6. Penaeus chinensis (Osbeck,1765)


中国、寧海産                      中国、唐海産

●和名:コウライエビ

●商品名:大正エビ、Oriental Shrimp

●現地名
 日本:
大正エビ
 中国:東方対蝦、中国対蝦、白蝦
 香港:Fleshy Shrimp
 韓国:大蝦

●分布:中国、北朝鮮、韓国、日本


 体長27cmに達するが、一般に雄は15cm、雌は20cmほど。額角の上縁には7〜9歯、下縁には3〜5歯がある。特別な模様はなく、淡青色の色素胞が散在する。分布は黄海と渤海が中心で、成長とともに回遊する。生息水深は90〜180mで、クルマエビ属のほかの種よりも深いところにいる。分布域が限られているにもかかわらず、多産する。FAO(国連食糧農業機関)のエビ類の統計では最も漁獲高が多く、中国を中心に年間20万トン以上も水揚げされている。(何年の統計かわからないが、最近ではもっと少ないのではないだろうか?)世界各地から輸入された模様のないエビ類が「タイショウエビ」として流通している場合もある。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」)

 分布は中国の渤海湾と黄海だけにかぎられる。タイショウエビという流通名は、1922年(大正11年)、当時日本最大のエビ取扱業者の林兼商店と、共同漁業(後の日本水産)の子会社、日鮮組による共同事業の「大正組」にちなんだものである。7月に渤海湾の奥部で産卵され、稚エビは9月には体長15〜20Cmに成長し、成体では27Cmに達する。水温の低下とともにしだいに南下し、済州島西方のやや深い海底で越冬する。寿命は1年。(食材図典)

 最大体長 180 mm 、普通 130-160 mm 。(遊祥平他著「原色台湾対蝦図鑑」)
 額角上縁に7-8歯、下縁に3-4歯。尾節には側刺を欠く。全脚に外肢がある。腹部の第4節から後方は側偏し、第5・第6節に背隆起がある。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 広温性で、水温8〜35℃で生存・生長ができ、最適水温は18〜30℃、上限水温は38〜39℃である。
 広塩性でもあり、8〜40‰で生存でき、馴化した稚エビは3〜5‰でも養殖できる。また、低塩分は脱皮を促進し生長速度が速くなる。
 中国近海の特有種で、主要な分布域は、黄海、渤海、東海北部である。
 毎年11月中旬、水温が10℃以下になると南下し、黄海南部の比較的深い水域で越冬する。越冬する場所の水温は一般的に6〜9℃、水深は50〜70mである。翌年春、水温が上昇すると越冬群は北方への移動を始め、約2ケ月かけて500km移動して産卵場に達する。産卵場は一般的に浅海、内湾で、水深が10mからやや深い海域である。
 雌雄異体で1年で性成熟する。雄は生まれた年の晩秋には性成熟する。精巣は未成熟のものは透明で、成熟すると乳白色になる。自然海域では毎年水温が12〜20℃の10月中旬から11月上旬に交尾し、養殖エビは10月下旬から12月に交尾する。

 クルマエビ類のうち、ブラウン系やピンク系のものは集群性がなく夜行性が強く昼間は底砂泥中に潜伏するものが多いが、タイショウエビのようなホワイト系のものは大群をなして移動する放浪型で、生息水域は河口沖合を中心とした濁った水域の軟泥質海底の水深は65mを越えることはまれで、底泥中の潜伏は部分的であり、昼夜の別なく活動する傾向がある。(酒向昇「えび 知識とノウハウ」)

 広塩性で広温性ではあるが、20〜25℃の範囲が最適水温だとされている。温帯域での速やかな生育、繁殖の可能性、そして商品として上質であることから、分布域以外の温帯地域での養殖に大きな可能性を秘めている。(Claudio Chavez Justo編「世界のエビ類養殖」)

 市場にでているエビの40%は「ブラックタイガー」だが、それに次ぐのが中国の大正エビ。今ではほとんどが養殖になってしまいましたが、本来は、絶品といわれるみそをもった甘みのあるおいしいえび。養殖でもその甘みは残っていますが、頭付はほとんどなく、みそは今や、幻の味となりました。養殖の大正エビならどこでも手に入りますが、多くのスーパーは、ホワイト系のエビをすべて大正エビとして売っているようです。やはり味は大正エビが一番。ややグレーがかかった、あまり見栄えのしないのが本物の大正エビです。表示でなく、体色で選ぶようにしましょう。(ごちそうマガジン1993年)


 1969年(昭和44年)発行の「おいしい魚図鑑<秋・冬>」にタイショウエビにちなんだ面白い話しが出ていたので紹介します。
 ‥‥‥近頃、労使のエビ論争というのがあった。経営者側の代表である日経連が、「近頃、エビの消費量がふえた。労働者も大いにてんどんを食べるようになったからだ。エビてんを食べれるようになったのは、それだけ豊かになったからだ」といったら、労働者の代表である総評が反論した。「資本家が考えているエビてんは、かつて金持ちが占有していたクルマエビのエビてんではないか。いま労働者が明日の活力を得るために食べているエビは、安い外国産のエビによるエビてんである。労働者が豊かになったためではなく、エビが安くなってくれたおかげであって、資本家よりエビの恩恵を、まずあげねばならぬ」と。このやすいエビ、つまり私たちが、なべ焼きやてんぷらそばで舌鼓をうつエビが、タイショウエビ(またはコウライエビ)だ。‥‥‥
 現在なら、「沢山のエビを食べれるのは資本家のおかげではなく、エビの養殖を確立した、藤永元作先生のおかげです。」と言えるでしょう。
 コウライエビが、有明海で種苗生産され、放流されていることを、佐賀県のホームページで知りましたので紹介します。

(抜粋)  本来すんでいる海域と有明海の環境が似ており、また、成長が非常に速く、種苗生産の技術開発もあって、昭和61年から毎年有明海に試験的に放流されている。平成8年までの放流尾数は2千万尾以上にのぼり、放流の効果も良好で特産エビとして定着しつつある。有明海では、5〜6月に2cm程度の大きさで放流されたものが、8月にはシバエビと同じくらいの全長10cm程度となる。それまでは主に河口付近に分布するが、その後徐々に深みに移動する。11〜12月には最大の大きさとなり、その後、交尾し、10mより深い場所で越冬する。翌春には再び沿岸周辺に移動する。クルマエビのように海底に潜ることはなく、群をなして泳ぐ。メスの方が大きく25cm程度、オスは最大でも20cmに達しない。10cmより小さい時はあんこう網等で、それより大きくなると刺網等で主にとられ、年間10トン程度は漁獲されていると推測されている。


 中国浙江省の舟山市にある浙江省海洋水産研究所では、舟山諸島周辺にタイショウエビを毎年2億尾放流していますが、効果は1億尾の放流に対して120トン(10g/尾) の収穫があるようで、1元の種苗経費で5元の生産金額を上げています。(近藤優著、「中国浙江省の水産養殖」月刊養殖1997年7月号p.98)



中国1992年発行の切手


関連サイト

佐賀県のホームページ、「さがのさかな写真鑑」の中の一つ「コウライエビ」:解説と画像もみられる。

    


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