食中毒予防にお茶


身近な飲み物「緑茶」に、O-157病原性大腸菌を殺菌する作用があるとの研究結果を、 昭和大学医学部の島村忠勝教授(細菌学)らが8/10までにまとめた。日本茶には抗菌作用が あることがこれまでにも指摘されていたが、O-157についての効果が報告されるのは今回が 初めて。島村教授は「日本人がお茶を飲んできたのはし好だけでなく、先人の知恵の継承。 もっと飲んでほしい。」と呼びかけている。
島村教授ら昭和大の研究グループはこれまでに、緑茶の成分「カテキン」がコレラ菌や赤痢菌、腸炎 ビブリオなどに対して殺菌作用があることを証明。これにヒントを得て、7月からO-157に対する実験を 行っていた。

実験は1ccの緑茶の中に1万個のO-157を入れ、この菌液の一定量を直後、1時間後、3時間後、5時間後 にそれぞれシャーレに塗布。形成されるコロニー(繁殖集団)を観察するというもの。緑茶の代りに 培養液や生理的食塩水を使用した菌液も作り、対照した。

実験によると、緑茶に入れた場合、時間に比例して、コロニーの形成が少なくなり、5時間後にはO-157 の数が0となった。

普通に飲む濃さのお茶(2.5%)、渋茶(5%)とも、殺菌作用は同じだった。

島村教授は「カテキンが細菌の細胞膜を破壊することが電子顕微鏡から確認された。O-157に対する 殺菌作用も、これと同じメカニズムなのでは。」と推論している。

効果が期待されるのは、緑茶、ウーロン茶などカテキンを含むすべてのお茶。カテキンと同じ仲間の 「テアフラビン」を含む紅茶も同様の効果があるという。飲み方は食中、食後を中心に「普通に飲んでいれば 大丈夫」(島村教授)という。

また、O-157が作り出すベロ毒素は、現段階では解毒不可能だが、同教授は緑茶を使った予備実験 (動物実験)を実施。この結果、緑茶はベロ毒素に対しても解毒効果を期待できるといい、近く本格的な 実験に着手するという。

(96.8/10中日新聞夕刊より転載)
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