サルサが現在熱い!


ミスター;
おや、丁度カウンターのすぐ向こうの席でサルサバンド、オルケスタ・デル・ココの主催、阿部学さんが常連さんとサルサのお話をしておられますよ。阿部さんはラテン音楽のライターもしておられる方ですから、サルサの何たるかをうかがうには丁度良い方に出くわした様ですね。では、例によってちょっとお話に耳を傾けてみる事にしますか。


聞き役男;
(サルサは)元々、スペイン語で「ソース」っていう意味なんですって?

阿部;
そうなんですよ。スペイン語では料理の用語ですね。

聞き役男;
なんでソースなんですか?

阿部;
それがなんか諸説紛々で、何故そういう名前になったのか良く分からないんですね。向こうのミュージシャンの人に聞いても色々説があって、この音楽生まれたのがニューヨークなんですね。サルサというものが生まれたのは。

聞き役男;
ニューヨーク生まれなんだ?

阿部;
そうなんです。

聞き役男;
キューバ、プエルトリコじゃなくって?

阿部;
そうなんです。元々の土台になった音楽はキューバのリズムなんですけど、それがサルサという形になったのがニューヨークなんですね。

聞き役男;
キューバの音楽がニューヨークに渡って、ニューヨークの人達が何かちょっとアレンジしたという?

阿部;
その、音楽の成り立ちが凄く複雑でして、リズムが生まれたのはキューバ。それがニューヨークに渡って、ニューヨークでそれをやったのがプエルトリコからの移民の人だったんです。

聞き役男;
キューバからの移民じゃなくて、ま、キューバからの移民てそんなにいないんでしょうけど。

阿部;
キューバからもいるんですけど、ご存じの様にキューバは革命が起きてしまったんですね。

聞き役男;
ああ、はい。

阿部;
革命が起きたと同時に国交が全然無くなった。それまでは、ミュージシャンも行き来してたんですけど、キューバ革命でそれが無くなった。音楽の情報も断ち切られてしまった。

聞き役男;
うん、うん。

阿部;
そうすると今度、そこにニューヨークにプエルトリコからの移民の人が一杯いますから、そういう人達は今までキューバ音楽を手本としてやっていたんですけども、そこでちょん切られてしまって、あとは自分たちで工夫してやるしか無くなったんですね。

聞き役男;
じゃ、キューバ革命の産物というか、遠い原因になっているんですね。

阿部;
それも非常に重要なファクターとして…

聞き役男;
ああ、面白い。

阿部;
その頃、ソウルとか、ロックとかも盛り上がって来た所で、色々そういう動きと、あと、ジャズとかもニューヨークにありますから、そういうのと少しづつ結びついたりして、新しく出来たラテン音楽なんです。サルサっていうのは。

聞き役男;
という事は、キューバの人はサルサって知らないわけ? そういう事はない、逆輸入して…

阿部;
逆輸入してますね。

聞き役男;
はああ、じゃ、今、日本人もキューバ入れると思うんですけど、キューバに行ったらサルサ、結構聞けるわけですね?

阿部;
ええ、聞けます。キューバ人自体もサルサ好きな人一杯いますし。

聞き役男;
ああ。

阿部;
自分達の音楽もサルサだよ、って言ってますから。

聞き役男;
ああ。

阿部;
ただ、サルサっていうのは、元々ニューヨークで生まれたどっちつかずの音楽だったんですけど。

聞き役男;
本当に国際的な音楽なんですね。インターラテンと言うか。

阿部;
そうなんです。南米へ行くとサルサっていうのは、各国共通の音楽なんですね。

聞き役男;
あ、例えばですけど、キューバにはキューバの、コロンビアにはコロンビアの、ドミ二カにはドミニカの曲があるんだけど、サルサっていうのだけは全部、国をまたいで大体、似た様な。

阿部;
そうなんです。コロンビアにはコロンビア独自の音楽がありますけど、コロンビアサルサっていうのがあるんですね。

聞き役男;
はあああ。

阿部;
サルサっていうのは、生まれた成り立ちが60年代後半ですから。

聞き役男;
60年代後半ですか?

阿部;
ですね。60年代後半〜70年代にかけて盛り上がって来た音楽ですから、ニューヨークの移民の方達のマイノリティーの音楽だったんですね。ですからそういう、民族を団結させる様なそういう動きともすごく密接に関係していて。

聞き役男;
プエルトリカンもキューバンも皆、同じじゃないか、みたいな感じで。はあー。

阿部;
ええ。アメリカって南と北で対立していると言うか、豊かな層と貧しいという構図が出来てしまっているじゃないですか。ですから、そういう所で俺達は団結するんだっていう、ラテンアメリカの人の団結の象徴としての音楽だったという側面もあるんですよ。

聞き役男;
余り団結っぽくないですね、曲調が。皆でターっとやろうよ、みたいな。

阿部;
そんな感じがするでしょう? でも歌詞の内容とかはね、凄くシリアスだったりするんですよね。

聞き役男;
え! あの調子でシリアスな事言ってるの?

阿部;
そうなんですよ。あの脳天気な音で実は良く聞いてみたら、ラテンアメリカは団結しなくちゃいけないとかね、皆で手を結ぼうとか、そう言う曲が多いです。

聞き役男;
あらら。

阿部;
最近ちょっとやっぱり違って来ましたけどね。

聞き役男;
ちょっと変わって来ましたか?

阿部;
昔はやっぱりそういうの多いです。


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