宝探しのロマン


ミスター;
おや、壁際の丸テーブル席では、三井物産にお勤めの つかわきまさゆきさん が、お友達と一番新しい宝石、タンザナイトのお話をしておられますね。こちらのお話も盗み聞きしてみましょうか。


つかわき;
今、流行ってきたというのはやっぱりタンザナイトだと思うんですよね。色がね、だいたい今までに無い色なんですよ。

聞き役女;
名前がね、素晴らしい響き。

つかわき;
そう、そう、そう。元々はタンザニアで採れたんだけど、キリマンジャロの本当に麓で採れましてね。そのあたりといえば、元々、マサイしか住んでいないような所で。

聞き役女;
マサイ族。

つかわき;
うん。マサイ族が槍持って走っている様な草原なんですよね。これ見つかったのは1960年代の後半なんだけど。

聞き役男;
結構、新しいんだね。

つかわき;
そうそう、新しい。

新しいからね、ストーリーが無いかって言うと、凄いストーリーがあってね

聞き役女;
聞きたーい。聞きたい。聞きたい

つかわき;
あのね。元々見つけたのはアメリカ人なんだけど、ミスター・スターンって言う男がいましてね。彼はアメリカで木材屋をやってすごい成功してたんだけど、どうしてもアフリカに行きたいという、小さい頃からターザンに憧れてて、そういう夢があったんですよね。

聞き役男;
へー。

つかわき;
だから、40歳の時にね家族も会社も全部捨てて。

聞き役男;
えー?

つかわき;
単身でタンザニアに行ったんだよね。

聞き役男;
家族も捨てたの?

つかわき;
うん。そのために離婚して。

聞き役女;
えー、離婚したの?

聞き役男;
やるねー。

つかわき;
うん、すごいよ。それだけでもすごいんだけど、そっちに行って何をやったかと言うと、ワイルド・ライフって言うのかな? 野生の動物の保護をしたいということで。だけど、彼は現地に溶け込んでずっと生きてたんで、マサイなんかも友達になって。ある日、マサイ達の方からね、こういう青い石が出るんだという事で言われたらしいんだよね。

聞き役男;
ああー。

聞き役女;
すごい信頼関係があったんですね。

つかわき;
それで、その石が何かっていうのを色々調査したら、今までに発見された事が無かった青いドイサイト、鉱学的にはドイサイトって言うんだけど、それがね、青く結晶化したやつをタンザナイトと言うんです。

聞き役男;
それは彼が、スターン氏が付けたの?

つかわき;
彼は、だから、何処で出るのかをチェックしてちゃんと生産出来るような形まで持ってったんだけど、実際、タンザナイトと名付けたのはティファニーなの。アメリカのティファニーが、この石は素晴らしい石だという事で1970年代の前半にタンザナイトと名付けて一斉に売り出したんです。

聞き役女;
聞き役男;
へー!

つかわき;
一時はすごい人気になってダイヤモンドより高かったんじゃないかな

聞き役男;
アメリカで。

つかわき;
アメリカで。非常に限られた生産量しか無いから、今でもそうなんだけど、皆が皆持てる様な石じゃないんです。

聞き役女;
プレミアがどんどん付くって事?

つかわき;
そうそう。だけど、あの、1970年代の中盤くらいに革命が起こったんです。タンザニアで。

聞き役男;
あ、ああー。

つかわき;
全ての企業活動は共産化されたっていうかね。国営化されていったわけなんです。実はスターンも持っていた会社を全部国営化されて、最後はもう白人だという事で追われる様にね。逃げたわけです。

聞き役女;
追放?

つかわき;
追放って言うかね、自分の持ってた飛行機に持てるだけの原石とかを積んで南アフリカまで逃げたんです。いつかアフリカに帰りたいと思いながらアメリカ帰って今度はその財宝を売って不動産屋をやってそれでまた一儲けして、今、ハワイにハワイ島かな? 凄い豪邸を建てて住んでるんだけど。

聞き役男;
へーーー。

聞き役女;
夢物語だね。

聞き役男;
凄いね。

つかわき;
その後、彼はまた結婚して、離婚して、また結婚したのかな。だからもう、

彼の人生は富豪になっては結婚して慰謝料払って、それの繰り返し

聞き役女;
ははははは。

つかわき;
その彼が、タンザニアに90年代の最初にもう一回戻ったんだよね。

聞き役男;
むこうももう…。

つかわき;
未だ政権自体はそんなに変わってないんだけど、ロシアが、ソ連が崩壊してあの、ベルリンの壁が無くなったりしたんで、アフリカにだってその波が行っているわけでね。経済力を向上させる為には民間の力を借りないと、という事でもう一回生産活動に入っているんだよね。

聞き役男;
はー。それで日本にも入ってきたんですよね。

つかわき;
まあ、4つくらいコーポがあるうちの1つか2つ彼が押さえて、押さえてというか、彼が現地の人にやらせているんだけど、それで出て来る様になったんですよ。

聞き役女;
会った事あるんですか?

つかわき;
うん

聞き役女;
会った事あるんだ! どんな人ですか?

つかわき;
ミスター・スターンはもう68歳かな。日本でいうと良いお爺ちゃんなんだけど、1メートル90センチ位のガシッとした人ですね。すごい、何て言うかな、

ロマンの塊という感じ



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