日本電気/NEC、Beyond 5G/6G向けた150GHz帯対応、無線機向け送信ICチップを開発

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フェーズドアレーアンテナと移相器を4チャンネル集積しビーム操舵を実現

NECは、Beyond 5G/6Gの高速・大容量無線通信を実現するために、モバイルアクセスの無線通信装置(RU)のキーデバイスとなる150GHz帯対応の送信ICチップを開発しました。

開発した150GHz帯4チャンネル送信ICチップ

本ICチップのアンテナ放射パターン測定において、期待通りのビームフォーミング性能が確認され、4チャンネルAoC (Antenna on Chip) ICとしてビーム操舵が可能な世界初のICチップとなります。(注)

4チャンネルのアンテナ放射パターン実測結果 (150GHz)

本ICは、最先端の高周波回路設計技術(以下、RF回路設計技術)により、4チャンネル分の150GHz帯対応のフェーズドアレーアンテナと移相器、増幅器を1チップ上に集積しています。今回製造に採用した22-nm SOI-CMOSプロセスは集積化に優れ、コスト効率が高く、量産性に適しています。これにより高周波化と小型化を両立し、TCOの低減にも貢献します。結果、早期の社会実装が期待されます。

  

Beyond 5G/6Gでは、5Gの10倍に相当する100Gbps級の高速大容量通信が期待されています。これを実現するには、10GHz以上の広い帯域幅を確保できるサブテラヘルツ帯(100GHzから300GHz)の活用が有効です。特に、固定無線通信用に国際的に割り当てられているD帯(130GHzから174.8GHz)の早期実用化が期待されています。

一方、サブテラヘルツ帯はデバイス内部接続や自由空間における減衰が大きく、デバイス性能も限界に近いため、指向性の強い高利得アンテナ技術とそのビーム操舵技術の開発が求められています。NECはそのニーズにいち早く対応するため、今回150GHz帯対応のICチップを新たに開発しました。

NECは今後も、2030年代に期待される6G商用化への貢献を目指して、技術開発を進めていきます。

  

なお本研究は、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」の成果の一部です。

また、NECは本技術の詳細を、2023年10月15日(日)から米国・カリフォルニア州モントレーで開催される国際会議「2023 IEEE BiCMOS and Compound Semiconductor Integrated Circuits and Technology Symposium (BCICTS) 」にて発表します。

(注)NEC調べ(2023年9月5日時点)

ビーム操舵機能の主な数値性能としては、合成アンテナ利得 18dBi、ビームステアリング角 ±45°、EIRP(飽和) +20dBm

お問合せ先:NEC ネットワークサービス企画統括部 :contact@nwsbu.jp.nec.com

 

 

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