スノボ派 .vs.スキー派


ミスター;
おや、奥のカウンター席で常連さん達に囲まれて話し込んでいる真っ黒に日焼けした男性はプロスキーヤーの海和俊宏さんですよ。

みなみさん;
あら、ミスターもお詳しいじゃないですか。

ミスター;
いや、私の世代なら海和さんのお顔は誰でも知ってますよ。何しろ日本人で初めてスキーのワールドカップで第一シードになった方ですからね。


聞き役男;
海和さんスキーヤーですけど。本来は。

海和;
はい。

聞き役男;
ボード初めてどの位になりますか?

海和;
2、3シーズンですね。

聞き役男;
3年くらい前にお会いした時に、これからのプロスキーヤーって言うか、スキーやっている人はボードやらなくっちゃダメだ、という風に若い奴に言ってるんだけどなかなかやらない、みたいなことを。

海和;
最初はね、やらなかったですね。若いスキーヤーは。やっぱりね、僕は、あのー、4、5何年か前からスキー場に座ってる子供達が現れ始めたのにすごく不思議だったです。

聞き役男;
わかる。わかる。

海和;
それで、リフト下りた後でもリフト下り場でもみんな座り込んでいるんです。邪魔だなこいつら、って思ってたの。最初は。いつかこう注意してやろうと思っていたんですよ。ずーっと。それで、なんか自分がスキーヤーであんまり出しゃばったこと言えないと思って、まー、それは自分でちょっとやってみないと言えないなと思って、それをやったんですよ。
そしたら、はまっちゃったですね。

一同;
笑い(^o^)

聞き役男;
座る気分が解っちゃった?

海和;
解っちゃった。何だこれじゃーやっぱり動けないや。仕方ない。それで自分でやり始めたら、ルールが少し見えてきて、そしたらだんだんだんだん、こう面白いんですよ。スキーではものすごく時間かけて覚えるようなのがボンボンボンボン覚えられるんですよ。

聞き役男;
それは、もう海和さんスキーやってうまくなりすぎているから?

海和;
いや、多分そう云うんじゃないんですよね。スキーではどうしてもこう時間をかけて技術を覚えていくところが、ボードだとまあ幅とかボードの持っている性能があるんでしょうけど、瞬時にポッと出て来るんですよね。あれ、これスキーだったら何十年もかかるのになっ、ていうのがパッて出来るんですよ。その喜びがまた、面白いんですよ。

聞き役男;
そんな出来るものですか?

海和;
出来ましたね。スキーで言えばカービングターンは、かなりの技術をトレーニングしてこないと出来ないわけです。それが履いたときにもうその日にパッと出来ちゃったんですよ。まあ、こけながらですよ。それが何かすごく新鮮だったですね。

聞き役男;
噂ではしばらく山の上を滑っている姿を誰にも見られないようにしていたなんて言う話しも。

海和;
リフトのおじさんに一番最初に見つかっちゃって。「何やってんの? 海和さん」って。普段、絶対ゴーグルなんかかけないわけです。僕は、眼鏡だから。目が悪いからね。夜ゴーグルして、帽子を被って、ウェアも少し長めのを着て、それでそうっと出かけてやってたんですよ。そしたら、リフトのおじさんに、チケット見せなきゃいけないでしょう。自分のスキー場だから。名前書いてあるから。「あれー何しに来たの?」なんて言われて。もう隠れようがないですよね。ボードとか言って「何履いてんのー?」なんて云われて、それで、やっていたら結構面白くて。

自分のスクールの若い連中人ね、とにかくこれからはお客さんはね、どっちを要求してくるかわかんないと、スキー場に来たらね。若いボーダーの人がやり始めていたからね、スクールも対応しなくちゃいけないからとにかく、やんなさいって僕云ったんだ。誰もやらなかった。初めてのシーズン。2シーズン目からとにかく無理矢理やらせたら、みんなはまってった。ある一人なんかは、完全にプロボーダーになっちゃった。(僕の所を)出て行っちゃったんですよ。それだけやっぱり魅力って言うかね、やっぱり雪の上での一番の遊びががスキーだったわけでしょう?そこに新しい遊び感覚のがパンと出てきて、だから若い奴にはホントに受けるかなって。

聞き役男;
ウェアも替えているんですか?

海和;
替えますね。自分のスキー場では赤い(ウェアの)ときはスキーで通しているから。

聞き役男;
今でも?

海和;
赤いときはやっぱりね、本職やってないとまずいですよ。

聞き役男;
なるほど。

海和;
海和だと。周りの目もあるから。夜になって雪がバーッって降り始めるとゴーグルをかけて帽子かぶって。

聞き役男;
アリババの世界ですね。

海和;
そうするとうちのスタッフも出て来ますよ。

聞き役男;
そうすると、夜になると謎のボーダー集団が出てくるわけ?

海和;
そうなんですよ。


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