夏だ海の旅をしようよ


ミスター;
おや、入り口寄りのテーブル席では、国際ヨットレースによく出場されているヨット乗りの浅野英武さんが常連さんとお話をされている様ですよ。こちらのお話も聞き逃せませんぞ。


聞き役男;
何年か前に新聞で浅野さんの船が、どこだっけなあ、優勝されたというのを。かなり大きく出てましたから、かなり大きなレースだったんですね。正確にレースの名前、覚えていなくて失礼してしまったんですけど。

浅野;
あのレースはね、チャイナシーレースという事でね、香港とマニラをベースにしたレースなんですけどね。一種の外洋ヨットの当時はなんとなく極東選手権みたいなね、アジア選手権みたいなイメージでレースがあった。

聞き役男;
ああ、位置づけで言うと。何艇くらい出艇して何キロ位走るもんなんですか?

浅野;
えーと、香港でね3レース位やりましてね、香港の香港島の沖でやって、それで3レース位やりまして、それから僕ら渡りのレースって言ってるんですけど、香港からマニラまで、フィリピンのマニラまで行く…

聞き役男;
凄い距離ですよね? 香港からマニラって言ったら。

浅野;
えーとね、1600キロ位ですかね、多分。

聞き役男;
何日位かけて?

浅野;
えーとね、普段、普通で走って、レース艇で走って、まあ、5日位ですかね。

聞き役男;
あ、それでも5日で行っちゃいますか? 1600キロを。

浅野;
ただ途中で、無風地帯を通りますから、この無風地帯の体験がやっぱり2日あったり、3日あったりしますから、それによって、あのー、所要時間変わっちゃいますから。

聞き役男;
無風地帯ってほとんど無いんですか? 風が。

浅野;
うん、本当にね、もう、文字通りって感じでね。

聞き役男;
べたーっと。

浅野;
うん、とにかくね、昼間はね、止まっているんですよね。

聞き役男;
動かないんですか?

浅野;
動かない。風がもう全く無いし、海面がとにかくね、鏡なんですよね。要するに熱帯魚が泳いでいるのが見えるわけですよ。僕なんかはね、本当に2日間苦しかったんですけどね、動きませんから。もうね、熱帯魚っていうんですかね、それが全部水面の所を泳いでいるわけですよ。

聞き役男;
うん。

浅野;
彼らも、彼らって言っていいかわかんないけど、彼らも一緒にいるわけですよ。それで、なんにもする事ないんで、朝だけだったんですけど、その魚にね、名前付けたりしてね

聞き役男;
ははははは。

浅野;
やる事ないから。熱帯魚に、またあいつがいる、とかね。そんなう話でね。

聞き役男;
外洋ですよね、外洋で香港からマニラに行く東シナ海と言うか。

浅野;
そうですね。

聞き役男;
その真ん中で鏡の様になっている所なんて。

浅野;
不思議なんですよね。

聞き役男;
ちょっと想像つかない。

浅野;
それまではね、ものすごく吹いているんですよ。

聞き役男;
うん。

浅野;
それがだんだんだんだん息絶えてきてね。

聞き役男;
息絶えるって感じなんですか?

浅野;
うん、もう、無風地帯がね、なんて言ったらいいかな、分かるんですよね、前にね。

聞き役男;
あ、あっち全然風無いぞって。

浅野;
ついに来たって感じで

聞き役男;
それって避けて行けないもんなんですか?

浅野;
避ける方法もあるんでしょうけどね、やっぱり、それが帯の様にあるわけですよ

聞き役男;
はああー。

浅野;
だから、そこにとにかく、しょうがないと言う感じで突っ込んでちゃうんですよね。

聞き役男;
その時にくだらない質問ですけど、皆でオールで漕いだりとか、船外機付けてますよね、あ、じゃないや船内機、エンジンは。それでちょっと進んだりしないんですか?

浅野;
レースの時はあのー、エンジンかけてはいけないんですね、クラッチをかけては。充電用にエンジンをニュートラルでかけるのはもちろん許されているんですけど。要するに使っちゃいけないんで。ただ、僕らはですね、要するにやる事ないわけですよ。とにかく、何も技術も以前の状態になりますから。

聞き役男;
ははは。

浅野;
僕らがやったのはね、バケツを2つ持って一番前まで行きましてね、2人行きまして、一番前の方から、バウって言うんですけど、バウの所からですねバケツを左右に1個づつたらしましましてね、それを後ろまでかけって引っ張って来るんですよ。そうすると、バケツが推進力になって。

聞き役男;
ははははは、簡易オールというか

浅野;
本当、厳密に言ったらいけないんでしょうけどね、気休めで遊びなんですよ

聞き役男;
はははは。そうまでして進みたい?

浅野;
1m動いたとかね、船動いたとかね、そういう事やって遊んだりしましたけどね。


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