歩くエビの仲間たち


アカザエビ
Metanephrops japonicus (Tapparone Canefri,1873)
アカザエビ科



静岡県沼津魚市場にて

通称:テナガエビシャコエビ
英名:Japanese Lobster
仏語:Langostine
伊語:Scampi

 体長20cmに達する大型種。ザリガニを思わせる歩行型で、殻はかたい。額角は鋭く、その側縁は頭胸甲上にのび4〜6対の鋭い歯が刻まれている。腹部の各節には「小」の字に似た彫刻がある。第1脚が長大であるため、テナガエビと呼ぶ地方が多い。房総半島から台湾まで、水深200〜400mの泥底に穴を掘ってすむ。駿河湾はとくに有名な産地で機船底曳き網で、冬から春にかけて漁獲する。身はやわらかく甘みがある。相模湾や土佐湾では近縁のサガミアカザエビM. sagamiensisのほうが多い。腹部の模様が異なり、サガミアカザエビは、はさみ脚の各節が濃い赤褐色なので区別がつく。また、土佐湾以南の海域ではミナミアカザエビM. thomsoniも漁獲され、とくに東シナ海に多い。腹部には横溝があるだけで、彫刻はなく、また、はさみ脚に濃い赤色の帯が4本ある。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」)

 体長25cmに達する大型エビで、水深200〜400mの泥底に単独で穴を掘ってすむ。体色が植物のアカザの若い葉の紅斑と似ているためにこの名があるが、ハサミ脚が長いためにテナガエビ、あるいは体形がシャコを思わせるためシャコエビと呼ぶ地方もある。肉はやや柔らかく、甘みがある。房総半島から九州東部の日向灘まで分布する。刺身や塩茹でとされ、肉は美味で商品価値は高い。(小学館「食材図典」より)

 千葉県、相模湾で冬春季にカゴ漁で漁獲される。産卵期は10〜11月。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」)

 ヨーロッパ産のアカザエビ Nephrops novegicus は英語では Norway Lobster、仏語では Langostine、スペイン語では Cigala Maganto とよばれる。(酒向昇著「えび、知識とノウハウ」より)


アメリカイセエビ
Panulirus argus (Latreille)
イセエビ科

英名:Caribbean Spiny Lobster

 体長約45cm。北アメリカ大西洋岸、ノースカロライナ州からメキシコ湾、カリブ海沿岸を経てブラジルのリオデジャネイロまで広く分布する。本種はアメリカでの最重要種であるばかりでなく、イセエビ類中でもっとも漁獲量が多く、年に32,000トン内外に達する。無頭の冷凍物として出荷されるだけでなく、缶詰にもされる。淡い黄褐色で、腹部の側部に大きな白斑がある。尾扇の先端部が黒い。秋になると。50尾に達する個体が前の個体に触角で触れながら、1列になって深みに移動する。(小学館「食材図典」より)

 産卵期は3月〜7月で、沖合いの深い岩礁の縁で産卵する。(「Blue Point Oyster Company」のホームページより)

関連サイト

Caribbean Spiny Lobster(英語):「Blue Point Oyster Company」のホームページの一部


アメリカザリガニ
Procambarus clarkii (Girard,1852)
ザリガニ科

英名:Red Swamp Crawfish

 体長115mmに達するが、8cm内外までが多い。尖角は短く、額角刺・眼後刺は各1対。第1脚は強大、雄ではことに大きい。第1脚・甲に多くの刺がある。雄では第3・第4脚の坐節に逆向きの突起があり、第1腹肢の先端は4分岐する。雌の環状体はくの字状の溝をつくる。卵径約2mm。200〜1,000粒を産む。産卵は6〜9月に多い。第1幼生(体長4mm)、第2幼生(体長6mm)は餌を食べない。体長8mmの幼エビに成長して摂餌を始める。1.5〜2年後、赤褐色の体長約6cmに成長し、生殖可能となる。原産地はメキシコ湾沿岸の5州、その北方3州であったが、現在各国に移植されて、日本・ハワイ諸島・アフリカ東部に繁殖している。原産地ではウシガエル・バス(淡水魚)とともに三者共存して、食用のほか釣愛好家に利用されている。わが国への移植は、すでに移植(1918年)されていたウシガエルの餌料として、1927年5月にニューオリンズ市から鎌倉市岩瀬の養蛙池に放流されたのが最初である。青森県弘前から鹿児島まで、全国各地の低地の止水・水田・側溝・蓮池などに、ウシガエル・カムルチーとともに生息する。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」、読売新聞1997.10.22の記事より)

 日本ではペットとして親しまれているが、原産地では食用として養殖されている。日本でも一部は洋食料理の素材として利用されるが、供給が夏の間だけである点に問題がある。中国やアフリカだけでなく、フランスでも食用として養殖されている。一般のエビと同じように煮たり、焼いたり、ゆでたりして利用され、フライにもされる。寄生虫がいることがあるため生食は危険である。(小学館「食材図典」より)

関連サイト

子育て名人!ザリガニ:「所さんの目がテン!」のホームページの一部


イセエビ 
Panulirus japonicus (Von Siebold,1824)
イセエビ科

英名:Japanese Spiny Lobster

 触角板(前額板ともいう)には前縁に近くつねに1対の大刺があり、その後部は平滑か、まれに2〜3小刺が不規則にならぶ。腹部各節に短剛毛の密布する横溝が、甲背から甲側面にのびる。第5脚の先端に雌ののみ小鉗がある。第二次性徴として次の雌雄異形がみられる。雌の腹肢は雄よりも大きい。雄の触角は大きく、第1〜3脚は雌よりはるかに長くて大きい。台湾、韓国南岸、チェチェ島、日本沿岸に分布し、わが国にはことに多く、茨城県〜九州の太平洋岸、九州では北部、西部沿岸にも多く生息する。産地では産卵盛期を禁漁期として資源保護に努めている。この期の雌の筋肉はやせて味もよくない。正月ごろは味もよくなり、正月料理に賞用される。海水からあげて長く生きるので、正月には各地に箱詰めにして輸送可能である。海老の縁起から結婚その他の祝宴の料理に重宝される。ゴシキエビ、ニシキエビなど南方の大型種は煮た肉が白色で、また味もさほどではないが、イセエビは生食よし、煮た肉が淡紅色、味は抜群、和風、洋風料理に適するので、欧米のロブスターとともに食用エビの王者である。殻は風疹、はしかの特効薬。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 クルマエビとともに水産業上の重要種である。昼間は岩棚に潜んでいるが、夕方から小動物を求めて出歩く。浅海の岩礁にすみ、季節による深浅移動がわずかにあるだけで、移動性は小さい。5〜9月が産卵期で、卵径は0.5mmほどだが、数は最大60万粒に達する。35〜50日後にフィロゾーマとよばれる平たい幼生が孵化する。1年ほどの浮遊生活の後に海底に降り、体長が約2cmのプエルルスと呼ばれる半透明の小さなイセエビになる。(小学館「食材図典」より)

 関連サイト

伊勢海老:築地市場のホームページ「ザ・築地市場」のなかの「旬の魚」の一部
イセエビの夜釣:「Webしみず、釣り情報」の一部。
西伊豆の伊勢海老の生態:西伊豆賀茂村宇久須の「カネジョウ商店」さんのホームページの一部。


ウチワエビ
Ibacus ciliatus (Von Siebold,1824)
セミエビ科

英名:Japanese Fan Lobster, Sand Crayfish

 体長約20cm。全体として著しく平たい。第2触角も平たく、頭胸甲とともに輪郭は円形に近い。第2触角、頭胸甲の縁は鋸歯状で、側縁の深い切れ込みの後ろには10〜12鋸歯がある。近縁のオオバウチワエビ(Smooth Fan Lobster)では6〜7である。房総半島から台湾、フィリピン、シャム湾、オーストラリア北西部にかけての水深100〜250mの泥底に生息する。オオバウチワエビはインド洋西部にも分布している。いずれも打瀬網やトロール網で漁獲される。体形が偏平で肉は少ないが、味はよい。(小学館「食材図典」より)

 抱卵期は10月。循環ろ過式水槽による飼育容器でアサリの肉を与え飼育するとフィロゾーマ幼生は8期あり、7期または8期に歩行型になる。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)


ウミザリガニ 
Homarus gammarus (Linnaeus,1858)
アメリカウミザリガニ 
H. americanus (H. Milne Edwards,1837)
アカザエビ科

通称:ロブスター、オマールエビ
英名:American Lobster, European Lobster
仏名:Homard
独名:Hummer

 体長500 mm に達する。和名の示すとおり海産のザリガニ、しかも大型で、体、脚にトゲがなく、第1脚は扁平で大型鉗を形成する。第2触角鞭は体長より長い。H. gammarus はヨーロッパ産で、スコットランドから北アフリカ沿岸に分布する。同じ大西洋でもアメリカ沿岸には、別種アメリカウミザリガニ H. americanus が生息する。体長 30cm 内外がふつうだが、120 cm に達する大型種が、ニューファンドランドからハッテラス岬(北カロライナ州)沿岸に分布する。Lobster(英)、Homard(仏)、Hummer(独);他方アメリカ産を American lobster(英)、Homard americain(仏)、Bogavante americano(西)と通称し、欧風料理にこのオマールは欧米人の好みに適している。近年わが国にもカナダをはじめ産地から輸入して、豪華な結婚料理などに賞味されている。筋肉は白く、味は淡水産のザリガニに似ている。わが国で出版されている教科書、参考書にウミザリガニの和名で記載されているのは上記2種のいずれかである。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」より)

 アメリカンロブスターは雌が脱皮した後に交尾し、雌は腹部に7,000〜8,000の卵を9〜11ケ月抱卵する。そして、晩春〜初夏に孵化する。(「Blue Point Oyster Company」のホームページより)

 ふ化したばかりの1期幼生は全長約9ミリで、体に青色と赤色の色素があり、小さなハサミ脚を持っています。その後、幼生は脱皮を繰り返し、体の形を変えながら成長します。2期では尾の下側に遊泳脚が現われ、3期では1枚だった尾びれが5枚に分れます。4期になるとハサミがさらに大きくなり、体も親エビとほぼ同じ形になります。成長と共に生活様式や、食べ物にも変化が現われます。1〜3期は浮遊生活で、動物プランクトンを食べますが、3期には魚介肉のミンチも食べるようになります。4期になると、しだいに親エビと同じ底生生活に移り、水底のエサを食べます。(「マリンワールド海の中道」のホームページより)

関連サイト

American Lobster(英語):「Blue Point Oyster Company」のホームページの一部
アメリカンロブスターの誕生:「マリンワールド海の中道」のホームページのトピックスの一つ


オーストラリアイセエビ
Panulirus cygnus (George)
イセエビ科



愛知県知多半島のお魚センターにて

英名:Australian Spiny Lobster

 オーストラリア西部にのみ分布するイセエビで、体長40cmほど。分布が限られているが、年問1万t以上が漁獲される。日本には活け物が輸入されている。外形はイセエビに似ているが、全体として淡色で、腹部に細かい白斑がある。また、各腹節にある横溝が、イセエビでは中央で切れているのに対して、オーストラリア種ではつながっている。漁期は11〜6月。日本に輸入され、イセエビの代用品とされる。(多紀保彦・武田正倫ほか監修「食材魚貝大百科1」)


ニシキエビ
Panulirus ornatus (Fabricius,1798)
イセエビ科

英名:Tropical Spiny Lobster, Painted Spiny Lobster

 体長550mm。触角板に4対の刺があり、後ろの1対は小さい。長大な前額刺が1対あり、それに続いて胃域に3対、頸溝の後方心域に3対の正中側刺があり、その外側には多数の刺が列生する。第一触角に7個の白色部がある。紅海・南アフリカ〜台湾・ポリネシアの熱帯海域に分布し、沖縄諸島ではサンゴ礁斜面からやや深い砂泥底に生息するが、生息個体が少なく、イセエビ類の最大種で、しかもうつくしい色彩斑紋があるので、標本・鑑賞用に剥製して高価に販売されている。(三宅貞祥著「原色日本大型甲殻類図鑑」


ニュージーランドアカザエビ
Metanephrops challengeri
アカザエビ科

英名:New Zealand Lobster

 平均総長は25〜30cm、体長は16〜21cm。大きなものの体重は100gに達する。(AMALGAMATED MARKETING LTD」のホームページより)

 ハサミ脚の赤い帯は1つだけで、また、腹部の各節の前縁が赤い。ニュージーランド近海の固有種で、水深200〜750mに生息するが、資源量は不明。(小学館「食材図典」より)

関連サイト

SCAMPI(METANEPHROPS CHALLENGERI):ニュージーランドの水産会社「AMALGAMATED MARKETING LTD」のホームページの一部。画像もあります。


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