●和名:コウライエビ
●商品名:大正エビ、Oriental Shrimp
●現地名
日本:大正エビ
中国:東方対蝦、中国対蝦、白蝦
香港:Fleshy Shrimp
韓国:大蝦
●分布:中国、北朝鮮、韓国、日本
分布は中国の渤海湾と黄海だけにかぎられる。タイショウエビという流通名は、1922年(大正11年)、当時日本最大のエビ取扱業者の林兼商店と、共同漁業(後の日本水産)の子会社、日鮮組による共同事業の「大正組」にちなんだものである。7月に渤海湾の奥部で産卵され、稚エビは9月には体長15〜20Cmに成長し、成体では27Cmに達する。水温の低下とともにしだいに南下し、済州島西方のやや深い海底で越冬する。寿命は1年。(食材図典)
最大体長 180 mm 、普通 130-160 mm
。(遊祥平他著「原色台湾対蝦図鑑」)
額角上縁に7-8歯、下縁に3-4歯。尾節には側刺を欠く。全脚に外肢がある。腹部の第4節から後方は側偏し、第5・第6節に背隆起がある。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)
広温性で、水温8〜35℃で生存・生長ができ、最適水温は18〜30℃、上限水温は38〜39℃である。
広塩性でもあり、8〜40‰で生存でき、馴化した稚エビは3〜5‰でも養殖できる。また、低塩分は脱皮を促進し生長速度が速くなる。
中国近海の特有種で、主要な分布域は、黄海、渤海、東海北部である。
毎年11月中旬、水温が10℃以下になると南下し、黄海南部の比較的深い水域で越冬する。越冬する場所の水温は一般的に6〜9℃、水深は50〜70mである。翌年春、水温が上昇すると越冬群は北方への移動を始め、約2ケ月かけて500km移動して産卵場に達する。産卵場は一般的に浅海、内湾で、水深が10mからやや深い海域である。
雌雄異体で1年で性成熟する。雄は生まれた年の晩秋には性成熟する。精巣は未成熟のものは透明で、成熟すると乳白色になる。自然海域では毎年水温が12〜20℃の10月中旬から11月上旬に交尾し、養殖エビは10月下旬から12月に交尾する。
クルマエビ類のうち、ブラウン系やピンク系のものは集群性がなく夜行性が強く昼間は底砂泥中に潜伏するものが多いが、タイショウエビのようなホワイト系のものは大群をなして移動する放浪型で、生息水域は河口沖合を中心とした濁った水域の軟泥質海底の水深は65mを越えることはまれで、底泥中の潜伏は部分的であり、昼夜の別なく活動する傾向がある。(酒向昇「えび 知識とノウハウ」)
広塩性で広温性ではあるが、20〜25℃の範囲が最適水温だとされている。温帯域での速やかな生育、繁殖の可能性、そして商品として上質であることから、分布域以外の温帯地域での養殖に大きな可能性を秘めている。(Claudio Chavez Justo編「世界のエビ類養殖」)
市場にでているエビの40%は「ブラックタイガー」だが、それに次ぐのが中国の大正エビ。今ではほとんどが養殖になってしまいましたが、本来は、絶品といわれるみそをもった甘みのあるおいしいえび。養殖でもその甘みは残っていますが、頭付はほとんどなく、みそは今や、幻の味となりました。養殖の大正エビならどこでも手に入りますが、多くのスーパーは、ホワイト系のエビをすべて大正エビとして売っているようです。やはり味は大正エビが一番。ややグレーがかかった、あまり見栄えのしないのが本物の大正エビです。表示でなく、体色で選ぶようにしましょう。(ごちそうマガジン1993年)
(抜粋) 本来すんでいる海域と有明海の環境が似ており、また、成長が非常に速く、種苗生産の技術開発もあって、昭和61年から毎年有明海に試験的に放流されている。平成8年までの放流尾数は2千万尾以上にのぼり、放流の効果も良好で特産エビとして定着しつつある。有明海では、5〜6月に2cm程度の大きさで放流されたものが、8月にはシバエビと同じくらいの全長10cm程度となる。それまでは主に河口付近に分布するが、その後徐々に深みに移動する。11〜12月には最大の大きさとなり、その後、交尾し、10mより深い場所で越冬する。翌春には再び沿岸周辺に移動する。クルマエビのように海底に潜ることはなく、群をなして泳ぐ。メスの方が大きく25cm程度、オスは最大でも20cmに達しない。10cmより小さい時はあんこう網等で、それより大きくなると刺網等で主にとられ、年間10トン程度は漁獲されていると推測されている。
●佐賀県のホームページ、「さがのさかな写真鑑」の中の一つ「コウライエビ」:解説と画像もみられる。