタの新知事 現職知事の通称ホケ氏とソロ市長の通称ジョコウィ氏の間で行われた決選投票は、得票率46%対54%で挑戦者のジョコウィ氏が勝利した。奈良市長が東京都知事に選ばれたようなものだ。得票率は拮抗しているが、ジャカルタ都民は革新政権を選んだ。ジョコウィ氏の話はとても具体的で、ソロ市での施策も非常に具体的で市民から大きな評価を得ての挑戦であった。副知事候補を中国系インドネシア人アホ氏に指名したことも、永い間表の政治から華人を排除して来たインドネシアでは画期的な出来事である。日本の政治家に較べても言動が抽象的で観念的なインドネシアの政治家の中で、ジョコウィ氏は異彩を放っていたのだろう。そう言えば、かつて30年の長期政権を支配したスハルト氏も言動は非常に具体的であった。政治家には政治家の言葉で、経済人には経済人の言葉で、農民には農民の言葉で判り易く語っている姿をテレビでよく観た。日本版のジョコウィ氏の登場が待ち遠しい。
 
 2012.09.18 鴻海精密工業のインドネシア進出で思い出したこと ホンハイの傘下にある組立会社Foxconnはジャカルタ西方の工業団地でのi-padの生産準備を着々と進めている。雇用者数は最終的に100万人に達すると言われている。人海戦術の巨大工場を想像してしまう。作業者のほとんどを期間契約か派遣労働者で賄うのだろうか。このニュースを見ていてふと、20年くらい前に取引のあった台湾の部品メーカーの社長の話を思い出した。当時から日本企業の中国進出は華々しく、この社長は大変心配していた。日本企業は人・物・金を中国に根付かせてしまう形で進出しているが、もし中国国内に大混乱が生じた場合に、素早く撤退することが出来ないではないかと危惧していた。それに対して台湾企業の進出形態は、会社の規模は大きいが固定資産や機械設備にはあまり投資をしないで、人海戦術スタイルを優先させると話していた。今回のホンハイのニュースで想像したのは、中国の動乱を察知して、早目にインドネシアにシフトさせようとしている台湾人経営者の姿であった。
 
 2012.09.13 重厚長大産業を重視する投資政策 インドネシア商工会議所は中国からの資源開発投資に熱い視線を送っている。一件当たり数千億円に相当する大規模投資は確かに魅力的であろう。これからも大量の資源を確保しなくてはいけない中国にとっても、オーストラリアよりは比較的近く、アフリカよりは遥かに近いインドネシアは、重要な調達先となり得るであろう。しかしその先にあるのは荒廃した自然と、住むところを無くした地元住民の姿であるような気がしてならない。パプア州のアメリカ資本による鉱山開発がそれを実証している。中国資本はアメリカ資本よりも自然保護や地元住民のためにより良い対策を打つと考えているのだろうか。国全体の経済発展のためには仕方の無い犠牲と諦めているのだろうか。一方で、日本からの投資は自動車やサービス業を中心に、小規模な案件が多数殺到している。最近新しく就任した投資調整庁長官は、投資額は小さくとも地場産業の発展に寄与する投資を期待している旨の発言をしている。日本は国としてこのような形での貢献をもっとアピールすべきと思う。
 
 2012.09.12 インドのタタ自動車も低価格車で市場参入 インドのタタ自動車がインドネシアで80万円台の自動車を販売する計画を打ち出した。インドネシアでは日本の自動車メーカーが市場の90%を占めているが、普通車でも日本の価格の2倍近くになり、年収が30万円以下の庶民にとってはまだまだ高嶺の花である。しかし、80万円となると、最近急激に増えている中間層が、少し無理をしてローンを活用して買いたいと思うに違いない。日本車のシェアは多少は喰われるだろうが、新たな巨大な購買層を生み出す可能性が高い。タタもそこに目を付けたに違いない。しかし、今のジャカルタでこれ以上の自動車が走ったらどうなるのか。今の状況でも5年後には自動車総数の面積が道路面積を上回ると言われている。最近はガソリンの供給不足が頻繁に起きている。今月決選投票が行われる次期ジャカルタ知事選挙や、2年後の大統領選挙の大きなテーマになっているが、これらの問題に対する根本的な解決策は見えていない。いつまでも経済成長のプラスの面ばかりを追求して、マイナスの面を見て見ないふりを続けるのは無理であることは知っているはずなのに、もうどうにも止まらないと言った状況になりつつある。次期政権の課題は現ユドヨノ政権が残した、民主化と経済成長の歪を解消することにある。インドネシアの政治家は日本の政治家と違って実行力があるから不可能ではないと確信している。
 
 2012.08.31 多発する暴力事件が意味するものは インドネシアの各地で宗教、種族、果ては学校など、異なるグループ間での暴力による争いが多発している。東部ジャワのマドゥーラ島では少数派のシーア派の住民が、多数派のスンニ派の住民に家を焼かれて、さらなる襲撃を恐れて警察が保護する体育館で避難生活を送っている。スカルノハッタ国際空港の近くでは、暴走した車に乗っていた暴徒のうち三人が、警察の制止を無視したため撃たれて死亡した。2004年以降、ユドヨノ大統領が推し進めて来た民主化と経済成長はかなりの成果を上げたと、自他共に認めて良いと思われる。しかし、そこから発生している様々な格差が社会の歪となり、日本人のようにじっと我慢することを得意としないインドネシア人の心の中に、ささくれとなって残っているのではないかと危惧している。
 
 2012.08.27 次期ジャカルタ知事候補の火災対策の違い 最近の首都ジャカルタでの火災の多さは異常である。ほとんどの原因は電気のショートと報道されているが、本当かと疑ってしまいたくなる。次期ジャカルタ知事選の第一回投票でトップに立った現ソロ市長を支持している某国会議員は、火災が起きた地区は現ソロ市長への投票率が高いところばかりで、第一回投票でトップを取れなかった現職知事の脅しだと非難している。それはそれとして、二人の候補の火災対策の違いが面白い。現ソロ市長は火災現場はほとんどが消防車が入れない路地裏なので、住民が力を合わせて初期消火するための方法と道具を普及させている。方や現知事は消防署の幹部を集めてもっと消火活動を強化すべしと訓示を垂れている。この勝負、現ソロ市長に軍配を上げたい。ソロ市民に慕われる理由が判るような気がする。9月20日の決選投票が楽しみである。
 
 2012.08.24 無尽蔵な観光資源はインドネシアの宝 ニュースではないが、NHK-BS3の番組の中で、女優の鶴田真由が、バリ島から東に約1,200Kmにわたって伸びるヌサトゥンガラ(正に東南の海洋と言う意味)諸島を、フェリーとバスで旅するのを観た。以前から言われていることであるが、やはりインドネシアには観光資源が無尽蔵にあると、改めて痛感させられた。しかし、具体的な数値に基づく訳ではないが、観光産業のライバルである、マレーシアやタイに較べると、これら資源の活用度合いは桁違いに低いように感じられる。逆に意味でそれだけ潜在性が高いと言うことになるが、これだけの領域に広がる候補地を、環境を破壊せず、地元民の生活を脅かすことなく開発するには、かなり高度なリーダーシップとマネジメントが要求されるはずである。ロンボック島の観光インフラが未開発のころ、アメリカ人の開発業者と現地の金持ち華人が、開発予定地近くのホテルで、開発による金儲けの話をしている現場に居合わせたことがある。欧米の巨大資本と地元の特権階級が結びついて、金儲け優先の開発だけは避けなくてはならない。ものづくりにしがみついている日本に、この分野で力を発揮できる企業や人材が居ないことが残念でたまらない。
 
 2012.08.22 インドネシアのメディアから無視される日本 最近のインドネシアのメディアが取り上げるニュースは、経済、スポーツなどあらゆる面において、圧倒的に中国と韓国のものが多い。何故このようになってしまったのだろうか。日本にとってのインドネシアと、インドネシアにとっての日本は、私の個人的な思い入れを差し引いても、非常に大事なパートナーであったはずなのに。考えられるのは、中国と韓国の国家ならびに民間レベルでの超積極的なアプローチと自分達のプレゼンスの主張である。一方で日本は昔からの延長線での付き合いで十分と慢心しており、現地の日本人も、便利になった日本人社会の中だけで良しとしているのではないだろうか。とにかく、いいものを安く早く作れば買ってもらえると信じ込んで来た、性善説に基づく日本のものづくり文化が、こんなところでもしぶとく生きているような気がする。
 
 2012.08.11 華人の政界進出 首都ジャカルタ特別区の次期知事選挙は9月20日に決選投票が予定されている。先の一次選挙で一番に付けたのは、華人の副知事候補と組んだ現ソロ市長であった。決選投票に向けて二番手に付けた現役知事・副知事組と熾烈な選挙戦を繰り広げている。副知事候補が華人であり、イスラム教徒でないことを取り上げて攻撃するようなことも行われている。1965年のインドネシア共産党によるクーデター失敗以降、スハルト政権下ではそのプレゼンスを経済界だけに限られていた華人が、ジャカルタ副知事候補として出て来たことは時代の変遷を強く感じさせる。しかし、人口の5%前後の華人社会が、経済の90%を支配する構造は依然として変らない中で、スハルト時代は政治の裏側でしか活動しなかったのが表舞台にも出てくることが、吉と出るか凶と出るかは難しい問題である。ただ、1998年の騒乱の時のように、インドネシア人社会の不満が華人社会に対して、暴力という形で爆発しないためには、経済は華人、政治はインドネシア人という、極端に偏重した社会構造を、100年単位のゆったりとした時間のなかで、是正していくことが重要であると考えている。
 
 2012.08.07 違法な派遣労働に抗議する大規模デモの予定 インドネシア労働組合の中央組織であるインドネシア労働者評議会は、違法な派遣労働に抗議して、9月に100万人規模の全国的なデモを行うと発表した。アジア金融危機、スハルト体制崩壊の後に低迷する経済を立て直すため、企業側にとって有利な雇用政策として施行された派遣労働制度。以前からあった期間契約社員よりもさらに安く使えることで、広く普及しており、実際は禁止されている主体業務にも配置されているようだ。同じような仕事を差別的な条件で我慢していた派遣労働者達も、右肩上がりの経済情勢や、急激に豊かなっていく中間層の生活を見ているうちに我慢できなくなったのだろう。インドネシアの政治家達は、バランスを取るのが非常に上手い人達であるから、そろそろ企業優先から、労働者優先の姿勢に変身するポーズを取るかもしれない。
 
 2012.08.03 警察と汚職撲滅委員会の熱い戦い 交通警察への運転シミュレーター納入を巡って汚職があったとのことで、汚職撲滅委員会が調査に乗り出した。これに対して警察は調査を妨害したり、こちらで既に調査を始めているなどとして、捜査の主導権を巡って熱い戦いを始めている。それだけ抵抗するからにはさぞや大物が絡んでいるのだろう。バンドンにある納入業者は既に廃業して、建物も閉鎖されているとのことで、益々怪しい。交通警察で思い出すのは、現地の運転免許証を申請に行った時のことである。日本の免許証を持っていれば何も問題無いが、形式的にだけ筆記試験を受けて欲しいと言われた。大勢が試験を受けている会場の一番前に座らされ、隣に立っていた試験官がインドネシア語の試験の回答を教えてくれた。他の受験者達もその回答を聞き取ろうとして耳をだんぼにしていた。そして少し多めの手数料を取られた。
 
 2012.08.03 ダイハツの現地法人が追徴課税で争う 日本本社への支払特許料全額は経費として認められないとのことで、インドネシア国税局から58億円の追徴課税を請求され、裁判で争っているとの新聞記事があった。筆者もインドネシア国税局から、一億円くらいの無体な要求を突き付けられた経験がある。円高、国内販売不振などの理由で赤字決算になったので、税金の還付を請求したのが悪かった。後から現地の会計士に注意されたが、時既に遅しであった。日本の本社で利益を確保するための移転価格であると決め付けられた。経理書類、パソコンデータなど全て証拠書類として持ち去られ、本当に困ってしまった。裁判に訴える手前で和解したが、税務対策は労働争議と並んで、インドネシアで事業を展開する際の、最重要なリスクマネジメントの対象である。
 
 2012.08.01 バタム島にブルーバードタクシーが進出 8月からブルーバードタクシーがバタム島に150台のタクシーを配車するとのことで、地元のタクシー運転手が抵抗している。ジャカルタでもブルーバード以外のタクシーには乗っていけないと、日本人の間では言われているように、タクシーは犯罪の道具に使われることが多い。確かにスカルノハッタ空港でもブルーバードタクシーの乗り場には空車が無く、待たされる。待っていると向こうの駐車場にブルーバードの空車があると言われて付いて行くと、そこにあるのは明らかな白タク。値段は半額で良いと言う。バタム島ではそんなタクシーに乗って何度も怖い思いをした。テレビで見る限り、いまだにそんな雰囲気のタクシーであった。タクシーの運転手も生活があるから大変だろうが、いつまでも昔のインドネシアでは、ASEANの中でも取り残されることを判ってもらうしかないだろう。
 
 2012.07.30 バランスの欠けたジャカルタ都市開発 最近またジャカルタの中心地に巨大なショッピングモール『カサブランカ』が開店した。ジャカルタにはかつては空き地だったり、庶民の住宅地だったりしたとこに多くの巨大なショッピングモールが乱立している。中間層の購買力が急増しているので、まだまだ供給過剰にはならないと、『カサブランカ』のオーナーはニュースで語っていた。そして、その地域をシンガポールのショッピングエリアである、オーチャードロードのようにする構想があるとも述べていた。購買力が伸びて、国内経済が発展するのは嬉しいことだが、ジャカルタと言う街全体を見た時に、経済発展ばかりが突出し、社会インフラである上下水道、電力、道路、公共交通、自然環境などが付いて行けない状態にあるのをどう考えているのだろうか。正直なところジャカルタの中心地をオーチャードロードのようにすることには反対である。本来広大な国土を持つインドネシアが、何故に土地の無いシンガポールの真似をしなくてはいけないのか。このままでは気が付いたらジャカルタはインドネシアの中でも、政治、経済、文化など色々な面で問題を抱えた、特殊地帯になってしまうのではないかとの杞憂を抱いている。
 
 2012.07.27 贈賄容疑で日本人社長が有罪の可能性 現地法人の合理化目的で行った従業員の解雇訴訟に絡んで、裁判官に便宜を図ってもらうために200万円相当の現金を渡したとして、日本人社長の裁判が進んでおり、5年から15年の実刑が言い渡される可能性があると言う。汚職が氾濫してKPKと言う名の汚職撲滅委員会なるものまで設置され、摘発がブームになっているが、その波に飲み込まれたように感じられる。決して擁護する訳ではないが、スハルト時代とその直後の混乱時代のように、お金で片付けようというのはリスクが大きいと痛感させられる。インドネシアだから・・・と言うことが次第に通用しない時代になりつつあるのかもしれない。
 
 2012.07.25 外国投資トップの座が危ない インドネシア政府から2012年上半期の外国投資実績の国別データが発表された。一位はシンガポールの20億ドル、二位は日本の11億ドル、そして三位は韓国の10億ドルであった。シンガポールは色々な国がここを経由して来るケースが多いので、これまでは実質的に日本がトップであった。しかし、今年は韓国にその役割を明け渡すことになるかもしれない。在インドネシア韓国人は既に4万人を超え、1万人の日本人を遥かに超えて、そのプレゼンスの違いが目立ち始めている。韓国の場合は日本以上に海外進出の必要性に迫られている要素もあると思うが、これに台湾の巨大資本が絡んで来て、三つ巴の戦いを展開している時に中国が国を挙げて攻め込んで来る、そんな悪夢を想像してしまう。アジアは形を変えた春秋戦国時代のような状況に置かれている危機感を感じる。しかし、日本は相変わらず宮廷内の権力争いに明け暮れている。
 
 2012.07.24 鴻海精密工業(Honhai)がインドネシアに進出 世界最大のEMS鴻海精密工業の傘下企業、富士康(Foxconn)がインドネシアに進出することを決定したようだ。投資総額は5年間で100億ドル、土地は1,000ヘクタール(これはジャカルタ東部に存在する巨大工業団地の一つに相当)、雇用者数は100万人という巨大プロジェクトである。インドネシア工業大臣はアジアのシリコンバレーにするとはしゃいでいる。ロケーションとしてはインドネシア政府は税金を優遇することで、ジャワ島以外を期待しているようだが、鴻海としてはジャワ島内で、バンドンかスラバヤあたりを考えているようだ。投資のタイミングも、今年中にと希望するインドネシア政府に対して、鴻海は調査に一年は必要と言っている。気掛かりなのは、鴻海が中国のiPad組立工場で起こした労働問題を、インドネシアで再現させないかどうかである。中国で問題になったからインドネシアに移す、なんてことにならないように願っている。
 
 2012.07.22 中国とインドネシアの投資環境は違う 最近のインドネシア進出企業は外資100%を大前提にしている。そしてそれを『独資』と称することに気が付いた。『独資』と言う表現は中国に進出する企業の表現であり、インドネシアにおいては元々そのような表現は無かった。そして、インドネシア進出に際して『独資』と表現いる殆どの企業は、既に中国進出の経験を持っている。確かに中国進出に際して合弁、いわゆる合作では最終的には、中国共産党と対峙することになるから、色々と苦労することは良く理解出来る。しかし、インドネシアの場合は、合弁相手が華僑系であっても、中国共産党が背後に無いこと、インドネシア政府は西側資本主義の一員であることを良く考えるべきである。最近、インドネシア政府は韓国や中国の企業に投資してもらうべく秋波を送っている。今まで日本企業の独壇場であったインドネシアの外資分野は、これからは韓国や中国企業の熾烈な争いの場になると予想される。その時に活かすべきは、これまでに築いて来たインドネシア企業との共存関係(合弁事業)の歴史であると思う。進出企業は『インドネシアに骨を埋める覚悟である』と口にするが、それは合弁と言う現地資本と結婚する気があるのか否か、それを現地の人達は見ていると思う。
 
 2012.07.20 インドのスズキ自動車工場における暴動 この事件の真相は良く判らないので、この件について語ることは出来ないが、インドネシアの日系企業もこれを対岸の火事とみなすことは出来ない。バリ島はヒンズー教徒が多数を占めるが、インドネシアにカースト制度は存在しない。しかし、多様な種族、言語、宗教から構成されるインドネシアは、国是として『多様性の中の統一』を独立以来掲げている。工場現場にはジャワ人、スマトラ人、バリ人等が混在し、宗教もイスラム教、キリスト教、ヒンズー教と異なる。種族間での喧嘩や対抗意識も、日本では考えられないくらい強い。日本人は彼らにとっては金持ちの異教徒(たまに無宗教であると平気で言う日本人も見受けられるが)である。恥ずかしい話であるが、私は若い頃に、作業中に悪ふざけをしていた従業員を、思わずポカリとやってしまったことがある。工場内は大騒ぎとなり、私は命の危険もあるとして、暫く自宅待機を強制された。最終的に全従業員の前で、私と件の従業員が揃って謝罪した後に握手することで解決となったが、今思い出しても冷や汗が出て来る。このように争いごとが起こるたびに痛感したのが、インドネシアで古くから尊重されている争いの解決方法、ムシャワラ・ムファカットすなわち、話し合いによる全員一致の意見、である。インドネシア社会では今でも、そしてこれからも生き続ける、日本人も尊重しなくてはいけない、大事な文化であると思う。
 
 2012.07.19 貧困率が改善された インドネシア中央統計局の発表によると、2012年の貧困率はアジア通貨危機の1998年に較べて半分くらいに改善されたらしい。すなわち全国民2億4千万人のうち、貧困層の人口は5千万人から3千万人に減少したとのことである。貧困層とは1日あたり2,100キロカロリーを摂取出来るだけの収入を得られない人達で、現在の金額価値で1日あたり約70円以下の収入で生きている人達である。2,100キロカロリーというと牛丼3杯である。もちろん他には何も買えない。3千万人に減少したけれど、まだ3千万人もいる。これはイラクやアフガニスタンの総人口に匹敵する。因みにジャカルタ中心部のショッピングモール内にある、日本レストランで牛丼を食べると700円である。
 
 2012.07.17 HSBCとBKPMの協力関係 インドネシア視察ミッションでインドネシアの投資調整庁を訪問すると、香港に拠点を置くグローバル銀行HSBCのイギリス人が出て来て、HSBCのロゴ入りパワーポイントでHSBCの紹介をした後にインドネシアの投資環境を説明してくれる。不快な思いをしたので、その背景を調べてみたところ、2009年から海外からの投資促進において協力すべく提携しているらしい。そのHSBCがメキシコの麻薬取引決済金のロンダリングに手を貸していたとのことで、アメリカ議会の調査を受けることになった。インドネシアもこのスキャンダルに巻き込まれなければ良いのだが・・・。
 
 2012.07.14 ジャカルタ周辺の最低賃金抑制と物価上昇の矛盾 インドネシアの中でも特にジャカルタの経済成長は目覚ましく、同時に物価上昇も底辺の生活者を苦しめている。工場の派遣社員の時給は5,700ルピア(約50円)で、既に最低生計指数を下回っていると言われる。そうかと言って、海外からの投資が経済成長の大きな要因であるインドネシアにとって、安易に賃金レベルを上げることは、アセアン諸国やインドとの投資獲得競争に負けてしまい、国全体としての成長にマイナスとなる。しかし、全く放置したままでは労働組合が黙っていない。彼らが繰り出すデモ、ストは間違いなく外国資本に敬遠される。この矛盾にどのように対処するのか。政府が富の再配分を統制するしかないであろう。2014年以降の新大統領に託される大きな課題である。資源開発の外資とつるんで暴利を得るタイプの人では無理だ。
 
 2012.07.11 インドネシア政府がIMFに900億円の資金提供 インドネシアにIMFの専務理事が訪ねて来て、900億円の資金提供の約束を取り付けた。個別最適より全体最適、世界全体の経済安定が最優先という理屈かもしれないが、インドネシア国内の僻地では、洪水で壊れた吊り橋が未だに修理できず、子供達が命がけで川を渡っている。そっちはどうなの?そう言えば日本政府はアフガンの復興資金として2兆円の提供を約束した。東日本の災害復興支援に較べると随分と歯切れの良い対応だ。庶民感覚ではどうも良く判らない。
 
 2012.07.09 インドネシア料理の国際化運動 インドネシア料理を中華料理やタイ料理のように、もっと多くの外国人に知ってもらべきと、アメリカなどで現地のインドネシア人社会が活動を始めている。確かにナシゴレン、ミーゴレン、サテ、ソト、ルンダン、ガトガドなど美味しい料理は数多くある。しかし、世界有数の料理、すなわちフランス料理、イタリア料理、中華料理、日本料理などにあって、インドネシア料理に無い物がある。それはその料理に合った酒である。国民の90%がイスラム教徒であるから仕方ないことだが、これは大きなハンディーキャップであると思う。このハンディーキャップをどうやって克服するのか。難しい問題だ。
 
 2012.07.08 日本とインドネシア、メディアの姿勢は正反対 インドネシアのテレビニュースを観ていると驚くことが多い。逮捕された被疑者はお構いなく画面に映し出される。警察官による取り調べの様子も時に放映される。犯罪や事故の犠牲者の遺体も少し隠すだけでメディアに晒される。裁判の様子も頻繁に中継される。裁判所の窓は開け放たれて、外から覗いている人の姿すら見える。とにかく何でもオープンと言えるようなインドネシアのメディアに接して、日本はとにかく何でも隠ぺい傾向にあることを余計に感じる。被害者の人権、加害者の人権・・・・・情報を伝えるためのツールは最先端なのに、本質的な情報はあまり伝わっていない。それが今の日本であるように思えてならない。
 
 2012.07.07 時代劇なみの汚職取り締まり スラウェシ島のある町の有力者に汚職の疑いがあるとのことで、汚職撲滅委員会のメンバーが捕捉に出向いたが、本人と取り巻き達の暴力的な抵抗に合い、警察の協力を得て大立ち回りの末に連行に成功した。委員会のメンバーが暴走する車に轢かれそうな場面もあった。汚職撲滅委員会に対する国民の期待は止まるところが無い。その組織は益々大きくなり、権限も強くなるのだろうが、どこまで切り込めるのだろうか。尻尾から腰のあたり、胸くらいまで行くのか、それでも頭までは無理だろう。また、そこまで汚職がはびこってしまった社会で、汚職撲滅委員会だけがいつまでも清潔でいられるのだろうか。30年くらい前にも鳴り物入りで同じような施策が導入されたが、いつのまにか話題にならなくなった。そのようなことにならないことを期待する。
 
 2012.07.06 土地は本当は誰のもの 毎日のニュースで伝えられる慢性的な社会問題は4つある。汚職、乱闘、火事、そして土地問題である。土地を不法占拠しているとして、泣き気叫ぶ住人を押し退けて重機が粗末な建物を排除していく。そんな場面が毎日のようにどこかで展開されているのだろう。昔、ジャカルタの中心地に自社ビルを建てることになり、いくつかの候補地を見て回った。だいたいどこの空地にも粗末な家が建てられていて、彼らは土地登記の書類を持っていた。しかし、不動産業者は最初からそれらを正式な書類とは見做さなかった。彼らに言わせると、独立後のごたごた時代に社会主義を唱えていた初代大統領のスカルノ政権が、ろくに確認もしないで登記書類を乱発したのが問題なのだそうだ。どちらの言い分が正しいのか判らないが、あの心が痛む光景はこれからも続くのだろう。
 
 2012.07.03 ドリアンを旅客機に積んではいけない インドネシアのある国内旅客便の貨物室にドリアンが積み込まれ、客室にもその匂い(香り?)が充満してしまい、乗客が騒いで出発が遅れる騒ぎがあった。やってしまったな。ジャカルタ駐在当時、ドリアンの季節になると、ドリアン大好きの本社の会長様から早く送れとの催促が来た。どこの航空会社も旅客機はもちろん、貨物専用機でも積んでくれなかった。他の貨物に匂いが沁み込んで、荷主からクレームが付くと言われた。しかし、ガルーダ航空の貨物便だけは条件付きで積んでくれた。すなわち、@20個くらいのドリアンを厚いビニールシートで真空パックする。Aその上をアルミ箔で封印する。Bそして密封された木箱に入れる。であったが、それでも匂いは外に漏れていた。本社の事務所に着いて開梱した後は、会長様を除いて大変な騒ぎになってたいたらしい。
 
 2012.07.01 農機具ビジネスへの期待 日本の大手農機具メーカーがこぞってインドネシアへの進出を進めている。私は秋田県の貧しい農村で生まれ育った。秋の収穫が終わると農機具メーカーの売り込み時期だった。一年間で数日しか使わない高価な機械を、各農家が個別に購入していた。その支払のために農家の男たちは冬の間は都会に出稼ぎに行った。私の父親も毎年のように東京の地下鉄工事に出かけていた。今でも地下鉄の駅を通る時は今は亡き父親のことを思い出す。日本は季節の入れ替わりが早いため、限られた期間に特定の農作業を強いられるため、農機具の協同購入による共同活用が難しいのは理解出来る。しかしインドネシアは季節が無いからその制約はほとんど無い。インドネシアは2億人を超える国民が飢えないために、農業は非常に大事な産業である。日本のように工業製品輸出してその代金で食料を輸入する構造にもなっていない。日本の農機具メーカーには是非このことを理解して、永い目で見たインドネシアの農業と共に生きるビジネスを構築して欲しいと心から願っている。
 
 2012.07.01 オートバイのマーケットは心配ない オートバイなどの購入に際して頭金を20%以上に規定されたことで今年の販売台数は昨年を大きく下回ると各方面から懸念されている。本当にそうだろうか?インドネシア国内の年間オートバイ販売台数は10年前の100万台レベルからあっと言う間に1,000万台レベルに近づいた。ある面バブルである。それを心配した政府が止むなく冷や水を浴びせたのだろう。そのため、昨年は700万台を超えたのが今年は600万台に落ち込むと業界は心配している。どのメーカーも生産規模拡大に投資したばかりだから仕方ないことだが、一年も辛抱すれば頭金を貯めた購買者からの注文が殺到するのではないかと思う。インドネシアと言う国は日本人には理解出来ない懐の深い、得体の知れない国でもある。インシャ・アッラー(アッラーの御心のままに)。
 
 2012.06.30 庶民の思いとエリート達の思い 汚職撲滅委員会強化のための、自前ビル新築が国会でなかなか承認されないことに腹を立てた国民から、多くの支援金や物が集まっている。自前ビルを建てることには疑問があるが、汚職撲滅を願う国民の思いは痛いほど伝わって来る。しかし、その傍らでは2014年の大統領選挙に向けて、スハルト政権時代の与党であるゴルカル(職能グループ)が候補を決定した。スラバヤの熱泥噴出問題で未だに多くの被害者がそのままになっている原因を作ったバークリーグループの総裁である。エリート達の集まりであるゴルカル党にとっては取るに足らない些細な問題なのだろう。この問題には汚職撲滅委員会も手が出せないのだろか。国民の願いをトカゲの尻尾切りで終わらせないで欲しい。
 
 2012.06.29 コンドームの無料配布 違法な中絶手術が社会問題になっていることから、政府機関が若者を対象にコンドームの無料配布を始めている。これに対して、フリーセックスを助長するものだとして反対の声も上がっている。またしても得意の対症療法だなと思うのだが、それはこっちに置いといて、30年くらい前に、当時の政府が推進していた家族計画運動を思い出した。公民館などで運動員がコンドームの使い方を説明するのだが、現物に当てて行うのは流石に出来ないので、手の親指を代用したらしい。そしたらその通りにして使う人がいて、コンドームをしたのに妊娠したとの苦情が出たのである。笑うに笑えない話だった。
 
 2012.06.27 首都ジャカルタ特別地区知事選挙始まる 6組の知事・副知事候補で選挙活動が昨日から始まった。各候補は庶民が暮らす下町に出向いて、自分達の選挙公約を伝えている。ジャカルタを本当に良くするには、知事が頻繁に街に出ることが必須だと思う。立派な知事官邸にいて指示を出すだけでは下の官僚がそのように動かない。トップが現場に出ることで、下部の組織も現場で仕事をするようになる。これは工場において実感したことであるが、地方政治においても多分同じであるかと思う。そんな候補を選択するように期待している。
 
 2012.06.25 汚職撲滅委員会が新ビルをおねだり-そのA 今日のじゃかるた新聞の記事によると、委員会はの職員数は現在752名で、今後さらに500名を追加する予定であるから、当初の職員数として350名を想定したビルでは狭くて仕事が出来ない、との理由らしい。もっともなように聞こえるが、この種の組織を拡大すること自体に疑問を挟むべきだろう。汚職が起きてから取り締まるための組織を拡大するのではなく、起きないための社会を作ることにもっと知恵を使うべきだろう。臭いものには蓋をする・・・・インドネシアの人達の傾向だ。機械が故障しないために日常の正しい保全を徹底するより、故障したところが隠れるようにペンキを塗りたくる。工場の従業員が良く行ったことと似ている。
 
 2012.06.21 汚職撲滅委員会が新ビルをおねだり 今入っているビルではスペースが足りないとして、国会の委員会に新ビル建築の申請が出され、委員から反対の意見が強く出されている。そりゃそうだろう。最も身辺を清楚にしていなくてはいけない機関なのに、それも複数の幹部職が永く空席のまま補充もせず、数十億円かけて入れ物を新築したいと言うのは誰が聞いても耳をを疑ってしまう。そんな金があるのなら、特に地方の小学校など教育施設の整備に回すべきだ。
 
 2012.06.10 懐かしい80年代のジャカルタ 毎日観ているインターネットテレビニュースも土日はジャカルタの欧米文化を真似た高級スポットからの中継が多い。それを観ているとジャカルタはどんどん東京、香港、シンガポールのようになりつつある。初めて訪れた80年代初めのジャカルタは、しっとりとした独特の雰囲気を持った不思議な街であった。東京のように外国の物は豊富ではなかったが、しかしインドネシアの産物で溢れていた。ノスタルジアで勝手なことを言うと怒られるかもしれないが、ニュースの一割くらいを占めている、当時と何も変わらない僻地の貧しい暮らしのニュースを観ると、何か大事な物を忘れたまま疾走しているような気がしてならない。
 
 2012.06.08 故スハルト大統領の誕生日 今日は故スハルト大統領の誕生日と言うことで、中部ジャワの墓前には多くの人達が訪れている。また、"Suharto, The Untold Story"と題された書籍は今でも評判が高いらしく、その関係者によるセミナーも開かれている。32年間の強権政治は国民から否定されて1998年に失脚した。共産党員の粛清、東チモールの統合、アチェ独立勢力などの制圧を通じて多くの国民の血を流したことは歴史に消せない事実である。一族による利権の独占やそれに抵抗する者に対する厳しい圧力も事実だったろう。しかし、2011年に始まったアラブの春に見られるような、独裁者に対する凄惨な制裁は無かった。それどころか当時の体制を懐かしむ声さえ多く聞かれる。この違いは独裁者の行いによるものなのか、それとも国民性によるものなのか・・・・難しいところだ。
 
 2012.06.07 目からダイヤが出て来る? 西ジャワ州のとある村に住む少女の涙がダイヤになって出て来る。その少女に見てもらうと病気も治る。しかしそのダイヤを化学的に分析したところ、天然のダイヤではなく、ガラスと化成品から作られた人工ダイヤであった。信じる人たちと信じない人達が議論を展開している。病気を治してもらいたい人達は彼女の家で列を作っている。混乱を避けるために警官も警備に出動している。下瞼をこじ開いてピンセットみたいなものでダイヤの小粒を取り出す場面は、痛そうで見ている方も思わず涙が出て来る。そう言えばインドにも聖なる粉が手から湧きだす、ブッダの生まれ変わりと自称する人がいて、生前は多くの信者を抱えていた。あなたは信じますか?
 
 2012.05.25 ジャワ語普及活動の高まり 実態はどの程度なのか判らないが、自分達の独自文化であるジャワ語を若い世代に広める動きが活発になっているらしい。全国人口の60%を占めるジャワ人にとっては、ジャワ語を公用語にしたいくらいの気持ちがあるのだろうか。オランダ植民地政府により押しつけられた形で使われ始め、独立時の国是である『多様性の中の統一』の主要な要因として公用語に決められたインドネシア語は、多くの島々と多くの種族からなる群島国家インドネシアの統一に大きく貢献していると思う。一人の外国人としてもジャワ語の普及よりは、インドネシア語のさらなる普及と、言語としての品質および機能向上に力を注いで欲しい。
 
 2012.05.23 アメリカの中小企業投資視察団 インドネシア投資調整庁によるとアメリカからの中小企業17社による投資視察団は、インドネシアのインフラ、エネルギー、航空、交通、石油ガス分野への投資に関心と期待を持ったとのことである。日本からの最近の中小企業の投資分野はもっぱら自動車、オートバイ関連であるのに比べ、どちらが良いのかは別として、随分と目の付けどころが違うなあと感じた。
 
 2012.05.20 交通事故、飛行機墜落事故、レディー・ガガコンサート 先週は5月9日にボゴール近郊の山に衝突したロシア製旅客機のニュースで持ち切りであった。犠牲者の方々のご冥福をお祈りする。先週末は木曜日から四連休のところも多かったせいか、捜索隊のヘリコプター発着キャンプには多くの野次馬観光客と、それを当てにした物売りの姿が報道されていた。大惨事の現場も観光地化してしまうとは・・・。連休になると多いのが自動車事故である。件数の多さは別にして、ニュースを観ているといつも何か違和感があった。事故車のメーカーと車種、そして登録番号が必ず表示されることである。来月初めに予定されているレディー・ガガのコンサート開催を巡り、イスラム団体からの抗議と、治安問題を理由にした警察からの中止要請が話題になっている。現地の人達も言っていることであるが、現地の伝統的な歌と踊りのダンドゥットの方が遥かにセクシーで、子供達からお年寄りまで広く影響力があると思う。以上の最近のニュースで、インドネシアについて判らないことがまた増えてしまった。
 
 2012.05.16 首都ジャカルタ特別市の知事選挙 知事と副知事のペアを選ぶ選挙が間もなく始まる。スハルト強権時代は大統領の指名であったため選挙は無かった。大統領も今は国民による直接選挙で選ばれる。当時は国民協議会による間接選挙であったが、その基になる国会議員選挙はいつも監視されていた。私が居た現地法人のパートナーはスハルト大統領の反体制グループの大物であったこともあり、選挙の前にはいつも色々なプレッシャーがかけられ、工場敷地での選挙結果は個人別に精査され、指導の必要性を迫られたものだ。そんな当時のことを思うと今は本当に民主化されたと感じる。あとは止まることを知らない汚職を如何に撲滅は無理にしても抑えるかである。これが出来たらインドネシアはその実力を発揮するものと期待している。
 
 2012.05.09 市場に溢れる中国からの輸入食材 ジャカルタのショッピングセンターには高価な日本食レストランや食材ショップが増えている一方で、庶民の市場パサールでは中国からの食材が溢れていると伝えられる。問題は大きく二つある。第一に、現地生産の食材に比べて格安の値段で売られているため、放置しておくと国内の零細生産者が壊滅的な打撃を受ける。第二に、無許可で輸入されている食材が多くあり、健康面で懸念されること。中国で売れなくなった食材を、インドネシアの華僑と組んで、お役人を抱き込んで不法に輸入販売しているのではないかと疑ってしまう。問題が大きくなると形を変えた反華僑運動に発展してしまうことが心配だ。
 
 2012.04.03 燃料価格値上げは先送りされたが 結局のところ半年くらい先送りされることになったが、先立って値上げされた米、塩などの生活必需品価格はそのままで、流通を支配している誰かが焼け肥っただけだ。ガソリンにしても補助金付き低価格ガソリンは高級車に対しては販売を禁止すべきなのだ。テレビニュースでは某国大使館の高級車が通常ガソリンではなく、補助金付き低価格ガソリンを入れており、記者に問い詰められた運転手は大使館の指示だからとうそぶいていた。政府の施策も『キラキラ』ではなく、もっと緻密に運用することで税金の無駄使いを省けるのではないか。もっとも他国のことを偉そうに言える国民ではないが・・・・。
 
 2012.03.28 各地で繰り広げられる燃料価格値上げ反対デモ 予定通りに全国各地で学生を中心にしたデモが行われた。しかし、けが人は出たらしいが死者が出なかったのでほっとしている。各地の光景を観ていて、スハルト時代の5年に1回の総選挙の際に繰り広げられる、政党別のパレード騒動を思い出した。普段は禁止されている集団デモも、この時ばかりは適度な規制の中で許されていた。私もその騒動に巻き込まれて車が傷だらけになったことがあった。あれは普段抑圧されている庶民に対する、一種のガス抜きと言われていた。ガス抜きと合わせて良く行われたのが、アドバルーンを上げると称された、新たな大きな政策を打ち出す前に、街中に噂を流すことであった。噂に対する庶民の反応を見極めてから正式に打ち出すという方法であった。今でもこれらの手法が継承されているように感じた。どこかの国のように、党内のことしか考えない政治とは大きな違いである。
 
 2012.02.28 インドネシア製の自動車そのV 中部ジャワの工業高校が中国から提供された部品を使って組み立てた『国民車』が運輸省の検査をクリアして量産に入るような浮かれたニュースが流されている。地元の州知事はこれを国のプロジェクトにすべきだとはしゃいでいる。一号車の試走は鳴り物入りで、地元の学童たちが国旗を振っている中をバレードしていた。部品加工の下積みを飛ばして、コスト計算を無視したような産業が果たして国家プロジェクトと言えるのか。日本の自動車企業が90%を支配しているインドネシアの自動車産業を、蟻の穴で崩壊しようと画策しているかもしれない中国の甘言に乗せられているしか思えない。気が付いたら経済的に中国の支配下になってしまった、ということのないように願っている。
 
 2012.02.17 超オープン(?)な法廷 インドネシアの裁判の様子はよくテレビで中継される。なぜか広々ととした法廷で、裁判官、検事、弁護士、証人、そして被告人は皆マイクを通じて発言している。時々暑くて開放された窓の外から見学しているような人も見かけられる。閉廷されると、被告人もにこやかに裁判官や検事たちと握手をしている。外では時として被害者の親族が被告が出て来るのを待ち構えており、暴力で恨みを晴らそうとする騒ぎを警察官が静めている。今話題になっている、先のアセアンスポーツ大会の競技者用ホテル建設を巡る汚職の容疑者は、弁護士席から正面に座っている証人に対して、まるで検事のような口調で質問を浴びせていた。それに対して傍聴席から歓声が湧いていた。開廷前の厳めしい裁判官の顔と、裁判中のスケッチしか公開しない日本と較べると、まさに、ところ変われば品変わる、というものだ。
 
 2012.02.14 世界で一番幸せな国民 フランスの調査会社が行ったアンケートによると、とても幸せと答えた割合がインドネシアの51%で世界一らしい。日本は16%とのこと。駐在時代にたくさんの研修生を日本に送った。インドネシアに戻って来た彼らに日本の感想を聞くと、答えはだいたい揃っていた。『日本は清潔で、親切で、技術が進んでいて、豊かで素晴らしい』しかし、その後は必ず『でも私はインドネシアの方が良いし、インドネシア人で良かった』と語る。調査結果によると、親族関係が幸福の一番大きな構成要素らしい。なるほど・・・・なんか判るような気がする。Gotong Royong 相互扶助が生きているんだ。
 
 2012.02.12 豊かな首都と貧しい田舎のニュース 毎日のニュースを漫然と観ているが、先進国の首都と変わらない豊かな生活を送っている人達のニュースと、その日の生活にも困窮している地方の田舎の貧しい人達のニュースが、日々の当たり前のことのように伝えられている。今のインドネシアは特に報道管制はしていないから、貧しい人達も何らかの手段で都会の豊かな人達の生きざまを見ているに違いない。しかし、このような格差はオランダ植民地時代から数百年にわたり続いて来た現象であるから、今さら問題視することも無いかの如くニュースは編集されている。 悲惨な地方の状況を伝える画面では必ずもの悲しいBGMが流されるが、これには所詮他人事という、何か無責任な姿勢さえ感じられる。中間層が豊かになったとは言ってもまだまだ一部の特権階級であると思われる富裕層、そして国民の1/3がいまだに貧困ライン以下の生活強いられているとされる一般民衆。どちらが本当のインドネシアなのか、時々判らなくなってしまう。そして国是である『多様性の中の統一』そして、建国五原則であるパンチャシラの五番目『全インドネシア国民に対する社会的公正』を謳った独立時代の先駆者の先見性と、その達成の難しさを痛感する。しかし、インドネシアに限らず、アジア、アフリカ、南米で植民地政策を展開し、いまだに解決出来ない同じような社会問題を残したヨーロッパの人達は、この現実どのように感じているのだろうか。その罪滅ぼしとして人権擁護とか環境保護を声高に叫んでいるのだろうか。残念ながら、権力を持っているヨーロッパ人達からそのような意志があるとは感じられない。
 
 2012.02.11 頻発するバスの事故 インドネシアでは都市間を結ぶ急行バスのことをBis Cepat、まさに速いバスと表現する。表現だけでなく、乗客もその意味を誤解しているらしく、とにかく猛スピードで疾走するのが急行バスだと言わんばかりに、他のバスに追い抜かれると運転手にブーイングを浴びせると言うのだからたまったものではない。そのせいか、昔から急行バスのスピード違反による大参事は後を絶たない。社内旅行の時も従業員が運転手を煽るので、職制を利用して諫めたがあまり効き目はなかった。毎日のようにテレビニュースで報道される事故の悲惨な状況を見ているはずなのに、自分達には関係ないと思っているのだろうか。そういえば、工場での危険予知活動も、定着させるのに苦労した。
 
 2012.02.01 州議会にカラオケ装置 ジャカルタの西隣にあるバンテン州の州議会第一委員会室に豪華なカラオケ装置があるとメディアに報道されて、これは訪問客がリラックス出来るように置いてあるとの苦しい言訳をしている。誰が聞いてても言い訳でしかない。スハルト強権時代を良しとする訳ではないが、あの時代には信じられないことである。怖いおやじがいなくなって、皆でやりたい放題と言われても弁解出来ない。一番怖いのは強権政治の方が良かったと思われることである。麻薬と酒を飲んで車を高速で走らせ、子供たちの集団に突っ込んで9人を殺害した女性の罰則は、今の法律では6年間の懲役でしかなく、見せしめのために法律を強化してもっと厳しい刑にすべきとの世論がある。本当に見せしめが必要なのは、遣りたい放題の政府高官たちの汚職ではないだろうか。
 
 2012.01.28 ブカシ工業団地での賃上げ要求デモ-2 派手に騒いだデモはどうらや収束に向かったらしい。経済団体が折れて州が決めた当初の値上げ幅に近い形で妥結した。経済団体は『こんなに上げたら中小企業はやって行けない』との理由で拒否したらしいのだが、今の、特にジャカルタの経済発展を毎日見て暮している人達からすれば、なかなか受け入れられない主張だろう。今売れっ子の経済調整大臣がヘリコプターで上空から現場に降り立ち、労働組合、地方政府、そして経済団体のいわゆる三者協議会の仲介に成功した。昔のスハルト政権であれば間違いなく力で抑えつけたことを平和裏に処理し、現ユドヨノ政権がいかに民主主義を重視しているかを実証して見せた。次期大統領はこの人だろうか。
 
 2012.01.27 早朝4時からのニュース番組 現地での視聴率最も高いと言われるSCTVは、朝、昼、夕、夜の一日四回ニュース番組を放送している。朝のは5時頃からだったと思ったが、これからは4時にスタートするらしい。一日の最初のイスラムの礼拝が4時頃だから、その後に砂糖をたくさん入れたコーヒーでも飲みながらの視聴者向けなのだろが、それにしても早い。だって、時差のあるバリ島では3時、イリアンジャヤでは2時からの放送ではないか!!恐れ入れました。しかし、インドネシアの人達は夜も結構遅くまで起きていると思ったが・・・・・汗。
 
 2012.01.24 傍若無人の石炭採掘業者 東カリマンタン州の州都であるサマリンダ市郊外で行われている石炭の露天掘りの影響で、自然環境と周辺の生活環境が著しく破壊されていると、国営テレビが悲しそうなBGMを流しながら放送していた。採掘の跡を埋めないためあちらこちらに池が出来て、子供が溺れ死んだり、洪水の原因にもなっているらしい。今に始まったことではなく、衆知の事実と思われるのに現政権も見ないふりをしているのだろうか。なんだかんだ言いながら、スハルト時代の開発による経済発展を優先しているのだろうか。それにしても、悲しそうなBGMの意図は何だろうか。しかし、国営テレビTVRIの番組作りは30年前と何も変わらない。素朴な雰囲気には感動した。
 
 2012.01.21 ブカシ工業団地での賃上げ要求デモ 地域の経済団体が賃上げを先送りすると決めたことに対して、それを撤回することを要求して大規模なデモが行われ、高速道路も閉鎖される事態に陥った。要求通りに上げて行くとコスト競争力は低下し、仕事が少なくなり失業率が高くなる。結果として労働者にしわ寄せが行くことになる。しかし、今のままでは経済格差は益々開くことも懸念される。まさに5%の資本家社会と95%の労働者社会の対立で、スハルト政権時代はそれを警察力と軍事力で抑えて来た。しかし、民主化を推し進める現在のユドヨノ政権はそれが出来ない。左を行こうとする馬と、右へ行こうとする馬に曳かれた馬車を想像してしまう。馬車が二つに裂かれてしまう事がないよう、政治家達の賢明な努力を願っている。
 
 2012.01.18 一部30,000円の国会議員用カレンダー 国会の事務局が一部30,000円もする国会議員用のカレンダーを500部制作し、税金の無駄遣いだとして批判を浴びている。カレンダーだけでなく、国会のトイレの消臭装置の設置にも一千万円以上を使うなど、地方の財政難を無視したような中央政府の税金の使い方に国民は呆れている。強面のスハルト政権が無くなった昨今、怖いもの無しのやりたい放題といった感じである。ユドヨノ政権はどのように考えているのだろうか。
 
 2012.01.17 カラワンの工業団地で産業廃棄物の奪い合い ジャカルタから40Kmくらい西にある工業団地で、ある工場から出される廃棄物の取り合いから、二つの集団による乱闘が発生した。ここには日本企業もいくつか入居しているが、外国人に被害があったとの報道はなかった。昔は工場から出される廃棄物の回収は、スラバヤの北側にあるマドゥーラ島からの出稼ぎ者達、俗にマドゥーラマフィアと言われる男達に支配されていたが、おそらく今でもそうなのだろう。私が駐在していた工場には、当初からの顔なじみの業者がポンコツトラックで回収に来ていた。50歳くらいの親分は身長150cmの小柄な体であったが、常に血走った赤く鋭い目付きは良く憶えている。今の妻は8人目だと得意になって話してくれたので、その理由を聞いたところ、今まで7回結婚しても子供が出来ないからだと笑っていた。若い頃は喧嘩をして3人も人を殺してしまったともさらりと言っていた。本当かどうか、会社の現地スタッフに聞いたところ、半分は本当だろうと言われて驚いた。薬草から作った飲み物を、たくさんのボトルに詰めて背負って売り歩いている、民族衣装姿の女性達もマドゥーラ島出身である。いつも一人で大丈夫かと思ったが、もし彼女達に悪さをすると、マドゥーラマフィアの男達に殺されるぞと脅かされた。話がそれてしまったが、社会の底辺はジャカルタの表通りのようには変わらないようだ。
 
 2012.01.16 通勤電車の屋根乗車防止策 ジャカルタの通勤電車は昔から屋根の上に違法乗客が鈴なりになっているので有名だ。走行中に転落したり、建造物に衝突して命を落とす人も少なくない。これに対して当局は電車の屋根に乗っている人にぶつかるセメントの玉で出来た、玉暖簾のお化けみたいなものを設置するそうである。どうしてこのような、臭い物に蓋をするような発想しか出来ないのだろうか。まるで野生動物が敷地内に侵入しないように、高圧線を張りめぐらすようなものではないか。交通手段の欠如が真因なのだから、いっそのこと屋根に安全柵を設置して落ちたり衝突しないようにして、その上で格安の運賃で乗せたら良いように思うのだが。
 
 2012.01.14 インドネシア製の自動車そのU 政府は学生の実習レベルに留めるような発言をしている。さすがに実態を理解しているようだ。しかし、メディアは自動車に限らず、スマホや衛星まで作れるようにすべきだ、と国威を煽っている。組立だけの生産と部品からの製造の桁違いの産業の厚さを無視して、お祭り騒ぎしをているように見える。この国の人達の良い面でもあり悪い面でもある。しかし、何故か腹が立ち、悔しい。
 
 2012.01.12 NIKEの委託工場が100万ドルの時間外手当支払 ジャカルタの西隣であるセラン県にあるNIKEの現地製造委託法人が、過去二年間の時間外手当として4,500人の従業員に対して総額100万ドルの追加払いに合意した。一人当りにするとだいたい二ヵ月分の給与になる。真相は良く判らないが、他の多くの労働組合はこれを大きな勝利とし、あわよくば自分達もと、根拠の無い騒ぎに発展させないことを祈る。
 
 2012.01.10 公共交通の運転手に制服着用を義務付け ジャカルタにおける無許可の公共交通とそれらによる犯罪に業を煮やした当局が、許可を持っている正式な運転手には制服を着用するように義務付けた。工場駐在当時も、従業員が主体で何かイベントを行う時は、まずは必ず制服を作っていた。見かけだけ整えても仕方ないだろうと思ったりしたものだが、もしかしたらインドネシアの人達は、制服に対する信用と言うか、良い意味での権威を素直に抱いているのかもしれないと思った。だとしたら、日本企業は積極的に、立派な制服を支給することで、愛社精神や協働意識を高められるのではないかとも思った。そう言えば昔、日本の本社が制服を廃止することになって、インドネシアではどうしようかと相談した際に、現地の人達は強硬に廃止反対だった。
 
 2012.01.08 インドネシア製の自動車 中部ジャワの高校が90万円の自動車を作り、それを地元の知事が公用車として採用するとのニュースが毎日報道されている。また、中国製の部品を使った50万円の軽自動車も試作されたとのニュースもある。いずれも実用に耐えるかどうかの試験中であるが、自分達も自動車を作れる技術を持っているのだ、と興奮している関係者のインタビューが紹介されている。30年前に現地のトヨタ自動車がKIJANG(鹿)というブランドで、当時の現地組立日本車の半額の商用車を売り出した。コストダウンのため、ボディーは分厚い鉄板を叩いて作ったような感じで、『装甲車』とも呼ばれていた。内装やアクセサリーも装甲車みたいであったが、それでも100万円くらいしたと記憶している。現在のKIJANGは日本で売られているSUVと変わらない品質であるが、今でも日本車は現地製であっても日本で買う価格の二倍はしている。日本で売られている自動車が割安なのは、量産効果と、下請企業の血の出るようなコストダウン努力の成果だと聞いている。そんなことから、決して水を差す訳ではないが、突然のように50万円とか90万円の自動車が作れると言われても、原価計算はどうなっているの?と疑いたくなる。それとも販売台数が急増しているのに、なかなか価格が下がらない日本車(インドネシアで売られている自動車の90%は日本車)に対する政治的な圧力なのか?とも推測したくなる。そういえば、インドネシアの自動車販売台数はもうすぐ年間100万台に達するらしい。
 
 2011.12.29 2011年のニュースを通して 今年のニュースも汚職、デモ、部族衝突、火事、交通事故で埋まった感じだ。汚職のニュースを観ていると、やらなくては損であり、そして、バレタ奴は間抜けであるかのような印象を受ける。現在も審理中のいくつかの事件では、主犯者らしき人は、政界の大物の関わりを示唆しているが、本当にそこまで司法のメスが入るかどうかは難しいだろう。もし入った場合は画期的で歴史的なことになる。毎日のニュースを観ていると、本当に暗い事件が多かった。国民一人当たりの所得がUS$3,000に達し、国内消費市場が沸騰し始め、海外からの投資が急増している。国全体としての経済は間違いなく発展しているのは現地に行ってみても肌で感じる。しかし、その背後に隠れて見えない社会矛盾は、重くのしかかる灼熱の陽光のように感じられる。来年はこれら社会矛盾に風穴を開けるなニュースがあることを祈っている。
 
 2011.12.15 投資件数の急増に伴う落とし穴 今年に入ってから新規投資が急増している。件数ベースで前年の三倍を超えそうであるから、政変と金融危機の直後には『忘れられた投資対象国』とまで言われたインドネシアも、案外短期間で蘇って来たのだろう。しかし、皮肉なことに、政府の許認可手続がこのスピードに追い付けず、会社操業開始までの時間がかなり遅れ始めている様子だ。特に今年から始められた税関総局のオンラインによる『税関認識番号』の登録と更新が激しく遅れており、その関係で他の許認可が引き摺られているようだ。コンピューターシステムの故障が原因らしいが、勢いに冷や水を浴びせるようなタイミングで、もっとしっかりして欲しいものだ。9月には投資調整庁の長官が、工場を持たない販売活動だけの外国投資にはインセンティブを与えない云々の発言をした。真意はインドネシアてせ爆発的に売れているBlackberry端末の製造工場を、インドネシアではなく、マレーシアに計画していることに対する牽制らしい。牽制も必要だが、その前に照顧脚下をお願いしたい。
 
 2011.09.22 地方の学校の先生が泣いている 地方の小学校の先生が『子供達が可哀そうだ』と言って泣いているニュースがよく流される。ニュースのタイトルは『野生動物の檻』となっているから酷いものである。確かにボロボロの掘立小屋のような校舎で、暑さと埃の中で子供達が勉強している。一方、都会では新しい高層ビルが輝き、内需が活発になり、二次産業だけでなく、三次産業への外資が大挙して入って来ているらしい。元々貧富の格差解消が国の最重要課題であったはずだが、実際は益々広がっているのではないかと心配している。毎日のように繰り返される、理由のはっきりしない集団間の闘争は、拡大する格差に対する無言の抗議ではないだろうか。日本からも大小の投資が、様々な分野に殺到している。日本にとって数少ない共生が可能と思われる、インドネシアの普通の人達のためにも、日本からの資本とハード・ソフト両面の技術が活かされることを心から願っている。
 
 2011.07.28 国営航空会社ガルーダのパイロットがストライキ 外人パイロットの月給US$10,000に比べて自分達の月給は半分のUS$5,000であるのは不公平だとしてストライキを計画している。全く同じ能力と責任を要求されるのに、報酬が半分というのは自分がその立場でも確かに納得できないだろう。でもこれはパイロットに限ったことではないように危惧される。日系企業においても、インドネシア人のマネジメントクラスの人が力を付けて来て、日本人スタッフと同じか、それ以上の能力と責任を要求されているケースが多くなっているのではないだろうか。今回の騒ぎに刺激を受けて『自分達の待遇もおかしいのではないか』との思いが広がった時の対処と覚悟を、今から真剣に考えておく必要があると感じた。
 
 2011.07.09 ジャカルタで頻発する集団闘争 毎日のように集団闘争のニュースが伝えられる。特に若者が中心で、彼ら自身も原因は良く判っていないと言う。趣味だと評する人もいる。急速に近代化する首都ジャカルタ。高層ビルと巨大なショッピングモール。経済発展の陰でそれに取り残されたと感じている多くの若者達の心が病んでいるのだろうか。インドネシア独立の偉人達が確立した国家建国5原則パンチャシラ(以下に記載)の精神が問われている。
1.唯一神への信仰
2.公正で文化的な人道主義
3.インドネシアの統一
4.合議制と代議制における英知に導かれた民主主義
5.全インドネシア国民に対する社会的公正
 
 2011.07.06 10年間で投資環境が大分改善されているのに驚いた 昔お世話になったインドネシアへのお返しと、帰国後にお世話になっている地元への貢献と考え、中小企業のインドネシア進出をサポートしようと決心した。駐在当時の経験を思い出しながら、最新の情報を集めて整理しているうちに、この10年間で投資環境が大きく変わり、一言で表現すると『あれはだめ、これはだめ』から『お好きにどうぞ』になっていることに驚いた。インドネシア自国内の状況の変化だけではなく、周囲のアセアン諸国やインド、そして中国などとの競争が益々厳しいものになって来ているのだろうが、スハルト大統領から現在のユドヨノ大統領に至る間に国の方針が開放的になったのだなあと感じた。但し、ネットニュースで毎日のように流されるように、汚職事件も開放的になっているようで、いやはや大変な国だなあと、改めて感じさせられた。
 
 2009.07.01 お祭りのようで楽しそうな大統領選挙 インターネットニュースからは毎日のように大統領選挙の様子が伝えられている。とても楽しそうな雰囲気が感じられるのはなぜだろうかと考えてしまった。そういえば先のアメリカ大統領選挙のニュースを見ても同じような印象を受けた。選挙とは言え国民を楽しくさせる、これが本当の国のリーダーなのかなと思った。スハルト時代にはこのような楽しそうな雰囲気を感じさせるものはなかった。今でも色々と問題はあると思うが、テレビに映る人々の表情から選挙結果に対して将来への希望を託していると感じられる。翻って、我が国の選挙に関する雰囲気はなんと暗いことか。お互いに言葉尻をとらえ、スキャンダルのネタを探しまわり、正にいじめ社会の象徴みたいなものではないか。Ah!! Sakit Hati.
 
 2008.06.03 10年前と同じ原因で同じ騒ぎが・・・忘れもしない1998年5月14日、私はジャカルタへ出張するためにデンパサール経由の日本航空に乗っていた。デンパサール空港に立ち寄っている間にロビーのテレビに映し出されるジャカルタの騒動を見た時の驚きを今でも憶えている。ジャカルタまで飛んだものの空港からは出られず、出迎えに来ているはずの駐在員からは直ぐに帰国するように頼まれて、結局ジャカルタからの搭乗者が一人もいないがらがらの同じ飛行機でとんぼ返りの帰国となった。その後のインドネシアという国の姿はニュースで多く伝えられているのでここではあえて述べない。しかし気になるのは石油燃料の値上げ反対が原因の学生デモが引き金となって都市部が戒厳令状態に陥り、最後にはスハルト体制が崩壊した当時の状況と良く似ていることである。まさか現在のユドヨノ政権がスナイパーのような武力を使い事態を解決しようとすることはないと思うが、また同じような不幸な事態に突き進むことがないことを祈っている。しかし、学生たちの本当の怒りは石油燃料の値上げではなく、益々ひどくなっているとも言われる汚職による一部特権階級と庶民の格差拡大にあるのではないかと推測するのは私だけではないと思う。格差拡大は日本も同じであるが・・・。
 
 2007.12.24 インドネシアから看護師1000名を迎えることを日本政府が決定した。このニュースを見て直ぐに想い出したことは、ジャカルタに赴任した一年後に原因不明の高熱病で、国営石油会社プルタミナが所有する現地では最高レベルの病院に運び込まれたときのことである。会社のスタッフが保証金を現金で支払うまでの2時間くらい、冷たい玄関の床に寝かされていたのをかすかに憶えている。手続が済んだ後は陽気な雰囲気での診察があり、VIP待遇の個室に入院させられた。一週間くらいの入院であったが、若くて陽気な看護婦さんたちが入れ替わり立ち代りやって来て、わいわい楽しそうに話していた。こっちは熱があり咳も出て苦しかったので、残念ながらブロックM(歓楽街)のカラオケバーのようにはならなかった。日本であのような楽しい入院棟が実現するとは思えないが、今の世の中の矛盾がまた一つ噴出したなと複雑な思いでいる。身近にも様々な理由から仕事が無くて苦しんでいる若者がいるのに、ある分野では仕事があっても人手が無くて海外から労働者を受け入れる。領地や国境といった人間社会の垣根が低くなるとこのようなミスマッチが起こるのは致し方のない自然現象なのか、それとも社会のリーダーがしっかりしていれば調整できることなのか、考え出すとまた原因不明の高熱が出そうだ。
 
 2007.09.19 スハルト元大統領の汚職金額は世界一であると世銀が公表した。その金額は現在のレートで換算すると3兆円にもなると言われている。本来は国民のための莫大なお金が消えてしまった訳であるが、インドネシア国内からはこの件に対して厳しく追求する声はあまり聞こえてこない。逆にスハルト時代を懐かしむ声が平然と出されこともある。露骨に悪行を重ねたといわれる三男のトミーも早々と釈放されたようだ。その昔、工場の金を横領して解雇された元社員が一年もしないうちに現れて、他のと社員と親しげに近況を語っている姿が理解できず幹部社員に尋ねてところ、レバランでアラーの神に懺悔することで過去一年の罪が全て許されるのだと言われたのを思い出した。
 
 2007.08.21 安部首相の宿泊したホテルの名前を聞いて、もしかしてと思いホームページで確認したところ、予想通り当時のプレジデントホテルであった。さすがに首相が宿泊するだけあって綺麗なロビーや室内の写真を見て(以前のホテル関係者には失礼ですが)驚いてしまった。赴任した1981年当時は数少ない外資系ホテルの一つで、その後は多くの外資系ホテル進出の中であまり注目を浴びない時代もあったが、今はまた脚光を浴びているのかなどと想像している。インターネットを通じて毎日のように現地のニュースを見たり聞いたりしているのだが、そういえば最後にジャカルタを訪れてから6年が経過している。いつかはノスタルジアツアーに行きたいと改めて感じた。
 
 2006.06.14 中部ジャワの火山灰で多くの住民が気管と目の障害を訴えている。1982年の4月頃だと記憶しているが、バンドンの火山が噴火し、数時間後にはその火山灰がジャカルタの上空へ飛来した。工場の敷地で何気なく東の空を見ていた時に、まるで蝗の大群が押し寄せて来たと思われるような黒い塊が近づいて来た。それから雨期に入る約半年間は地上から太陽が見えることはなく、家の外も中も、掃けども掃けども灰が積もり、自分も含めて沢山の人達が喉と目の障害を訴えていた。地震だけでなく火山灰にも苦しまされる地元の人達のため、僅かではあるが救援金を送ることにした。
 
 2006.04.09 労働者保護か投資促進かでユドヨノ大統領の大岡裁きが注目を浴びている。従来は期限を2年と定めていた期間雇用法を4年に延長する法案に対し、全国で大規模な反対デモが繰り返しされている。フランスでも同様な法案が出され大問題になっているように、投資促進による雇用機会の拡大と言うマクロ経済的な目的を優先するのか、それとも労働者個人の生活を保護すべきと言うミクロ経済的な目的を優先すべきか、難しい問題だと思う。政府、経済界、労働組合の三者代表と直接会話を持ち、この法案の再検討を指示した大統領の真意は果たしてどこにあるのだろうか。
 
 2006.03.08 外国人による小島の買収バリ島のもっと東の方に位置する広さ15ヘクタールの無人島を、地元の人間からイギリス人が買収したことで問題になっている。自分の知る限りでは、外国人は事業目的での期限付き借地権しか取得できないはずであるが、このイギリス人は観光事業の許可と借地権の他に、地元の政府から土地買収の認可も得ているのが確認されている。領海問題に繋がる問題なので国軍があわてて警備に出動しているが、なんとも不思議な国である。昔、ジャカルタ湾沖の珊瑚礁に囲まれた小さな無人島に無断で上陸し、釣った魚を砂浜で蒸し焼きにして食べたことがあった。直径数百メートルの椰子の木しか生えていない島の砂浜に寝転んで、天国とはこういうところを言うのかなと感慨に浸ったことがあったが、今回の問題もその次元であって欲しいと願うのは平和ぼけした証拠かもしれない。
 
 2006.02.24 賃金改定が原因で東ジャワの大手企業工場でストライキが発生し、操業停止状態になっている。毎年の賃金改定で労働組合と交渉するのが嫌だった。当時でも日本人駐在員と現地労働者との年収は二桁に近い格差があり、(日本人から見て)その少ない賃金を抑えるための交渉の後は言い知れぬ罪悪感に囚われたものだった。失業率が非常に高い現地社会に雇用機会を提供していることも事実であるが、なぜだか暗い気持ちになった。
 
 2006.02.21 米の輸入が問題になっている。農民が反対するのは当然であるが、野党からの反対意見に対して、その野党の党首(Bpk.WahidおよびIbu.Megawati)が大統領の時代には桁違いに大量の米を輸入したではないかと与党政府が反論している。米が自足出来ないのであれば仕方がないと思うが、25年前に現地の幹部社員が『我々インドネシア人は日本人に比べれば金持ちではないが、米は自給自足が出来ており、石油などの天然資源にも恵まれている』と誇らしげに語っていたのを想い出す。あの時代から人口も増加し、都市化や工業化が進んでいることは確かであるが、聡明な国家指導者が舵取りを間違えないことを祈りたい。
 
 2006.02.16 公共施設内禁煙の法律が首都ジャカルタで2月4日から施行された。禁止されていない屋外で取り締まる正義の味方の登場や、運転手の喫煙を非難して強制的にバスから降ろされた乗客など混乱が発生しているようだ。しかし、煙草天国(?)のインドネシアでこの法律を施行させた政治家達に拍手を送りたい。振り返って我が日本では子供連れの親がファミレスで煙草をふかすのをいつまで放置するのだろうか。自分も若い頃は愛煙家で子供達に嫌われていたので偉そうなことは言えないが・・・ 
 
 2006.02.14 鳥インフルエンザの人への感染が大きな問題となっている。特にジャカルタのような大都市においては、街のちょっと裏に入ると鶏が放し飼いになっているため、外国人も含め自分では鳥を飼っていない会社勤めのような人にも感染する危険があると言われている。昔、東部ジャワの都市マランに出張した際に、現地のスタッフと一緒に止まったホテルは、日本で言うところの民宿のような感じであったが、部屋の裏庭の鶏の鳴き声でさわやかな朝を迎えたことを今でもはっきりと憶えている。インドネシアの人達に庭で鶏を飼うのを止めよと言うのは、最近の日本人にペットを飼うのを止めよと言うのと同じくらい難しいのかもしれない。
 
 
 
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